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後悔ばかりの遊園地

相変わらずのバカ&ぐだぐだっぷりですよ~

--日曜日--


 俺、安藤修平(あんどうしゅうへい)は今、親友である田中英明(このバカ)に連れられて、つい最近出来たばかりの遊園地、ココナツランドに来ている。ちなみにチケット代はすべて俺のおごりだ。

「さて、予定だとこの辺で集合のはずなんだが……」

 待ち合わせ場所であるエントランス前に着き辺りをみまわすと、辺りには見知った顔が一人二人……三人。どうやら俺たちが一番最後のようだ。

ピロリン♪

 ……携帯が鳴った。メールみたいだ。母さんからか? ……いや、違う。これは……服部(はっとり)だ。すぐ目の前にいるのに、何をメールで話す必要があるんだ。なになに……

「話すの面倒だからこっちでやる」

 なんっでやねん!!! 題から思いっきり突っ込んでしまった。話すのが面倒だからメールするって、こいつはなんだ!!! クラスメイトだけど、こいつは変人なのか? 精神異常者なのか? だが、本文を見ないことには始まらない。なになに……?

「本文:女子の私服ヒャッハァァァァアアアア!!!」

 ……もう嫌だこいつ。大体こんなん話すのが面倒とかそういうの以前に普通は話さないだろ。前言撤回。こいつは疑いの余地もない変人であり、精神異常者だ。

「でもそういえば、女子の私服を見るのって初めてだな……」

「お? なんだ? なんだかんだ言って結局は斉藤(さいとう)の私服が気になると。ほうほう。」

「ちげえよ!!! どんな思考回路してたら俺があんな怪力暴力女のことが気になってるとかいう発想になるんだよ!? 俺が興味あるのは朝野(あさの)だけだよ!!! バカかお前は!?」

 そうだ。俺が興味あるのは朝野ただ一人。まったく、田中(このバカ)は何を考えてるんだ。

「うっわ、バカはお前だろ……朝野は男だぞ……?」

 は? 何を考えているんだ、朝野はどこからどう見ても女子じゃないか!!! 全く、田中(このバカ)の頭は腐ってるとしか思えない。

「おーい、何やってるんだよ!!! 早くしないと、混んじまうぞ!? ほら、急ぎなよ!!!」

 この()が俺の本命、朝野春人(はると)。ものすごくかわいいのに男口調。田中(大バカ)は朝野のことを男だ、男の娘(おとこのこ)だと言うが、こんなにかわいいのに男なわけないっての。

「ほらさっさとしなよ!!! あたしチケット持ってないんだよ!?」

 このサイドテールの美少女(見かけだけ)は、斉藤優奈(さいとうゆうな)。詳しくは前話参照。

「早くしろっつってんだろ!!!」

「うぼっ!?」

 ……備考、こいつの正拳突きの威力は物凄い。

「安藤!? おい、安藤!!!」

 ……景色が暗くなる。……目が覚めたら、俺は園内に担ぎこまれていた。

「大丈夫か安藤!?」

 真っ先に声をかけてくれたのは、朝野だった。ああ、こんなやつらなんかと一緒にいるにはもったいないくらいに出来た()だ……

「ああ、大丈夫。」

「そうか、良かった……」

 浅野がほっと胸を撫でおろす。ああ、本気で俺のこと心配してくれてたんだな……とか思ってたら、田中(邪魔者)が来た。

「えっと、最初はジェットコースターに乗ろうと思うけど、大丈夫だよな?」

 ……はい? 俺さっきまで気を失ってたんですけど? しかもジェットコースター? 俺乗れねえよ!!! しかしそんなことを言うわけにもいかない。ここは言い訳だ。

「悪い、俺はパス。」

「「どうしてだよ?」」

「どうして?」

「本文:なんでだよ?(メール)」

 ……うん、少なくとも三人の反応はまともだと思うんだ。でもなんで服部はいちいちメールで会話しようとするのかな?

 ……考えてても始まらないし言い訳続行。

「えっとな……俺、昔ジェットコースターで脳震盪(のうしんとう)起こしたことがあるんだ。」

 俺はバカか。

 ああ、もう! こんな言い訳じゃ信じてもらえるわけがないじゃないか……くそっ!!! いまさら取り消すわけにもいかな……

「えっ!? マジで!?」

「そんなことが……じゃあ、待ってた方がいいな。脳震盪とか、やばそうだし。」

「んなもん殴ったら直るでしょ!!!」

「本文:そうか、じゃあお前はやめとけ。(メール)」

 あれ? 以外に通じた……っておい!!!

「斉藤!!! 普通脳震盪の患者を殴るか!?」

「ん? 駄目なの?」

「普通に駄目だろ!!!」

「そう……それは残念。」

「残念ってなんだよ!!!」

 まあいい、結果としてジェットコースターは免れたんだ。問題はない。

 ……しかしこのあと、俺は一人で待つという行為の寂しさを知ったのである。ついていけばよかったと思うほどに寂しかった。なにしろ25分待ち。それに加えてジェットコースター一回分待たされたのだ。退屈と寂しさで堪ったものではなかったのも当然である。

「なあ安藤、これ見ろよ!」

 そう言って田中(バカ)が見せてきたのは、地図。どうやらこの後回るアトラクションの予定を書いたらしい。どれどれ……


1.ココナツコースター(ジェットコースター)

2.リバーステラー(ジェットコースター)

3.ゾンビキャニオン(ジェットコースター)

4.マウントフォール(ジェットコースター)

5.ゴーストペンション(お化け屋敷風ジェットコースター)

6.クレイジーウェイブス(ジェットコースター)

7.ボルケイノバースト(ジェットコースター)

8.シャドウリターン(ジェットコースター)

9.スクリーミングトロッコ(ジェットコースター)

10.コーヒーカップ


 ……おい。

「いじめか? これは今流行(はやり)のいじめってやつなのか?」

「は? え、いやまあ、お前でも乗れるようなやつも一応選んだけど?」

「10番のコーヒーカップだけじゃねえか!!!」

「まあま、早く回らないと時間がなくなるぜ。」

 ……本当にもうやだこいつ。田中(この大バカ者)は、罪の意識を感じてない。

 ……結局田中(バカ)に振り回されるままほとんどアトラクションに乗ることも出来ずに遊園地ツアーは終わった。唯一の救いは、最後のコーヒーカップで朝野と一緒のカップに乗れたことだろう。

 ……まったく、明日もこいつらと付き合うんだよなあ、覚悟しないと。

 俺は一人、帰路に着いた。

次回は普通に日常です。実は何気に田中の名前が……

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