いきなり面接
店内に入ってみると、時が止まったかのような静けさが広がっている。空気には古紙の匂いが感じられ、店内には所狭しと本棚に入りきらないのか本が積み上げられていた。
「いらっしゃいませ〜」
店内を観察していると、奥の方から痩せ細った割烹着を着た眼鏡の男が出てきた。身長180センチはある俺でも見上げるほどの長身と細身な体型に少し失礼ながら不気味さを感じた。
「すみません、入り口に貼ってあったアルバイト募集のチラシ見たんですけど、まだ募集してますか」
「チラシ見えたんですか?今時間ありますか?なら面接やっちゃいましょう。さぁどうぞ座ってください」
店員の男は、アルバイトの件を話した後、一瞬驚いた表情をしていたがすぐにニコニコした表情に戻り、レジの前にパイプ椅子を置き面接準備を整えた。
「あの履歴書とか何も持参してないのですけど」
「そんなのいいです。何点か質問に答えてくれたらいいですよ。あっちなみに私は店長の浦島と言います。それでは始めましょうか」
まさかいきなり面接が始まると思わず、何も準備していなかったが、店長はそんなもの不要という感じであった。
「とりあえず仕事内容について話しますね。仕事はレジと店内の整理、あとたまに本の修繕をお願いします。勤務時間は朝10時から17時までで、たまに残業をお願いすることがあります。お昼ご飯は賄いがあるんですよ。時給は3000円で、週3日以上勤務してくれたら嬉しいです」
「それでは名前と年齢を今までの経歴を軽く教えてください」
店長から仕事内容を聞かされたが、本屋なのに何故か賄い付き、そしてやはり時給3000円にとても魅力を感じたが、内容としては普通の本屋のアルバイトで特に複雑な感じもしない。
それから、名前や年齢、今までの経歴など聞かれ、質問に答えていたが、店長は終始ニコニコした様子である。
「それでは面接は以上になります。面接の結果は」
面接が終わり、店長は眼鏡を外し面接結果を伝えてくれた。