創世記
昔々、この木の葉型の世界が出来たばかりの頃の話……。
当時の気候は今に比べたらかなり不安定で、とても一人で生きていくには厳しいものだった。それにも関わらず人々は協力することを知らず、出会えば喧嘩ばかりしていた。だから人々は、明日生きているかどうかも分からないとても酷い生活を送っていた。
そんな人々の暮らしぶりを憂いたのは、天から木の葉の世界を見ていた不死鳥と白蛇の二人の神だった。
ある日二人の神はついに、木の葉の世界に舞い降りた。それは勿論、迷える人間達を導くためだった。
木の葉の世界は、瞬く間に劇的な変化を遂げた。二人が舞い降りた場所を中心に、気候が穏やかになったのだ。人々は二人の神を崇め奉り、その恩恵に与ろうとまさにその場所に我先にと移動を始めた。不死鳥の神の元に集まった人間が後の赤の国、白蛇の神に集まった人間が後の白の国の住民となる。
生活が安定し、明日に希望を持つ様になった人間達はいつしか争うことを止めた。彼らは一か所に定住することを覚え、またむやみやたらに狩りをするのではなく自ら穀物を育てることも覚え始めた。それは明らかな進歩だった。
安定な暮らしは、子孫繁栄にも繋がった。人々は次第に、その数を増やしていったのだ。赤の国で生まれた人間は不死鳥の神の恩恵を受け、いかにも人間らしい小麦色の肌と赤色の髪を持つ者が多かった。また白の国で生まれた人間は白蛇の神の恩恵を受け、天界の人に似た透き通る様な白い肌と白い髪を持つ者が多かった。
やがて人々の数が増え、自分達だけでは目が行き届かないと感じた二人の神は友達の神を呼ぶことにした。そうして天界から新たに水龍の神と麒麟の神が舞い降りてきて、青の国と黄の国が出来たのだった。
平和そのものに見えた木の葉の国だったが、ここで新たな問題が生じた。それは、国が多数出来たことにより人間達が勝手にいざこざを始める様になってしまったことだ。神々は勿論、そんなつまらないことはよさないかと人間達を優しく、時には厳しく諌めた。しかし争いは決して、無くなりはしなかった。
そんな人間達に嫌気がさしたのは、白蛇の神だった。彼は人間達に見切りをつけると、木の葉の世界を徹底的に破壊して無かったことにしようと言ったのだ。
驚いたのは他の神々だった。せっかくここまで面倒を見たというのに、壊してしまうとはどういうことなのか。三人は協力して、なんとか白蛇の神に思いとどまってもらおうと交渉に交渉を重ねた。
しかし結局、白蛇の神を説得することは出来なかった。彼は自分の領地である白の国を破壊し、天へと戻って行ってしまった。
残された三人の神は、白蛇の神がいなくなった分余計に力を揮わなくてはならなくなってしまった。するとどうしても、それぞれの国の端の方では力が行き届かないことが多くなってきた。
困った人々はついに、国と国との垣根を越えて助け合う様になった。青と黄の国が隣り合う場所に、緑の国が出来た。黄と赤の国が隣り合う場所に、橙の国が出来た。赤と青の国が隣り合う場所に、紫の国が出来た。
さらに緑、橙、紫の国の三つの国と接する様に黒という国が誕生し、最近では赤と橙の国の間に金という国まで出来た。このように木の葉の世界は、繁栄の一途を辿っているのである。




