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勇者が仲間になりたそうに見ています。

作者: ソウクイ





あれが盗賊団が建てた砦ですか。


根城にしているのはシナンバデ盗賊団。

辺境の警備隊を返り討ちにした規模の大きな盗賊団。

人数は100人近く。 

 

此方の戦力は一人。


まず砦を吹き飛ばすぐらいのタップリの爆薬を用意します。見張りを気絶させてタップリの爆薬を砦に投入します。


ボガン!!


砦を更地にしてお仕事完了。


一日休んで


さて村に帰りますか。


「ゆ、勇者様、盗賊退治をしたとは本当ですか!たった一日、それもお一人で!砦が無くなったと言うのも本当ですか!?」


「本当ですよ。信じられないなら見てきてください。賊の中に高位の魔法使いでも居たのか追い詰められて砦ごと自爆したので」


「そ、そうなのですか。爆破するとはとんでもない奴等ですね。しかしあの砦が消えたとなると東の関所が通れる事に成ります!本当にありがとうございました!」


「………………」


何か他にも言うことはないんですか?


「本当にありがとうございました!」


ああはいそうですか。


盗賊の逃走を防ぐために閉じていた東の関所の解放をしたら、旅の無事を祈ると言って村人総出でお見送り。盗賊退治を依頼した村長が笑顔で旅の無事を祈ると言って手を振っていますね。報酬は感謝の念のみ。



……感謝は形に残るもので渡して欲しいものですよね。具体的には売れば高い金ぴかな感じなの。


私は勇者(女16歳)。


転生者です。TSしてます。


転生して勇者とか勝ち組やん!とか思ったそこのアナタ!勇者役を代わりますよ?本当に代わってください。


勇者とは世間一般的な認識は神の選びし勇敢なる戦士。

勇者(わたし)本人の認識では権力で強制就労、選ばれたら死ぬまで働けと言われる真っ黒な職業(無給で無休)。


本人的な認識としては勇者<奴隷です。

奴隷にはちゃんと人権が有りましたもん。勇者に人権とかないですもん。


初期職業村娘から何故か教会に次代の勇者として選ばれてしまったんです。選ばれると強制的に教会の人間に産まれ育った村から連行されて、教会の本部って所で戦闘訓練を受けさせられたんです。


ランニング、組手、剣術、教育(洗脳)、模擬戦。何度も繰り返し。全て気絶するまでやらされました。半月の辛く血の滲む程の訓練で十代の玉の肌と心が傷だらけになり、代わりに得たのは強さ。レベルがグングンと上がってね。


この世界の生き物にはレベルという強さを測る目安が有るんですよ。筋力や戦いの経験よりレベルの方が重要なんです。

もしレベル10の痩せた7歳児とムキムキな男レベル5が戦えば余程の事がないと7歳児が勝つんです。


村人のレベルは5~20程。兵士は10~40ぐらい。

将軍クラスでレベル50。

この国最強の騎士団長様でもレベル65です。


自分のはレベル65以上ですー。


レベルが可笑しい事になると、訓練から実戦と言うかタダ働きに出されましてね。戦場を駆け回ったり、町の人の困り事を無償で解決したり、王様の命令をたまに聞いたり、本当に働かされましたね。やってもやっても報酬は殆ど有りません。


何時もさっきみたいな感じです。


警備隊が破れる様な盗賊団を退治して普通なら村の財産の半分は貰える働きなのに、報酬が報酬とも言えない東の関所の解放だけ…


何時もこうです。報酬が有っても更なる厄介事へ向かう切っ掛けとなる通行許可やアイテムしか貰えないです。


一応他に報酬と言えそうなのは何の役にも立たない尾坐なりな感謝の言葉だけです。だって何時も感謝の言葉は『勇者』様有難うございますですよ。私に感謝してない。解決した功績も全て勇者という称号に行きます。

教会は勇者を選んだだけなのに寄付金ガッポリとか話に聞きます。


私が貰えるお金?有りません。

国からは最初に子供の小遣い程度のお金しか貰えませんでしたし、勇者にしやがりました教会からお金は貰えませんよ?

