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せめてものことを  作者: 対子落とし
第1章 新しい環境
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第1話 到着

とある方の小説を読んで、影響されて初めて書き始めた(オリジナル)小説です。

殴り書きなど、至らぬ点がいろいろとあるかもしれないですが、何卒暖かい目で見届けてやってください。

 あれ……、いつの間にこんな天気になってたんだろう。今日は晴れると聞いてたのに。やっぱり地域によって天気予報は違うのかな。


「はぁ……」


あっ、さっきよりも曇って来た。しかも雲の色が黒い。これは雨が降るということなのかも。まずいかもしれない。カバンの中に入れてたかなぁ、折り畳み傘。


「寒っ」


おまけにちょっと寒い。これが「冷え込む」というやつなのだろうか。

おかしいなぁ……。服は着こんでいるはずなのに、予想以上に冷え込んできたのかな。しかも、雨が降り出しそうな雲。滅多に見ない天気予報。

でも、たまに見るときがあるんだよね。くもりということもあり、人はあまり見ない。ちょうどよかった。僕は人ごみが苦手だから。


「少し歩かないと身体が寒くて死んじゃいそう……」


はぁ……。憂鬱だ。今のこの身体は、あまり体力がなくてすぐに疲れてしまうくらい、他の人よりかは弱い。

これは寒いけど、どこか椅子に座って一休みするしかないかもしれない。

ついこの前まではそんなことなかったのになぁ……。

普段から身体を動かせば体力は付くんだろうけど、人並みに身体を動かす体力がない。


「どこか座れる場所があれば……」


 今はとある駅の前に居る。

山の上にあるらしく、すぐ近くに小さな川と公園がある。

周りを見渡せばわかるけど、念のためこのあたりがどこかわからないので、携帯電話を取りだして現在地を表示できる地図アプリを起動させる。僕は方向音痴なのだ。一度行ってみないとわからないタイプなんです。地図を読めて、歩ける人がすごく羨ましい。

 現在地は……、と。あっ、出てきた。

さすがGPS付き携帯電話。現在位置の把握もすぐにできる。

でも、あくまでもおおよそらしい。この前このアプリの注意書きを読んだときにそう書かれてあった。その代わり携帯電話のバッテリーをよく使うので電池の持ちはあんまりよくない。補助充電器を持ち歩いている。


「案外近くに公園あるみたいだね」


そりゃあそうか。見渡せば見つけられるんだから。自分でツッコミを入れる。


「イス……」


 イスがない。イスらしきものはあるけど、背もたれと座れるところがあるけど、このタイプのものは金属がむき出しのものなので結構冷たい。でも座りたい。冷たいの覚悟で座ってみる。


「ひゃっ」


ほら、やっぱり冷たかった。これは風邪を引くかもしれない。


「この先が思いやられるよ……」


 この身体になってからは、口調に気を遣っている。もう昔とは違うんだ。そう自分に言い聞かせる。でも、一人のときはいいよね……? いつもの口調に戻っても。


「はぁ……。寒い。しんどい。温もりたい……」


 気分は最悪だ。これならもっと服を着こむんだった。

他のところに移動したいと思った瞬間、雨が降り出した。

慌ててカバンから折り畳み傘を取りだす。

これなら少しはしのげるかも……。代わりに動けなくなったけど。

さっきよりも冷たくなってきた。これはダメかもしれない。そう思ったとき……。


『トゥルルルルルン トゥルルルルルン』


 どこかで聞き覚えのある効果音を携帯電話の着信音にしている僕は、この音が電話の着信音だと気付くのはそう時間はかからなかった。確か、左手で首筋に当てて通信するときに流れる効果音だったかな。


 とりあえず電話に出てみる。誰からだろう?


『ピッ』


「はい、もしもし。瑞穂です」


「あっ、瑞穂。今どこ?」


 誰の声かはすぐにわかった。それは僕の姉、晴香お姉ちゃんだった。


「今? うーん……。駅の近くにある公園だけど」


「あー……。あの辺かぁ。わかった。今からそっちに行くよー」


「あ、うん。わかった。待ってる」


「瑞穂は人より身体が弱いんだから、無理しないようにねー。特に今は雨が降っているみたいやし。できるだけ早めに行くよ。瑞穂は風邪を引くと後が大変だからね」


「うん……。わかっているよ、晴香お姉ちゃん」


 以前僕が遭遇した事件以来、晴香お姉ちゃんは何かと気にかけてくれるようになった。

晴香お姉ちゃん曰く、『そばに居てあげられることができなかったから』らしい。

お気遣いありがとうございます。

……あれ、なんでお姉ちゃん相手なのに敬語使ってるんだろう。なんだかおかしい。まぁいっか。


「ほい。じゃあ、待っててね、瑞穂!」


ぷー……。ぷー……。ぷー……。


 数十秒の通話時間だったけど、晴香お姉ちゃんと電話での会話で、少し心と身体が温もってきた。ありがとう、晴香お姉ちゃん。やっぱり晴香お姉ちゃんは僕の天使様!


 さっきより気分がいいので、周りは雨が降ってるけど、気にしないでおこう。

 電話での一段落が付いたあと、カバンの中に入れていたちょっと大きめの手鏡を取りだして今の自分の姿を映し出してみる。なんかこう、かわいいと思う。

 あれから結構日にちが経っているけど、まだ慣れてないけど、今の自分の身体がどんなのなのかは自覚がある。

 その身体は、自己主張をあまりしない程度にある胸と、人並みにはある身長。でも、ちょっと小さい方に入るのかな。

 髪型は腰のあたりまで髪の毛が長くて頭の上の2か所を髪止めで止めてある。いわゆるツーサイドアップという髪型らしい。

髪型のことはよくわからないけど、これの方が楽なのでこれにしてある。

バランスが取れるし、過ごしやすい。

 服装はとりあえず丈の長いスカートを穿いてる。女の子ものの服はよくわからないけど、できるだけ僕がかわいいと思った服を着ている。けど、似合ってるのかな……。どうなんだろう。少し不安だ。後で祈梨に聞いてみよう。


「久しぶりに晴香お姉ちゃんに会えるね、祈梨」


 語りかけたその顔が、少し嬉しそうに笑っているように見えた。

※諸事情により、ちょっと内容を変えました

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