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その差、一回り以上  作者: あさぎ
彼らの胸の奥、しまい込まれた心の声
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13-5-1.影が薄いんじゃない、控えめなだけだから

※神様視点です。

 


 ふぅ……やっと全員見終わったか。

 ちょっとのつもりが、結構時間かかってしまったわい。


 じゃがこれで、彼らの様子は大体分かった。

 好感度はかなり全員上がってきているようじゃが、まだそんなに大事になってはいない……ワシの助けは今のところいらないようじゃの、安心安心。


 まぁ、それぞれ問題は無きにしも非ずじゃが……彼らだって今やそれぞれ自我が出てきた訳だしな、今は彼らの意思に任せて見守るとしよう。


 まぁその代わり、これから先七崎は色々と大変になっていく訳じゃが……




 まぁ、ガンバ⭐︎(๑˃̵ᴗ˂̵ )و


 多分いけるいける、いけるじゃろ。

 君ならきっとできる……ワシ、応援してるぞっ⭐︎




 さてと……それじゃあそろそろ、この辺で切り上げるとするか。


 実は……今日この後、孫が遊びに来る予定があってのぅ……

 ふぅ、これから慌ただしくなるぞ〜。




 ……む?待てよ、なんか忘れてるような……?


 ……


 …………


 ……ああっ!いかん、まだ一人おったわ!


 ええと誰じゃ……えっと……

 あ〜、ええっと……そうそう、『千世 龍樹』!思い出した!

 そうじゃ!すっかり忘れておった……!


 いや〜……登場シーン少ないからって、危うく完全に忘れるところじゃった。歳のせいか最近どうも忘れっぽくてな……いかんのぅ。

 っていうか、そもそも影薄過ぎ……ごほん!な、なんでもないぞ!


 おっと!もう時間がないんじゃった……さてさて、とっとと始めてしまおうか。


 まずは魔法をかけて……それっ!







「龍樹!」


 むおっ?!


 目の前には険しい顔をした女性が一人。

 腰に手を当て、こちらに詰め寄ってきている……


「お、お母さん……」


 なんだ、君のお母さんか。いきなり大声が聞こえてきて、何事かと思ったわい。


 ならよかった……また今回も不穏な感じになるかと思って、思わず身構えてしまったぞ。ふ〜、やれやれ……


「龍樹……まさか、あんた本気でいってるつもり?!」

「う、うん……」

「体力無いし、そもそも運動苦手じゃない!いきなりこんなの始めるなんて……そんなの無理よ!」


 言葉だけ見るとキツいが、息子を心配する気持ちがなんとなく滲み出ていて……前回と違ってちょっと安心。


「うん。だけど、どうしてもやってみたくて……」

「無理よ!無理無理!下手なことして大怪我でもしたらどうすんのよ!」

「でも……!」

「はは〜ん、分かった。なんか訳があるんでしょ?今までこんな事一度も言わなかったのに、急に言い出すなんておかしいもん」

「……」

「図星かしら?」

「……」


 どうやら理由を聞かれているようなんじゃが……彼は口を閉ざしたまま。


「……なによ、言いたくないって?」

「……」


 はぁ〜とため息をつくのを見て、視界がぶるっと小さく震えた。


 きっと、今から烈火の如く怒り出すんじゃないかと思ったんじゃろう……こういうところは相変わらずじゃな。


「……どんな理由だか知らないけど。習い事なんて何一つやった事ない人なのに、とてもじゃないけど続けられるとは思わないわ」

「だ、だけど……」

「あんた分かってる?始めるのはいいけど、続けるのも大変なのよ?入会は簡単、でもそのうち段々つらくなってくる……体力はもちろん、気力もね。それをあなた、続けられる?」

「……」

「やっぱり無理よ。それにどうせ今そういう気分なだけで……何回か行ったらすぐにやめ、」

「ううん、やめない」


 いつになく食い気味の彼の返事に、大きく見開かれた瞳がこちらを見つめる。


「……!で、でも……だからってこんなの無理よ。ちょっと運動なんてレベルじゃ、」

「でも、やりたいんだ」


 お母さんの言葉に被せるような彼の返事。今までとはまるで勢いが違う。


「嘘よ。こんな、」

「嘘じゃない」

「寝て起きたらまた考えが変わ、」

「変わらない」


 普段と違う彼の様子、そしてその口から吐き出された普段と違う言葉達。

 彼のお母さんらしき女性はありえないと言わんばかりに目を丸くさせ、そしてそのまま黙り込んでしまった。


「……」

「……」


 今の彼の発言が相当珍しかったのか、なんと返そうか考えあぐねている様子。


 彼の性格と、このお母さんのリアクションからして……いつもならすぐ口籠ってしまっていたんじゃろう。

 強く言われたが最後、返す事はなかった……おそらくそう。


 これもまた、七崎に接触した影響じゃろうか?……そうかもしれんな。


 しかし、おかしいのぅ……習い事を始めるだなんて、そんなシナリオなかったはずなのに……

 しかも七崎とは学年が違うこの彼は、放課後こそが貴重な接近チャンスだったというのに……一人で習い事なんてしてたら、接点はさらに減ってしまう……なんてこった。


 これは……止めるか、流石に?

 いや、でも……ワシとしては極力彼らの力だけで解決させたいしのぅ……


 自我の芽生えとばかり思っていたが……なんだかそれ以上の変化が起きているような……むむむ、やはりこのままじゃまずいか?


 ……いいや、まだだ。

 ここはまだもう少し、もう少しだけ様子見でいこう……まだ計画が失敗すると決まった訳じゃない。

 最悪の場合、魔法で世界丸ごとリセットしてしまえば良い。


 なにせ、ワシの生み出した可愛い人間(子供)達じゃ……できる事なら彼ら自身の力で未来を掴み取ってほしい……そんな親心……



神「影が薄いんじゃない……ただちょっと存在感が控えめなだけだから!学年違うから接点ないし出番が少ない、しょうがないじゃろ!」


神「ほんとじゃって!ちゃんと名前覚えてたって!ちょっと思い出せなかっただけ!ほら、結局思い出せたじゃろ?時間はかかったけど!」


などと供述しており……


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