10ー3-1.夏休みデートラッシュ その3
第三週、歩君とユニラン!
ユニランこと、遊園地『ユニバーサルランド』でデート!
と言っても、人多過ぎてほぼほぼ列に並んだだけで終わったけど!夏休みだしそりゃ混むわな!
イベントの始まりは……やっぱり安定の途中から。
長蛇の列にぶつくさ文句言う彼と一緒に、どこかアトラクションの列に並んでいるところから始まった。
「なんだよ、全然列進まねぇじゃんか」
「でも、あともうちょっとだよ」
「もうちょっとって、何分だよ?」
「看板さっきチラッと見たけど、確か30分待ち」
「30分!おいおい、勘弁してくれよ……」
待てない男、歩君。
「まぁまぁ、まぁまぁ……1時間超えとかよりはマシじゃない?」
「長ぇよ充分」
そう言って、むすっとする歩君。
(おっさんか!待てないおっさんか、君は!)
「そんなの、喋ってたらすぐだって」
「そんな訳あるか」
「ほんとだよ、一瞬だよ」
「ほんとかよ〜」
「ほんとほんと」
待てない彼のために、それはそれは色々と喋った。
ドラマの話に好きな漫画の話、コンビニスイーツとかス◯バ新作の話、そして学校の話……
どんどん次から次へと話題が移っていって……ふと気づいたら、思い出話になっていた。
「小学校、それも一年生の頃……よくランドセル齧って先生に『汚いからやめなさい!』って怒られたっけ」
「ああ、覚えてる。帰りの会の時に急にガジガジし出す……変な奴だった……」
「変な奴って……もう、やだなぁ。あれ、歯が抜けた後はさすがにやってないよ?」
ちょうど生え変わりの時期で、乳歯というか歯茎のあたりが痒くて痒くて。
みんな小さい頃やってたよね?……え、やらない?
「いや、そういう問題じゃねぇから」
「それにあれはあくまで乳歯が痒かっただけで……」
「同じだろ。側から見てて不気味なのに変わりねぇよ」
そう言いつつも彼の顔はなんだか楽しそうで。
本当に毛嫌いしてたって訳じゃなさそう。
「小学生の頃と言えば……なぁ、そう言えば覚えてるか?俺がクラスのみんなにいじめられてた事……」
「え?」
「俺、転校生だったからさ」
(えっ、また知らない設定出てきたんですけど〜?!)
いつぞやの年上が好き発言(記憶無し)といい、今回といい……突然設定後出しすんのやめい!リアクションに困るから!
ほら、歩君めっちゃ不審がってるじゃん!
「え……まさかお前、忘れた……?」
信じられないと言いたげな視線が鋭く刺さる。
「え、ああ、いや……覚えてる。覚えてる、よ……?」
オ、オボエテマスヨー!あは、あははは……
(ここは覚えてる事にしとかないと。一応……)
「……ならいいけど」
ふぅ、危ない危ない……
「でさ、静音はもう知ってるとは思うけどさ……」
うん。その言い方からして、多分その話初耳。
(うげ……また知らない話が来るパターンだこれ……)
もうその空気感で分かるようになった。
なってしまった。もうやだ……
さっきといい今のといい、歩君のイベントってやけに情報の後出し多くない?
何なん、エスパーにでもなれって事?ほんと何なん?
(色々言いたい事あるけど、愚痴っぽくなりそうなのでこの辺で……)