善意の寄付なんてモノも有りません。


だったらどうやって生活してるかですか。


……生活費はもっぱら野生の魔物を倒して素材を売った代金です。


ね、ブラックな職業でしょう?二年間も勇者(奴隷)をやって馬車馬の様に働いてますから、経験と教育(洗脳)のせいで条件反射的に身体が勝手に勇者(奴隷)として動いてしまうんですよ。


もういやです。勇者を止めたい。

最近は死んだと嘘就いて逃走する方法か教会の殲滅方法ばかり考えてます。


そんな勇者の私ですが今日は久しぶりに教会本部に呼び出されました。

また厄介ごとでしょうか?勇者を辞めさせてくれるとかなら有り難いんですが

呼び出され待てと言われて待ってる間暇で、シスターさんに次のレベルに成るまでに必要な経験値を聞いてみた。


「神は御告げに成っています。貴女はこれ以上レベルは上がりません」こう言われた。


上がらない?どうやらいつの間にか人類の限界レベルの99と為った様です。

……どうせなら神様からこれ以上働かなくて良いと告げられたかったです。


そして偉いさんからは勇者廃業のお知らせを貰いたかった。


偉いさんが集まる会議場に連れてかれたんです。

会議場に居たのは欲にまみれた肉だるま、何故か居る自称聖女の王女様。


命令が…魔界に行って魔王討伐って何!?

色々仕事したけど魔界とかが関わった事件なんて一つも無かったですよ!?


勿論断った。勇者就任以来始めて断った。

だって……魔界の魔王倒す意味無いですもん。


何で魔王を倒すか聞いたら……私がこの二年で捕まえた犯罪を犯した貴族達がゾロゾロ会議場に入ってきた。


は?って成りましたよ。王国の法律で絞首刑に成ってる人間も居たんですから……なんと彼等の犯罪が国の混乱を狙った魔王の策略だそうだ。洗脳された彼等は寧ろ被害者だから釈放。


……つまり捕まえた奴等が魔王の責任にして無罪放免に成ったと……うん、何で!人間が犯した犯罪が魔王の責任に成ってて倒すとか成ってるの!?


………そう言えば王女様が関わった事件も有ったような……

…ああ、犯人と犯罪を立証する側が手を組んだと…権力万歳って事ですか……なんか私の二年の仕事の結構な割合が無に消えましたね。


それで魔王討伐に行くのはわたし一人だけ……ニヤニヤ笑う捕まえた犯罪者達。


絶対に私への復讐が目的ですよ!魔界と言い出したの言い訳と私を始末するためですか!?逃げようとしたら光る床、…転移用の魔方陣。


…うん、どうやら罠に嵌められた様です。


「おお、勇者よ(地獄に向かう)貴女に幸あらん事を願います」


最後に(エセ)聖女様のこんな声が聞こえた。フザケンな!


魔方陣の出た先は人間界で唯一魔界に落ちる穴が有る場所。

転移の魔方陣の出現ポイントは丁度穴の真上。


落ちる私。


数十秒暗い穴を落ちる。下は見えませんが、魔界についたら地面にぶつかって死ぬと思いました。



何故か死なずに魔界に到着。

有無を言わさずに送り出された魔界は…地面の下の筈なのに明るく…自然が豊かでした。

魔界で孤立無援でしかも装備が偉いさんの前だから全部外されてたんです。これで魔王を倒せですか。


これって……遠回しな死刑ですよね?

此れが二年間の勇者(奴隷)働きの報酬?



ふふふふふふ、…フザケンナぁあ!!

 

ふぅ、魔王の元に行きましょう



……魔王に出会い!


いえ、魔王様に謁見して!部下にしてもらいましょう!


そして人間界を滅ぼしましょう!


目指すは私の求める主の元へ!


人間どもめ今に見ていろです!




「魔王様!魔王様!」 

「……どうしたゼルド?魔王様に何か御用か?休暇申請なら却下だぞ?魔王城の警備隊長が休んで何処かに行っているからな幾ら平和でも副隊長の……」

「宰相!違いますよ!勇者が勇者が魔王城前まで来たんです!」

「勇者?何故此処に?」

「あの……慌てないのですか?」

「……来たのは人間の勇者だろ?慌てる理由があるか?」

「え、それは…………良く考えたら有りませんね」

「まぁ久しぶりの敵だからな。慌てるのも判るがもっと冷静でいろ。それにしても何故勇者が?確か人間界に偵察に出たモノの話では犯罪を我ら魔族の責任としておったな。それの報復に勇者が来たのか?……しかし軍隊が動いたと報告も無かったが。勇者を筆頭にした少数精鋭の特攻か?」

