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れとろげ!〜無趣味な男がレトロゲー好きの女に振り回される日々〜  作者: 税抜き100円の中古本
第一章「レトロゲーム大好き少女との出会い」

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第九篇「PZPをズイッチの偽物という小僧に当時のハード戦争の楽しかった時代を教えてやりたい」

 ゲームの一年目を終える。


「あぁぁぁ……」


 口から煙が噴き出しレイジは痙攣を起こしていた。


「面白かったよ……」


 ガクガク震え口がパクパク開く。


「確かにトラえもん好きなら面白かった……」


 レイジの頭を撫でながら天愛は奪還したような表情を浮かべる。


「でしょ? トラえもん好きなら楽しめます……トラえもん好きなら」


 今年の映画の特典の冊子を読みながら嘆息する。

 レイジの目がキッと見開く。


「トラえもんが好きでなければただのテンポの悪いゲームじゃないか!」


 天愛の声が荒げる。


「ですけどファンゲームとしてはこういう日常系の一つくらいあってもいいじゃないですか!」

「バッドエンドが悲惨すぎるんだよ! て言うかシャイ子に失礼だろう!」

「一週目は大抵バッドエンドなんですよ! 二週目でミスしなければハッピーエンドになります! ちなみに一週目からハッピーエンドも可能ですけどあまり面白くないですよ!」

「一週目バッドエンド前提のゲームかよ! ちなみに一週目のクリアって二週目となにか違うのか?」


 天愛の手が自分の細い腰を掴む。


「まったく同じエンディングです! せめてそこは分けてほしかったですよね!」

「トラえもん好きでもそこは擁護出来ねぇよ!」

「もう開き直ってトラえもんの日常を楽しみましょう! トラえもんは究極の日常系漫画ですし!」

「はぁ……はぁ……」


 額の汗を拭い伸びをする。


「まぁいい……今何時だ?」

「あ……?」


 腕時計を確認するレイジに天愛も部屋の時計を認める。


「夜の九時過ぎてますね……」

「なぬっ!?」



 レイジの顔が行天する。


「また古いゲームで時間を無駄に過ごしたの、俺!?」

「レトロゲーマーの素質十分ですね。いっそのことレトロゲー中心のDtuberになって配信すれば儲かるんじゃないですか?」

「余計なお世話だ! ていうか飯を貰うつもりだったのに気付いたら飯そっちのけでゲームしてるじゃないか!」

「あ、じゃあ今からどら焼き食べましょう! 結局食べてないし……」

「あむぅ?」


 口の中に甘いどら焼きをねじ込まれる。

 天愛も口の中にどら焼きを詰め込み、部屋の奥に設置してある旧ズイッチを指差す。


「ついでにズイッチでプレイできる「トラえもん どら焼き屋さんストーリー」をやります? こっちは神ゲーですよ」

「……」


 口の中のどら焼きを飲み込む。


「やる」

「そう来なきゃ……」


 嬉しそうにジャンプする天愛にレイジはなにか騙されてる気持ちになる。









 ちゅん……ちゅん……


「うん?」


 目を覚ますとレイジの視界に見たことのない天井が映る。


「ここは?」

「よく寝ましたね……」


 いつの間にレイジの腕枕で眠っていた天愛も起き上がる。

 レイジの顔が真っ赤になる。


「お前、なんで俺の部屋に!?」

「ここは私の家ですよ」


 少しだけ大きめの胸を張り天愛も伸びをする。


「先輩、ゲームをしてる最中に寝落ちしたんですよ」


 少しボサボサになった髪を掻く。

 ふわぁとあくびをする。


「優しい後輩が先輩にシーツをかけてあげたんですよ。感謝してください」

「寝てたなら起こしてくれ! 今日も学校があるんだぞ!」

「いいじゃないですか一日くらいサボったって。その代わり私と一日ゲーム三昧しません?」

「しねぇよ!」

「おっ……うぅぅぅ」


 レイジの怒声に天愛の小さな身体が背中から倒れコロコロと転がる。


「あうっん」


 背中をぶつ。


「いたぁ……」

「俺は授業態度だけはマジメで通してるんだよ!」

「成績良さそうじゃないのに?」


 背中を指すりなが起き上がる。

 レイジの喉からまた「うるさい!」と怒声が飛ぶ。


「早く学校行く準備しないと……」

「あ、待ってください」

「なんだよ?」


 履いていたスカートをパンパンと叩き埃を取る。


「先輩が学校に行くなら私も学校に行きます」

「普通は行って当たり前だけどな」

「その前にちょっと待っててください」


 雑にテーブルに置かれていた携帯ゲーム機を取り出す。

 レイジの眉根がひそむ。


「その活かしたGTA(ゲームトイアドバンス)が発展したようなゲームハードはなんだ?」

「PZ(プレイゾーン)ポータルです。これぞ携帯ゲーム機の究極系。学校に着くまでの通学に使う電車の中でやりましょう」

「氷室さんはどこまでもゲームが好きなんだ」

「氷室さんか……私としては天愛(あまめ)と下の名前かつ呼び捨てでもいいんですよ」

「氷室さん、洗面所借りていいか? 顔を洗いたいんだが」

「じゃあ私は先輩が顔を洗ってる間にPZPで遊んでほししいゲームを選別しますね?」

「お前も顔を洗え!」

「……」


 天愛の顔が幼子が不満を持つようにふくれっ面になる。



つづく

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