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最終話
もう、生きている意味が見出せなかった。
何もかも捨ててしまおうと思った。
卒業まで1年を切っていた。
私はバイトを始めた。
バイト代は何にも使わず、ひたすら通帳にためた。
ただの学生アルバイトの給料はたかが知れている。
地道に貯めた。
高校卒業までひたすらにバイトをした。
そうして迎えた卒業。あいかわず友人は数えるほどしかいなかったし、軽い人間不信は改善されていなかった。
私は貯めたバイトで旅行に出かける手はずを整えた。
両親には了承を得ている。
何があったかは言っていないが、両親には何かがあったことは気づかれているのだろう。
大したことではないはずなのだ。
それでも、私の心は深く病んでいた。
バイト代の貯金と、今までの貯金を合わせて、行けるところにいられるだけいようと思った。
そして、家族以外誰にも言わず、私は旅行に出かけた。
あてのない旅。
そして、ふと思うのだ。
何が正しい生き方だったのか。
どこで私は道を間違えたのだろうか。
そんな迷路は進んでも進んでも行き止まりで一向にゴールにたどり着かなかった。
ただ後悔だけが残っていた。