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その差、一回り以上  作者: あさぎ
平和のようでなんか不穏な
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14-3ー1.きゃ〜、の◯太さんの……

色々あるみたいだけど、個人的にグッチーッ!とサンドウィッチー!が好きですあのネタ画像。

 


 3日目は、唯とラウンド◯ンでボーリング大会。

 大会といっても二人だけど。


 ちなみに、ボーリングなんて超久しぶり。

 でも学生の頃は割と得意だったから……今回はいけると思ってた。


(そう、最初はそう思ってました……)


 出だしのこの言い方からしてもうバレバレだけど……結果はお察しの通り。




「うっそ?!なんで〜?!」

「あっははは!静音ちゃん面白〜い!」

「ちょっ、違っ……!わざとじゃないんだってば!」

「いやだって……こんな超急カーブ、偶然じゃ出せないでしょ〜」

「違うんだって、ほんとはもっと……!」

「……っぶふっ!」

「あっこら、吹くなっ!」

「っははっ、あはははっ!」

「もうっ!」


(ほんとはもっと違うんだってば!)


 こんなつもりじゃなかったんだってば!

 ほんとはもっとこう、ストライクとかバンバンいけるはずだったの!ほんとだよ、ほんと!


 そんなはずなのに、今は……


 ピンに向かって真っ直ぐに投げて、しばらくはボールも素直にその通り転がっていくんだけど……途中でまるで謎の力が働いたかのようにぐい〜んと曲がっていき、そしてガーターへ。


「え〜、なんで〜!ここ、もしかして床ちょっと傾いてない?なんか角度ついてない?」


 ほら、床がおかしいとかそういう可能性が……!


「そう?俺の時は普通だったけどなぁ」


 ないですか……さいですか……


「あれ?そういや、前にボーリング得意とか言ってなかったっけ?」

「うっ!」


 だから!これでもほんとは得意だったはずなんだよ〜!


 大学生の頃とかめっちゃハマってて、暇さえあれば友達とやってたんだよ!

 たまに授業サボってまで、やってたくらいだし!(こら)


「いや、その……ほんとは得意なはずなんだけど……なんか調子出なくて……」

「ふふふっ、ほんとかな〜?」


 嘘じゃないってば!


「違うの!こんな曲げるつもりじゃないの!まっすぐのつもりなんだけど……だけど、謎の力が働くんだよぉぉぉ!」

「っはははっ……!フツーそんな事ある?!あははっ、あはははははっ!」


 私の魂の嘆きが引き金となって……唯の顔面と涙腺が崩壊。

 顔しわくちゃにしてうるうるの涙目になりながら、腹を抱えて大爆笑である。


 いや、でもこれ別にふざけてるつもりじゃないのよ!

 いやほんとに、いたって真面目よこれ!ほんとほんと!







 そんなこんなでしばらく遊んで……ふと何気なく頭上の掲示板を見ると、唯の欄に黒い三角がずらっと並んでいるのが見えた。


(おおぅ、なかなかに絶望的……)


 ガーター連発する私と、好調の唯。その差は歴然。

 これでさらにストライクなんかされたら、私もう……




「お、そろそろ疲れた?そうだね、ちょうど区切りいいし……ちょっと一旦休憩しよっか?」


 上気する頬、汗ばむシャツ……ザ・青春……!

 おまけにその右手に飲みかけのスポドリまであって、完璧に揃ってる……!


(素晴らしい、素晴らしいぞ……!むふふふふ)


 いい眺めだなぁ。ぐへぐへ。




 今日の彼はというと、黒字で小さく英字がプリントされた白いTシャツと、いつもの淡い水色デニムといった格好。


(英字……あっ、嫌な予感……)


 筆記体だしちょっと文字小さくて読みづらいけど、これは……なになに、『Today is good weather too』?


 え、えっと……英語習いたての人かな?

 なんか色々ツッコミどころあるけど……つまりサザエさん?サザエさんなの?




 ええと、インパクト強くて話逸れちゃった。戻って戻って……


 白かぁ。白いと、濡れたところがほんのちょっと透けていいよね……うふふ。

 雨じゃないから、そこまで広範囲濡れてる訳じゃないけど……ほんの一部、スポットだけ超うっっっっすら肌色が見えるってやつ。


(う〜ん、セクスィ……)


 えっなんでそんな薄いのに見えるのかって?

 そんなの、決まってんじゃん……目を凝らしてるからさ⭐︎


 発想がおっさん?下品?

 いや〜、心配してるだけですよ?透けるほど汗かいてそのままいたら風邪引いちゃうし、ね?

 そう、心配してるだけ!心配なだけ……!


 むしろいっそこのまま、B地区透けたりしないかな!

 しないかな!わくわく!(曇りなき瞳)


(じ〜……)


 私ががそうやって見てる前で唯は数口飲み、ペットボトル持った腕が下に降りてきて、さらに胸元がよく見えるようになった。

 無意識だろうけど、ありがとう。


(おしい、もうちょっと!もうちょっとで……!)


 汗を吸った生地がピトッと肌に張り付いて、本人は気持ち悪そうだけど……ここからでしか得られない栄養が……


(あっ?!この、ちょっと盛り上がってるところって……もしかして……?!)




「……お〜い?」

「うぉわぁぁ?!」


 我ながらこれまたすごい声出た。


「っふふ、面白い声だね。芸人さんみたい」


 やった〜褒められちゃった〜!……って、誰が芸人や!


「そんなに見つめてどうしたの?俺、何か変?」

「ううん、なんでもない」

「なんでもなくはないでしょ?だってすっごく集中してたじゃん、俺の声にびっくりするくらい」


 うぐっ。


「ああ、えっと……」


(だけど、理由が理由だからそのまま言えない……)


「え?いや、その……すごい汗かいてるな〜って思って」

「汗?」

「うん、Tシャツがぺとってしてたから」




「えっち」




 えっ。




「えっ、えっ、えっ……?」

「静音ちゃんのえっち」




「えっ、あっ、えっ……」


 顔がジュワジュワと沸騰していく。


「も〜、変な事考えてたんでしょ?」

「ち、ちち、違……っ!」


 え?これ、あれなの?キャー静音ちゃんのえっち〜!って事?

 別に風呂場覗いてる訳じゃないけど……ほら、ニュアンス的に!


 キャーしず◯ちゃんのえっち〜!みたいな?

 ん?あっ違う逆だ、の◯太さんのえっち〜!か。


 って……私なんでこの話してんだっけ?あれ?あれれ?


 もうなんかめちゃくちゃだわ。駄目だ、混乱してる私……


(お、おお、落ち着け……!落ち着け落ち着け……!)




「あれ?図星〜?」


 彼は意地悪な顔でニヤニヤしている。


「えっ、あっ、違……違うの!そんな事じゃなくって!いや、そんな事っていうか……別に全然深い意味はなくて!汗かいてるなぁって思っただけで!だから別にそんな変な事とかじゃなくって……!」


 そしてこの怪しさ満点の超早口である。


(し、しまった……!こんな喋ったら余計に怪しいじゃん!)


 余計に赤くなる顔、汗ばむ手のひら。




「……ぷっ!あははっ、ははははっ!」

「わ、笑うなっ!」


 ニヤニヤ顔がみるみる崩れていく。

 どうやら私の動揺する顔見たさで、意地悪されてたらしい。


「あ〜面白っ!ほんっと、そういうとこ可愛いんだから〜静音ちゃんは!」

「もう!」


 くそぅ!ま〜たからかったなコイツぅ!



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