魔王⑨ 錬金チャレンジ
やぁやぁ、皆さんこんばっぱー!
今日も元気にこんにちはー!
人生の被害者クナンだよー?
やっと儂が産まれて四ヶ月、一年で1番暑い期間を越えて、これから涼しくなるらしい今日この頃。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
そんな儂の現状ですが。
なんと!この度ワタクシは昨日の晩にやっとこさ座ることが出来る様になりましたー!
これは私にとってはとても大きな出来事です!
そしてそれを機に今日、本日より私は新たな一歩を踏み出します。
現在儂はいつも通りに親父と二人きりなのですが……
……やってやるぜ!……ゴクッ……
「…と~た」
ガタッ
おぉ、親父が立ち上がって儂を凝視しておる。
「あぅぅ……と~た」
いや、『とーさん』と言いたいんだがね?
そう、赤ちゃんイベント
『私の名前を呼んだのよ』です。
『もう一度ママって呼んで』でも可。
流石に関わりの殆どない兄達を初めに呼ぶ気はなく。
呼ぶなら何時も一番近くにいる親父だろうとこの日を待ってました。
って何か儂を抱き締めながら泣いておられるんですが!
流石にここまでとは思わなんだ……
結構強く抱き締められててキツイんだがね?
どうしたもんやら。
振り払うのは無粋かねぇ、そんな力ないが。
・
・
・
さて、予想外な事もあったが、まだ作戦は終わっていない。
今の儂は親父に抱きかかえられている。
この状態で……
「あ~あ!」
手を振り『あれが欲しい』と知らせるのだ!
求めるは親父の机の上に転がる木材。
その切れ端とかの端材!
儂はあれが欲しいのだ!
「何だクナン、俺の仕事が見たいのか?」
普段大人しい子が自分の仕事に興味を持つ
親ならばさぞ嬉しかろうて
だが違う、見たいのではない触りたいのだ!
「ちょっと待って居なさい」
そう言った親父は儂を元の場所に座らせ作業机に座って仕事を続けおった。
あれか?俺の背中を見ていろって事か?
「あ~う~~!」
声に反応してチラリと儂を見るもすぐに作業に戻る親父。
くっ、やはりちゃんと喋れないのは痛いか。
意思疎通がルナティック!
「ほら、クナン」
そう言って親父は儂にさっきまで触っていた木材を渡してくれた。
「あ~!」
これは!
口に入らない大きさで角を丸めヤスリがけまでされた『積み木』その物ではないか!
やるな親父!
今、儂の好感度は+3はされたぞ!
素直に嬉しいものだ!
「そうか……済まなかったなクナン、お前も退屈だったのだろう?
それでも俺たちに迷惑かけまいと我慢してくれてたんだな」
なんか過大評価されとりませんか?
最も今はそんな事気にならない程に手元の玩具に夢中なんですがね!
何か親父殿すっげえ優しい笑みを浮かべとりますなぁ。
儂の頭を撫でてまた机に戻ったよ。
とは言え此処まで立派なものじゃなくても
それこそ木くずで良かったんだが……
いや、嬉しいのは本気ですよ?
だからこそコレを壊すのはチョットなぁ……
【積み木:加工品:
父親から息子への愛情が籠っている】
なんか序盤のアイテムっぽい説明文だなぁ
「ほらクナンこれもお前のだ」
そう言って今度は長方形タイプの積み木を渡してくれる
「あ~とぉ」
「おぉ、『ありがとう』か?本当に偉いなお前は」
いやはや、片手でコレを作れる親父殿も相当なもんですよ?
ホントどうしょうかねぇ……
『遊んでたら壊れちゃった』って感じで錬金術を試したのを誤魔化したかったんだが、
……こう、さ?
触りながら『こうしたい』とか思えば簡単に出来そうなんだよなぁ……
いっそまたの機会を待つか?
でもなぁ、思い立ったが吉日とも言うしなぁ
今日の内に何かして見たいんだよ。
「済まんな、ちょっと遊んでいなさい」
ん?あぁトイレか、
今まで声かけたりしてこなかったんだけどな
親父殿のイベントをこなして好感度上がったか?
とは言えチャンスか……
他に出来そうな事…………良し。
儂は積み木を手に持ち願いを籠める様に魔力を注ぐ。
すると積み木と手の間から淡い光が放たれる、
……そして。
【積み木:加工品:魔力付与品:
父親から息子への愛情が籠っている】
一応は成功なのか?……魔力付与品か。
今回は『壊れにくくなるように』と願って魔力を込めてみたんだが、効果はあったのかねぇ?
イマイチよくわからん、アリア様は使ってる内に慣れてくるって仰ってたんだが……
あっ……
……やべ…ぇ……
……コレ…意外と魔力…使う…みたい……だ……
「クナン?なんだ寝てしまったのか、
本当によく眠る子だ、ははっ寝ながらでもコイツをはなさないとは、気に入ってくれたのか?
