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通り過ぎていく、黒塗りの車を眼で、追っていく。
前園は、わざわざ俺を見つけて車をとめたようだ。
律儀な奴。
俺は半ばあきれがちにそう感じた。
確かに、昨日アイツを助けた。
でも、それだけだ。
偶然でしかない。
前園を襲った男は、俺の目的だっただけ。
最初から奴らをつけていたし、奴らに狙われている女がいたことも知っていた。
夜の公園に入ったその集団をみた時、俺は事が終わってから、目的を達しようとおもった。
そうだ見捨てるつもりだった。
つまり、桐島 宗 が一人になった時始めて、奴を壊すつもりだった。
助けたのは本当に偶然。何がそうさせたのか分からないし、知りたくもない。
ただ、心がぐらりと変わり。
自然、肩をつかんだ。
本当、どうでもよらさそうに。
そう、だから俺が助けたのは、気まぐれなんだ。
そう、結論し終わるころにちょうど、校門前についた。
豪勢な私立校は、丘を丸ごとを敷地として、近代の洋館がそのまま巨大化したような作りの校舎を持っている。校門から入っても、まだ本館まで200mほど続く舗装された通路、もちろん清潔感のあるサッパリとした道の両側には芝生、そして豪奢な建物が左右対称に林立している。
そしてこの校門は、生徒を送る車がわざわざ入りやすいように作られ、円の形をとっている。中心には噴水もあり、とても高校には思えない、間取りだった。
まったく、美術館やアトラクションに間違えられても仕方のないつくりだ。
俺は見慣れたそれをサラッと通りぬける。
校舎へつづく道をつなぐ、ちょっとした凱旋門が
俺を嫌そうに歓迎した。