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フウリンソウ  作者: 榎田頼
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unit4

ほどなくして、仲の良かった友人の相談を受けた。


恋愛相談だった。

そういえば、いつから私は恋愛なんてしていないのだろうとふと考えたが、遠い昔のように思えた。



最近はめっきり人の悪口を言わなくなっていた私だったが、相談内容があまりにもひどく、つい私は


「クズじゃん」


そう言ってしまった。

そこにいたのは私たち2人だけではなく、その男の友人も相談相手として呼び出されていた。


それが良くなかった。


後日、私がクズだと言ったその男に生徒玄関前で呼び止められた。


そして、いきなり怒鳴られた。


「お前、俺のことクズって言ったんだってな?そうやって陰でSNSとかでしか言えないようなお前の方がクズだからな!!」


そこからひたすら、お前は何様だ。お前の方がクズだなどと言われ、相手は気が済んだのか、私に相談してきた女を連れて何処かへ行った。


私は、その通りだと思った。

SNSに投稿したことはない、それは相手の勝手な思い込みだが、陰でしか言えない私がクズだという言葉は、自覚していたことだけに、とても胸に刺さった。


そして、後に彼女に「彼に謝って」と言われた。何度も私は拒んだ。

その男に頭を下げたくなかったし、なにより自分の彼女を売女呼ばわりするその男がクズだと思うのは本心だった。


相手も私をクズだと言った。


お互いそれでいい。許してもらうことなど何もないと思った。


そして、売女だビッチだ言われ、挙句デート代のために体を売れと言う彼氏に頭を下げろという彼女がとても滑稽に思えた。


私が頭を下げたところで2人の関係が改善されるはずなどないのだが、必死に懇願する彼女がうっとおしく思えた私は渋々彼に謝罪をした。



なんとも心がこもってなかったが、彼は私に今更謝られてもしょうがないし顔を見たくないし、どうする気もないと言った。



ならもう私の仕事は終わりだと、踵を返した私を彼女は追ってこなかった。


これまでしつこいくらいくっついてきていたのだが、私が頭を下げた以上、私に用はないという事だ。


全くアホらしいと思った。


家に着くと、なぜか涙がこぼれた。


なぜだか無性に悔しかった。

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