「いえあの勇者は一人だけです。」

「何!?たった一人で突撃してきたのか」

「突撃でも無いと思います。丸腰でしたし、門の前で大人しく待ってますし」

「門の前で大人しく?……ああ、そうだな。攻撃してきたなら報告する必要も無いか。……何をしに来たんだ?まさか和平か、話し合いか?……いやしかし、此方は何もしておらんし、人族は我々魔族を畜生の様に思っておるから話し合いを選択をするとわ思えんが。(ブツブツ)

……勇者は何が目的か言っておるのか?いや言っていたら初めに話すか」

「いえ、その…何と言いますか…頼みは聞きました」

「聞いたのか!?してその頼みは?」

「えーーその」

「早く言わんか」

「はい!人間を滅ぼしたいので魔王様の部下にして欲しいとの事です!」 


「は?」


「それと自分は……レベル99だから役に立ちますと」


「は?」


「あの宰相様?私見ですが勇者のあの顔はマジでした。本気で言ってました。」


「……何でだ?」


「はい、勇者が言うには……二年間タダ働きさせられた挙げ句の報酬が単身、装備無しでの魔王様討伐だからだそうです」


「それは……死刑ではないか?」

「……そうですよね。」


「「…………」」


「…………………………ま、魔王様に報告しておこう。勇者については……城前から退けておくように……それから…勇者は軟禁、いや、まぁ一応の客人として遇して構わん。」

「は!」





ふふふ、何といきなり魔王様と謁見する事が出来るそうです!


こんな順調で良いんでしょうか?まだ魔界に来て二日ですよ?

しかも魔界に来てからまだ一度も戦ってないんです。


…魔界ってイイ人が多いです。


魔王城まで送ってくれた魔族の行商の叔父さん、雑草を食べてたら食べ物を恵んでくれたお姉さん、いきなり来たのに魔王様に取り次いでくれた門番さん、綺麗な部屋で休ませてくれて食べ物もくれた門番の上司さん、魔王様に会えるように尽力してくれた美少女な宰相さん……勇者になってから何もしなくても無償で助けられたのは久しぶりです。


「勇者よ来なさい。この先に魔王様が居られます失礼の無いように」


さぁいよいよ!魔王様と御対面!


「……良く来ましたね。貴方が……人間の言う勇者ですか?」

「はい、あの、私は一応勇者です。……」

「……そうですか」


目の前には魔王様。魔王様?……何でショタ?

美形で弱そう。てか魔界の人は角とか生えてるけど美形ばっかり。昔話だと魔界は暗く淀んだ世界で住民は醜悪で邪悪な生き物、自然も豊かだしイイ人ばかり、伝承と全く違います。

……まぁ年寄りで不潔な人間のあの王より美形の方が仕えがいが有りますね。……正直に言います。私はショタコンですから復讐抜きでも仕えたいです!


「……私の部下に成りたいとの事ですね?私の部下に成って何がしたいのですか?」


「はい!魔王様の部下になりまして人間どもの虐殺、あ、いえ魔王様に人間(家畜)を捧げたいと思っております」


(私以外の)人間に地獄を見せてください!


「……私の部下に成りたいとの事ですが……残念ながら、今回は機会が無かったと諦めて下さい」


そんな!?


「え、あのわ、私!レベル99です!人間抹殺、ゲフン!家畜化に役に立ちますよ!」


「……無理です」


「あ、人間だから信用が無いんですか!?

ち、地上に行かせて貰えましたら町の一つや二つ直ぐに焦土に変えて見ませます!」


「…ホント…無理ですから」


「そ、その程度ではダメですか!?だ、だったら王城に攻め込みます!!王族一族全員の首を魔王様の元にトドケマス!」


「…………いえ、ですからもっと根本的なところで無理ですから。価値観が違いすぎます。王族の首とか持って来られても困りますから」 


「そ、そんな!?根本的に!?王族の首がダメ!?つまり首だけにするのは生温いという事ですか!?判りました!王族は殺しません」


「……一部不穏ですが殺さないと言うのは正しいですよ」


「はい!!甘過ぎますよね!魔王様に逆らう奴の首魁は直ぐに殺して首だけにするなんてダメですね!死にたいとしか言えない状態にしてから魔王様の元にお届けします!!」



「…………宰相さん?この人は本当に報告に有った人々を無償で助ける正義の勇者ですか?……異様に血生臭い発言しかしないんですが?」

「……いえ、報告では数年間世界を周り人々を報酬も取らずに助けていたという話だったのですが」


何を小声で話してるんでしょう?


