第一話 邂逅
第一話〜
そこにはゴミ箱に頭をうずめた
黒セーラー服の女の子が寝転んでいた。
「ん?あぁ…見つかっちゃった★」
なんかヤバイ奴だと思って後退りして
その場を去ろうとすると服の裾を
そいつに掴まれた。
「待ってよ、私悪い奴じゃないよ」
仕方ないから話だけでも聞いてやろうと思った。
「で、なに?なんか用?」
「えっと、私は駿河 ミク!16歳!」
えっコイツ年上?と思ったが早生まれなだけで
同い年らしい。
「なんか記憶がなくてね…どうして私が
こんなところにいるのか、検討もつかないの。」
ますます意味不明だが取り敢えず
話を聞いてみることにした。
「上層に行けばなんかわかるかもしれないけど
私上層への行き方知らなくて…」
そんな話をしていると後ろから声をかけられた。
「そこの嬢ちゃんたちよぉ〜
あっちで兄ちゃんたちとイイコトしない?」
振り返るとそこには如何にも三下って
感じの男が3人、立っていた。
左の長身の男が駿河に手を伸ばしてきた。
「ハァ…あんまり使いたくないんだけどなぁ」
私は、ある能力を持っている。
名称は【奈落】ーアビスー
昔しばいたチンピラがそう名付けた。
ぶっちゃけダサいが考えるのも面倒だから
そういうことにしている。
「んだこれ!?ギャア!!ヤメロぉ!」
「シヌゥーー!!!」
「ヤメロぉ!死にたくない!」
男たちは泡を吹いて倒れた。気絶したのだ。
私は駿河に言った。
「ん、安心して。もう大丈夫。」
「え…」
どうやら怖がらせてしまったらしい。
「…ごい…」
「すごいよ!かっこいい!!」
なんか目をキラキラさせた様子で駿河は
手を握ってきた。
「貴方の名前聞いてない!」
どうもこうここまで興味津々で
詰め寄られると断れない。
「私はイズ、深漆 イズ…」
関わってしまった…面倒事は嫌なのに…
ーこの物語は深淵の地と二人の少女の
数奇な運命を追う冒険譚である。