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瞬花終答  作者: 銀色捺夜
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事務所の扉を開けた。

相変わらずのこの場所は仕事をする場所よりも、レトロな雰囲気がまさっている。なかにあるのはポツンとついにおかれたソファーとガラスの机、右隅にカウンターらしきものがある。

この内装はたとえるなら改装中の喫茶店がただしいのかもしれない。

しかし変わったことが1つ。

明かりはいつもつかう、薄暗い白熱灯じゃなく、無味な蛍光灯のほうがついてる。さらに夜子の姿がなかった。


そして中に入っていくとちょうどソファーの影で見えなかった、白いファイルが見えてきた。


「何だ?もう来たのか?」


「ああ」


俺がファイルをとろうとしたところで夜子がはいってきた。

今日は珍しく、タイトのスカートに白いワイシャツ、髪は後ろで一つにまとめた、刑事か教師みないな格好だ。

仕方なしファイルから手を引きソファーに座る。

夜子は対にゆったりと座った。

そして煙草を取り出し、火をつけた。

煙草は嫌いだ。しかし夜子のように、煙草がにあえば許せる。

彼女を目だけ爛々としながらこちらをみる。

「そこのファイルを見てみろ。面白い依頼が来たんでな。南月、君が望むなら、その依頼を受けようとおもう。」

「へぇ、どんなの?」

「見てみれば分かる。簡単にいうと…ただの護衛だがな。」

「護衛?」

耳を疑う。夜子は護衛のような、淡々と行う。工場の作業仕事のようなものは嫌いなはずだ。彼女は好むのは謎があり、危険な、基準はわからないが、様変わりした仕事が好きだ。

ということはよっぽど様変わりした依頼か。

俺が気にいれば、つまり俺自身が知ってることもしくは俺に関係する事柄か。

興味がある。

俺はクリップでとめられたファイルをてにとり1枚目をめくった。

現れたのは顔写真。

「これ誰?」

「赤髪、もしくはレッドアイズでときいてる。」

「本名は?」

「……知らないな。」

写真の中の女は一目みたただけで日本人じゃないのは分かる。

端正に整った、顔のパーツは日本人のものとは違うつくり、金髪碧眼ならば西洋でもかなり目を引く存在だろう。

ただ違うのは、その髪と目の色。

そう、髪が赤い。血で濡らしたような髪はそれだけで目立つ。眼はワインレッド。それは冷たく、吸い込まれそうな瞳だった。

こいつ、ヤバいな。

直感、本当に直感でそう感じた。

まじまじと見すぎたのか、夜子が急かすように言った。

「次、見てみろ。そっちの方が驚くぞ。」

めくる。

あったのは死体の写真。四肢が関節と逆方向に曲がった死体。外傷がなく出血はない。それがかえって不気味だった。

めくる。

次も死体。

死体と分かるのは胴体だけ、他はまるで潰されたイチゴだった。

顔も足も腕も、まるでカツオのたたきのように、なっている。

そんな表現、必要ないか。

ただ純粋に叩き潰されてる。

それが赤いペンキの池にほおりこまれた感じ。

次も、次も、次も、次も、骨が突き出し、内臓を引きずり出され、半分に千切れ……

……見てるだけで、吐きそうだ。

「これ、全部その赤髪とかいう奴の仕業?」

「察しがいいな。その通りだ。」

「なんて、猟奇殺人。やりすぎだ。」

「お前が他人のことに口をだすのは珍しいな。」

ファイルを机へ投げ捨てる。

その先は、見ずに。


「で?まさかこんな奴の護衛なわけじゃないんだろ?」

「フフッ、当たり前だ。そいつは殺し屋だよ。まぁ、たしかに、赤髪の護衛は面白そうだが、やる意味がないだろう。あの女を守るなんてやるだけ無駄だ。」

「…で、夜子。守るのは誰?」

確かにこの女は異常。コイツだけで、たしかに夜子の好きなタイプの依頼になるが、まさかこんなリスクの高い依頼受けるはずがない。下手すれば俺達がこの写真の仲間入りだ。

俺、次第か。

夜子は試すように薄く笑う。

「……南月、君に関係がもしあったら、気の毒だとおもったからな。一応話は聞いてきたんだ。」

「……それで?」

「護衛の対象者はお前の学校内にいる。」

「………」

俺はその言葉を聞いた瞬間、死刑宣告をうけたみたいに体が重くなった。

何故かは分からない。


「……前園 雛。」



見ていただきありがとうございました。

これにて、第一章 瞬花終答 (前)を終了します。

区切りとして、ここで大幅な加筆、修正を加える所存です。

加えて、大変申し訳ないことですが、タイトルを

「白の軌跡」

と変更します。

見ていただいている方には急な変更を深くお詫び致します。



第二章 「奇怪曲線」は2〜3週間後には再開する予定です。

内容は、「瞬花終答 (前)」の続きです。

では皆さん。

ここまでありがとうございました。

これからも、お見苦しいところもあるかもしれませんが、よろしくお願いします。


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