ふむ、クナンが起きる前にもう少し数を増やしておくか……クナンの楽しそうな顔など初めて見たな、俺は親として失格なのだろうな」
うーむ、それにしてもあんなに簡単に魔力が無くなるとは、
修業が足りなかったか、
後あの光はイケナイな、
アニメチックでいい感じではあるんだが
秘匿と云う点では落第だ、
そういう物と考えるか
魔力の無駄と考えるべきか……
やはり手から積み木へ魔力を注ぐ時に漏れた分が光ったと考えたら
光がなくなればそれだけ効率が良くなるって事だよな。
もし違っても訓練にはなるんだし無駄には成らない。
- - くなーん - -
後はやっぱり錬金だな。
同じ手探りなら【付与】より強いチートである【錬金術】で魔力の使い方を身体に慣らしてからの方が良さそうだ
イージーモードで操作に慣れてからノーマルにってね?
まぁ初めをハードにして行き詰まった時にノーマルに引き下げて先に進むというのも有りなんだろう
儂のシューティングゲームのプレイは基本それだし。
「起きてよぉクナンってばぁ」
それでもまぁ今回は確実性を求めるかな?
そんな儂は『他人に厳しく自分に甘い』
と自覚してますが何か?
今日の実験で魔力を込めて言い方はアレだけど只の木材を『魔力付与品』に出来た。
(魔力は枯渇したけどな)
籠めた想いは『壊れないように』だったけどその効果の実験はまだ出来てなくて
【付与】した物としてないのでどれだけの差が有るのかも現状では不明。
あぁそうそう字面からして
『魔力が篭っている』だけという事も考えられるな。
魔力や想い、実力が足りなくて結果が出てない場合やら、一時的に篭っているだけで今この時も少しづつ魔力が抜けて行ってるって事も……?
……あれ?結構あり得るんじゃ効果を永続したいとかは特に願わなかったし
只の強化魔法になってた可能性がデカイんじゃ……
儂のやったのって簡易エンチャント?
「私のことお姉ちゃんって呼んでよぉ」
ゲームでも【付与】の効果がある道具はその効果がわかるもんじゃね?
『防御力+(小)』とか『クリティカル発生+(中)』とかさ。
今回のって只の身体強化魔法の付与版ってだけなんじゃ……
戦闘中に防御力上げるみたいな?
魔力込めて切れ味上げるみたいな?
「あっ!起きたぁ!」
どこだ?
「ん?起きたか」
あ、親父殿、儂の積み木は何処に御座すか!
「と~た」
親父殿に手を伸ばす
「ズルい!なんでお父さんばっかり!」
いや、親父殿そんな笑み浮かべてないで儂の積み木をプリーズ!
「ん?もしかしてコイツか?探しものは」
そう言って親父殿は儂を抱き上げ隣の何時もの作業部屋へと連れて行く
「どうだ?」
そう言ってどこか誇らしげな親父殿
おぉ~これは……
「きゃいきゃいたぁ!」
始めの三角形の奴から長方形、四角や台形、少し歪んでいるけど十分に球と呼べる物まである
「ふむ、喜んでいると思っていいのかな?」
勿論ですよ!
これだけの数切り出してヤスリかけるのも大変だったろうに
球の奴なんてどうやって片手でつくったんだ?
っと嬉しくて目的を忘れるところだったぜ。
「きやぁいっ!」
「……遊びたいのか?」
「たぁい!」
「ふむ。」
うなずくと親父殿は儂をその積み木の集められた一画へとおろしてくれる。
「たぁ!と~た、あ~とぉ!」
「『お父さんありがとう』か、
本当にお前は言葉がわかっているように喋るな」
あ、やべっ確か赤子が言葉をちゃんと発声するのがうろ覚えだが、9ヶ月ぐらいだったか?
いや、それは聞き取れる音を出せるのが9ヶ月なのか物事を理解して喋ろうとするのが9ヶ月
……10ヶ月だったっけ?
なんにせよ早過ぎだわな
さっそくやっちまったか。
「む、お前なら将来偉い学師様に成れるかもな」
問題ない、只の親バカのようだ。
(RPGのテキストのように)
「うぅ~ホントお父さんばっかりズルいよ!
クナン!お・ね・え・ちゃ・ん!って言って見て!」
さて、儂が付与を掛けたのはどれだろうか……
確か二つ目が長方形で一個目の四角の奴に掛けたはず……
四角のは三つあってそのどれもが
【積み木:加工品:
父親から息子への愛情が籠っている】
……うん、一個一個心を籠めて作ってくれたのがよく分かる説明テキストです。
本当にありがとうございます。
けどやっぱり消えてるかぁ。
残念?それも有る、
有るんだが同時に楽しみでもあるんだよなぁ。
今までの四ヶ月間只寝っころがりながら魔力を操ろうと躍起になってただけじゃなく。
これから色んな事が出来る様になってゆくってゆう、ワクワク感。
ゲームを始めてこれから何をしようと楽しんでいた頃のように。
「あ~とぉ、あ~とぉ!」
「うむ、お前の為に作ったのだから明日からはコレで思う存分楽しみなさい。」
うん、もうね、
【錬金術】だの【付与】だの忘れて遊びましたよ。
そんで遊び疲れて気付いたら次の日でした
丸。




