お断る私
諸君、私はコントーラが好きだ。
コントローラである。
リモコンではない。
コントローラが好きである。
中でも一番好きなのはスーパーファミコンのコントローラである。
私の夢は自分のデザインしたコントローラを自分の満足の行く品質で具現化させることである。
私は嫌いなものが多い。
例えば食べるのが面倒な食べ物が嫌いだ。
魚とか、骨を取るのが面倒だ。
手巻寿司とか、食べるまでのプロセスが面倒だ。
カニなんぞ言わずもがなである。
嫌いなものの話をしろと言われればそれこそ日が暮れるまで挙げ連ねてはこき下ろせる自信はある。
しかし人間、嫌いなものの話なんぞ聴いていてもつまらないものだと思う。
例えば昨今のラノベの、ストーリーにまったく関係のない、誰にとってもどうでもいい、伏線でもなければその人物を語る上で必要でもなくただ文字数を稼ぐためにあるような長い長いおべんちゃら。
あんなもんは見ていてなぁんも楽しくないのである。
少なくとも私にはまったく楽しくない。
面白くもない。
どちらかと言えばつまらない。
眠い。
全校集会における校長先生のお話と同類だ。
ああ、うっかり嫌いなものをまたひとつ挙げてしまったかもしれない。
それはともかく。
嫌いなものを語るより好きなものを語るほうが有意義であり、また共感を得られないまでも楽しそうだと感じられることはあるだろう。
何より、語る本人が楽しい。
なので私はこれから、ここに好きなもののことを好きなだけ語ることとする。
しかしながら、好きなものの中にも気に入らない部分がままあるものである。
例えば私はコントローラが全部ひっくるめれば好きであるが、中でも現在主流のグリップの付いたコントローラは好きではない。
食べ物ならばスイカは好きだが、スイカの種は好きではない。
こういったどこか自分と咬み合わない点は、たとえ好きなものの中にも存在する。
そこで先に決める。
決めておこうと思う。
嫌いなものについてはその理由を言及しない。
嫌いだという事実を告げ、話題を変える。
好きなものは好きな理由をつけて語る。
裏側まで穿くほどに掘り下げて、しつこく、粘着質に。
先に断っておくが、私はろくな人間ではない。
有言は平気で実行しないことがしょっちゅうであるし、疲れやすいし飽きっぽい。
自分を立派な人間だとか特別な何かだとは思わないものの、可愛くはある。
可愛い物には人間誰しも意識の有無にかかわらず甘くなるものだ。
私は自分に甘い。
覆しようなく、言い訳しようなく甘い。
努力家でも勤勉家でも真面目でもない。
好きなものを語っている最中であっても、唐突にモチベーションを失って話を切り上げる可能性が大いにある。
なので完結と呼べるオチを付けてこのエッセイもどきを書き上げられるかどうかも保証できない。
それでもお付き合いいただけるというのであれば、そういった限りなく少ない可能性が微粒子レベルで存在するならば、しばしのお時間を拝借して駄文を披露いたそうかと思う。