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その差、一回り以上  作者: あさぎ
みんな違って、みんないい(感じにヤバい)
57/177

11ー6.たった一言の破壊力よ

 


「へっ……?」


 再び現れた、まん丸な瞳。


 目を大きく見開いているせいか、顔がなんだかいつもより幼く見えて、迂闊にもちょっと可愛いと思ってしまった……よりによってこのタイミングで。


(いかんいかん!今は真剣な話の途中……!)


 キュンとしてないで戻ってこ〜い、真面目な私!


「え、え?えっ?な、なんでもいい……?」

「うん」

「え……」

「ごめんね、なんの解決にもならなくて。でもそのお店のことは、私なんかより唯の方が詳しいだろうから……だから、あんまり口出しできなくて」

「……」

「けど……今みたいに考えて考えて、悩んで悩んで、そうやって最後に唯が出した結論は……どんな形であっても正解なはずだよ」




 何か言ってあげたいとか抜かしておきながら……これである。


 はい、逃げましたっ!汚い大人でこめんね!


 結局答えたのは超絶ふわふわ回答。

 なんの答えにもなっちゃいない。


 なんて言うか……すまん!やっぱりアドバイスできねぇ!

 自営業周りにいないし、やった事ないんで、分からん!


 苦しそうだし何かビシッとアドバイスしてあげたいけど、なんも言えん!


 でも、唯がこうやって悩んだり周りに相談したりして、最終的にこうだ!って決めた事は……きっと、失敗したとしても間違いじゃないはずだから……!


 すまん、これしか言えねぇ!




「静音ちゃん……」


 あっやっぱり?今のアドバイス、駄目だった感じ?


「ゆ……い……?」


 静かなトーンの彼の声に動揺が隠せない。

 いつもふにゃふにゃしてるから、落ち着かなくて。


 しかも上半身をこちらに近づけてくるもんだから、さらに動揺。


(えっ、えっ、えっ……)







「ありがとう」




(……ほわぁっ?!)


 至近距離で発射された満面の笑みという砲撃にズドンと撃ち抜かれ、反射的に胸の辺りをさする。


 いや別に、本当に銃に撃たれた訳じゃないんだけど……なんだか今、ちょっと一瞬大きな痛みが走った気がした。

 心臓が思いっきりぎゅ〜っ!となるような、重い鈍痛が。


 今の、本気でときめいた……って事なのかな?


 たま〜にちょっとした恋愛要素とか甘い言葉が来て、ドキッとしたりするけど……今のはもっとこう、ガチの方の……


 かなり久しぶりすぎて、その辺曖昧だ。

 本気の恋愛なんてもうご無沙汰だから。


(最後は……確か、大学生だったかな?)


 いや……それにしても、それにしてもよ……

 たった一言の破壊力よ……


 その言葉自体、聞くのはこれで2回目だけど……さっきとはパワーがまるで違う。




「……ふぅ、本日のリフレッシュ完了っと!」

「おわぁっ?!」

「あ、ごめん。びっくりした?」


 至近距離のままいきなり立ち上がるんだもん。びっくりした〜。


「日も暮れてきたし、そろそろ帰ろっか?」


 さっきまで綺麗なオレンジ色だった空が、深い紫に染まってきていた。


「そういえば静音ちゃんさ〜」

「ん〜?」

「家って、どの辺だったっけ?」


(お?もしかして、送ってくれる感じ?)


 わお、ありがてぇ。帰りのバス代が浮くぞ。


 乗せてもらう気満々で謙虚さゼロなのは、おばちゃんだからって事で許して……

 えっ、駄目?図々しい?


「家はね〜。えっと、◯◯公園の近くで……」




 ……って、危ない危ない!


 駄目だそんなの、他のキャラにこんな二人でピッタリくっついてバイク乗ってるところなんて見られたら……


 えらいことになる……!

 火花バッチバチ案件!やばいって!


「ああ、あっちの方ね。俺の帰り道だから、ついでだし家まで送ってくよ」

「いや、いいよ」

「んん?遠慮しないでいいよ?」

「いやいや!ほんとにいいって!ええっと、その……私、コンビニ寄らなきゃいけなくて!」


 もちろん嘘。

 二人きりで今こうしているのを他のキャラに見られるとやばいから……ここは、家の近くのコンビニでバイバイする方向で。


「……?そっかぁ。じゃ、そのコンビニ近くなったら言って。止まるから」

「おお、ありがとう」

「よ〜し!そんじゃ、しゅっぱ〜つ!」







 私の尻がとうとう悲鳴を上げ始めた頃、なんとかコンビニに到着。


「楽しかったね、静音ちゃん」

「私もだよ〜初めてだったけど良かった」


 コンビニの駐車場で手を振り合う。


「それじゃ、またな」

「うん、ありがとね〜」




 笑顔で手を振り唯を見送って……バッと後ろを振り返る。


 誰もいない?いないな?


 よし!


(あぁ、怖かった……)


 道中、無事誰にも会わずに来れた。

 内心めちゃくちゃホッとしてる。


 下手なホラーゲームよりこっちのが怖いくらいだ。


(そうだ。せっかくだし、なんか買って帰ろうかな?)


 スイーツとか。スイーツとか。

 あと、スイーツとか。


 普段なら体重気にして躊躇するけど……体型が一切変わらないこのゲーム内なら、堂々とやりたい放題だ。


 え?元の世界でもガッツリ食べてたじゃんって?

 あっごめん、ちょっと耳が悪くて……よく聞こえないなぁ?




 尻の痛みに耐えつつ、ワクワクしながら自動ドアを潜る。


「う〜、痛てて……」


 外で独り言とか、おっさんか!なんて言っちゃいけない。

 ほんとに痛いんだもん、声だって出るわ。


(痛てててて……お、なんだなんだ?あのディゴバとコラボ?)


 チョコプリンか〜ちょうど食べたかったんだよなぁ。どれどれ……




 ちょうどその時、そんな私のすぐ脇を誰かがスタスタと通り過ぎ、店を出ていった。


(……ん?)


 一瞬すぎてほとんど見えなかったけど、唯一目に残ったのは……


(紫色……いや、まさかね……)



ゴディ◯にするかディゴバにするか、表記しばらく悩んだけど……段々めんどくさくなってきて、結局後者に……

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