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不死鳥の乙女  作者: ren
精霊の花嫁
35/87

後悔

「……私は一度決めたことを、変えるつもりはない」


 静かに、だが反論を拒絶する様に彼女は言った。だが私も、ここで引き下がるつもりはなかった。


「――あなたは間違ってる!!」


「言葉には気を付けろ、白蛇の巫女よ。 私の何が間違っているというのだ」


 真っ向から見据えられて、私の心は今にも折れてしまいそうだった。でも――。大切な友達を亡くさない為に、私には彼女に抗う義務があった。


「誰かの犠牲によってしか成り立たない世界なんて、そんなの――絶対おかしいよ!」


 顔を真っ赤にし、拳を握りしめて放った渾身の思いはしかし―― 彼女には届かなかった様だ。何故なら彼女はただ素っ気なく、こう返してきたからだ。


「“苦神(くしん)”とは、民の苦しみを背負うもの。 これしきのことで狼狽えるな」


「で、でも……レナだって、本当は――」


「“再生の儀式”は予定通り明朝に行う。 お前もさっさと寝て英気を養っておけ」


 私の見苦しい最後の足掻きに被せて彼女は堂々と宣言し、話は終わりとばかりに彼女はさっさと去っていってしまった。


 ――もう彼女は止まらない……。


 そう悟った私は、その場でただ泣き崩れるしか無かったのだった。

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