「……勇者さん貴女は数年間人間界を周り無償で人々を助けましたか?」


魔界の魔王様どうしてその事を!?…あ、人間界にスパイを送っていたんですね。


「……はい(強制的に)無報酬で助けてました」


「そうですか…それなのに人間を家畜に…

(精神的に追い詰められてこんな状態ですか)

。……判りました勇者さん、貴女を部下にしましょう」


「え、はい!ありがとうございます!!」


やった!極上のショタに仕えられる!!間違えました。これで人間に復讐出来ます!


「魔王様、宜しいのですか?私達は人間と関わる気は全くありませんのに?」

「ええ、どうやら今の勇者さんは下手に一人に放置しとくと何をしでかすか解りませんから手元に置いておいた方が安全でしょう。それに元が正義の人の様ですし落ち着けば復讐何て虚しい考えは無くすでしょう」

「そうです……ね?」  


さっきからあの宰相って人、ショ、魔王様に近付いて話して羨ましいです。何なんでしょうか?見せ付けてるんでしょうか?


「では勇者さんに与えます仕事は……メイド見習いですね」

「メイド?ですか?」   


メイドの見習い?……冥土?


「…はい私直属のメイド部隊の一員と成って貰うつもりです。

主に私の身の回りの世話をしてもらう仕事です。他にも王族に関わる所の清掃等も仕事内容にはいってます。……今までと全く違った仕事ですがやりますか?嫌なら別の仕事も考えますが」

「…いえ!冥土部隊への配属でいいです!慎んで務めさせていただきます!」


魔王様直属の……冥土の部隊、冥土送りの為の部隊。

仕事とは魔王様の身の回りに仕える!何て素晴らしい仕事をポッと出の私に!信頼してくれてるんですね!


それに王族に関わる所の清掃が仕事。王族を清掃=お掃除。

つまり王族を仕留める役は冥土部隊がさせて貰えるんですね!あ、けど、殺害はダメだって……だったら清掃の意味は?

…清掃は汚いモノを無くす為にすること……汚いモノは王族。

無くすのは…命じゃない……王族が無くして困るのは…王族は無駄に誇り高い。プライドが高い。


王族のプライドや誇りを消す?……心を折る。



纏めると冥土部隊は魔王様直属の魔王様のお世話兼、王族の心を叩き折る部隊。


心を叩き折るどんな手段でしょう?

…………意見とか聞いて貰えるでしょうか?


あのエセ聖女様とかには何をしてやりましょう。

服を剥いてレオタード姿で町を歩かせましょうか?それか男性用おトイレの掃除?あ、音痴な話も有りますし町の集会場で歌わせるとか良いかもしれませんね。   

移動には王族を馬車馬として国土全部の町や村を渡り歩くとか良いかもしれませんね。


……素人ですからこの程度の事しか思い付きませんね。

はぁこの程度の事では魔王様に満足頂けませんよね。

いえ、怨みを晴らす機会を貰えたんです!


「頑張りませんと!」


「闘志が見えます。メイドの仕事にやる気を出してる見たいですね」

「いえ、何か壮大な勘違いをしてる気がします。絶対ドス黒い事を考えてますよ。所で魔王様?メイド部隊に入れた理由は手元に置くと言う理由だけですか?」


「いえ、……勇者さんはレベル99らしいですから」

「ああ、…人間の最大レベルで自信満々ですよね……………彼女は何時気づくでしょうね?


人間と違って魔族の最大レベルは9999だってことを」










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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後の落ちがフレドリック・ブラウンの作品みたいで面白かったです(^^)
[一言] 本当にいっそ皆殺しにしてくれと思った。
2015/12/01 00:35 退会済み
管理
[一言] 女の勇者が主人公っていうのは初めて自分は見たかもしれません。 この構図だとどちらかというと魔王サイドメインで進んでいくって感じですね・・・?人間の限界がレベル99で魔族が9999ならこの先ど…
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