表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GREEN FOREST  作者: Aju
2/31

2 何の病気?

 渡辺宏之(ひろゆき)と峯岸(とおる)はスポーツ系のタイプではない。どちらかといえば、オタク系だ。

 2人だけで『廃墟同好会』というのを作って、あちこちの廃墟を回っているらしい。

 知り合ったのは中学の時で、夏休みの廃墟探検ツアーで意気投合し、同じ高校に進学してきて同好会を立ち上げた。——と、瑠奈も啓介も純恋から聞いている。

 純恋が「あたしとデートするより、渡辺とデートする方が多いんだから」とボヤいていた。


「あいつら、変な所でヘンなもの拾ってきたんじゃねーか?」

 月曜の朝、啓介は通学のバスの中で瑠奈に話しかけた。

「その辺も含めて、今日聞いてみたい。先生は病気としか言わないしね。純恋は何か知ってるんじゃないかな。」


 ところが‥‥。

 朝、ホームルームが始まる時間になっても純恋は姿を現さなかった。


「どうしたんだろ?」

 瑠奈が心配そうな顔で主人(あるじ)のいない机を眺める。


 ホームルームが終わって1限目が始まる頃になっても、純恋は姿を現さなかった。

 瑠奈が純恋にLAINEでメッセージを送ってみたが、返事はない。


「大丈夫かな? 純恋‥‥」

「電話してみる?」

 純恋と瑠奈は仲がいい。互いの電話番号も交換している。‥‥が。

「それ、けっこうハードル高い。とりあえず、ちょっと待ってみる。」


 1時限目が終わって瑠奈がスマホを取り出してみると、純恋からの連絡が来ていた。

『今病院に来てる あたしも顔に草生えちゃった』

 苦笑いした純恋の顔の画像が一緒に送られてきていた。頬のところに何か緑色のものがくっついている。


「ちょっと、これ見て!」

 瑠奈が啓介に画像を見せる。

 啓介はすぐには反応できなかった。いや、どういう反応をしていいかが咄嗟にわからなかった。


「2人してかついでんじゃねーの?」

「あの子、そんなことする子? 学校休んでまで——。」


 たしかにな‥‥と啓介も思う。これは最悪のレスポンスだったかも‥‥。

 峯岸しても純恋にしても、そこまでガキっぽくはない。


「どこの病院?」

「理科医大だって。学校終わったら、行ってみようか?」

「そうだな。でも、午後も病院にいるのかな?」


 診察が終わったら帰るんじゃないだろうか。


「峯岸くんと渡辺くんもそこに入院してるって言ってたから、たぶん純恋も入院になるんじゃないかな? お昼頃また様子聞いてみる。」


 啓介はもう一度、純恋の顔写真を見る。

 頬のあたりに何か緑色の細いものが生えているように見えた。


 渡辺の腕といい、純恋のほっぺたといい、フェイクじゃないなら‥‥何なんだ、これ?

 人間の体に植物が生える病気なんて、聞いたことがないぞ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