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「アァ?」
奇妙な寄声を発する男が前にいる。
俺にむける敵意の現れだろうか
それとも
恐怖からの威嚇だろうか
まぁそんなの――
「霧島 宗 だな」
――どうでもいいが。
◆
日付がかわったのにも関わらず、都会の中心は活発だった。
酔いつぶれる上司らしきものをささえる者
呼び込みの艶めかしい女やスーツの男。
無尽におもえるような風俗店の数。
その誰も彼もが俺を、訝しむ眼でみている気がする。
気のせいではないだろう。
確かに、学生まんまの姿の学生が警棒もってこんな所歩いてたら、自然、そうなる。
事務所に向かうだけのおれにとってはきをつかうだけ無駄だ。
そう割りきったら、あとは警察にあわないか、不幸にも、いや愚かにも俺に楯突こうとする物が現れないように、多少念じるだけだ。
仕事の完遂を報せるために、俺は足取り普通に、夜だけ営業するその事務所へあるくだけだった。