34-2.そしてあれから
あれからあの攻略キャラ達はどうなったのか。
現実世界に戻ってからもなんとなく気になってはいたんだけど……まぁ異世界だし、と思って忘れようとしてた。
別に知らなくても日常に何の影響も無いし。
でも、それは……ある日、夢という形で解決したのだった。
ある日突然、4日連続で彼らが夢に出てきて……おそらく卒業後であろう姿を見る羽目になったのだ。
『羽目』っていうか、元気そうなところ見れて嬉しいっちゃ嬉しいけど……
でもそれをそこまで望んでなかったっていうか……いや、やっぱ『羽目』だな……
相変わらず何の説明も無かったけど、雰囲気からして多分そう。
これまで散々察してきたんだし、合ってると思う。そこそこ自信あるよ私。
(まぁ……きっとあの爺さんの仕業だろうな、どうせ)
『ぶえぇっくしょい!』
ん?なんか聞こえた?
まあいいや、ともかく……
私がその事ばっかり気になっちゃって、現実世界に支障出ないようにって……きっとそんな事だろう。
そりゃあ影響出たら、責任問題だもんな。
こっちの世界の神様と揉める事になるのは避けたいはず……こっちの神様ってどんなんだか全然知らないけど。
という訳で……以下、私が見た夢の内容をざっくりと。
一番手、まず歩君。
彼はどうにか無事試験合格して、大学生に。
授業をサボって遊びに行ったり、たまには真面目に講義受けたり、バイトしたり……キャンパスライフを色々エンジョイしてる。
大学入学してすぐに告白されて彼女できたけど、彼の激し過ぎる性格ゆえに一週間も持たずに破局。
でも、今付き合ってる次の彼女とはうまく行ってるみたい。
彼自身反省したのか、はたまたものすごい包容力のある彼女さんなのか……
って……そんな次から次へと、モテモテだなぁ。
なんだなんだ、モテ期到来かぁ?
確かに性格以外は普通にイケメンだったけど……まさかそんなにとは。
まぁとりあえず、あのままつらいまま引きずってる訳じゃなさそうで良かった。
大学生活楽しんでね〜。
次、唯。
適当なところに就職……と思いきや、卒業後久しぶりに実家に帰ったところ、どういう訳か偶然お店にいた大企業のお偉さんに気に入られ、そこで働く事に。
流石の唯でも慣れない環境に戸惑ってるみたいだけど、なんだかんだ充実した毎日を送ってるみたい。
彼女はいないみたいだけど、今はそれどころじゃないっぽい。他が楽し過ぎて。
というか、むしろ恋愛なんてしなくても全然充分すぎるくらい今が充実してるって感じ。
いいな〜。順風満帆、めっちゃいい流れじゃん。
羨ま〜。
いっちー。
予定通り医学部に進学……と同時に一人暮らし開始。
勉強はなかなか大変だけど、生まれて初めての自由な生活を楽しんでる様子。
あれほど堅かった性格も……監視の目がなくなったおかげかだいぶ緩くなって、結構夜遅くまで遊んでたりするみたい。
あと、友達に色々悪い事とかグレーゾーンな事とか教わってるみたい。
これまでが優等生過ぎたからね。年相応に、少しくらいはね。
こっちもこっちでいいな〜、大学デビュー楽しそう。
反動で羽目外しすぎるなよ〜。
秋水。
音大に進学した事で自分と同じような音楽一筋の人が多くなり、友達が一気に増えたみたい。
これまで周りに似たような人いなかったから、話が通じて楽しいのかも。
かつては人間嫌いだったけど、そんな環境のおかげかだいぶマシになったっぽい。
それでも基本的な性格は変わってなくて、同じクラスの似たようなツンツン系女子とよく喧嘩してるみたいだけど……でも、なんだかんだ言いながら一緒に練習したり、二人で遊びに行ったりしてるみたい。
仲良いんだか悪いんだか。
……って、待てよ?二人きりで遊びに行くって……
それもしかして……おや?おやおや?
「ふあぁ……」
今日がその連続した夢の最後の日、秋水の夢の日だった。
今日というか、今さっきか。
そう、今ちょうど起きたところなんです私。
今まさにベッドで上半身起こしてぼーっとしてるところなんです。
「ふわ〜ぁ……」
あくびが止まらない……なんか頭がぼ〜っとしちゃって。
今日が休みだからって、遅くまで起きてたからなぁ。
まぁ、なんていうか。
とりあえず全員分見れて……みんななんだかんだうまくやってるみたいでよかった。
最初はびっくりしたけど、やっぱりこうして考えると、見れてよかったかもな。
これで、安心して自分の生活に集中できる……
え?私の方はあれからどうかって?
そうだなぁ、私は……
「……ぉはよ」
「うおぉぅっ?!」
布団の中からいきなり声がして、思わずすごい声が出てしまった。
寝起きっぽい感じの気怠げで低い声。
「え?ちょ、なんっ、起きてたの?!」
「ううん、今起きたとこ……」
布団から肌色多めの何かがモゾモゾと出てきた。
まぁ、何かっていうか誰かさんのすっぽんぽんな上半身なんですけど。
「ん〜……」
なんだかぽやーっとしてて、目がほとんど開いてなくて……確かに今起きたっぽい。
「疑ってごめん、寝起きね?」
「ふあぁ〜……」
返事の代わりに、かっこよさ皆無の情けない大あくび。
からの……大きく伸びをして、体の筋がぐ〜んと伸びていく。
「んん〜……っ」
そして流れるように今度はそのボサボサ頭をポリポリ、そしてお腹もボリボリ。
おっさんかよ……って、おっさんだった。例えじゃなくて本物。
え?この彼は誰なのかって?
えっ、そ……それは……
「ご……ご想像にお任せします……」
「ご想像……?」
「あ〜、違う違う。今のはたっちゃんに言ったんじゃなくって……」
あっ。
と、とにかく!
えっと〜、毎日幸せです!はい、以上っ!
以上ったら以上!終了っ!
「何慌ててんの?」
「いや……その……」
「まぁいいや、それより……シャワー浴びてくる」
「えっ、それはちょっと……!」
「え?」
「い、今は駄目っ!」
見てる人いるから!
文字とはいえ、この場面見てる人いるから!
今、どんな姿してるか見られたら……!
「なんで?」
「あっ、ちょっ、待って!ベッド出ちゃ駄目!」
待って待って!今は危険!
だ、だって、今出たらアレが……!
何かこう、大事なものが……まろび出てしまう……!
「ちょっ、待っ、わあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
最後の締め方汚くてすみません。
こんなのしか思いつかなかったんです、許して♂
あと、突然敬語からタメ口になったのは作者の性癖です。あと名前の呼び方も。
ほら、仲良くなったらそういうの変わるの、良くないですか……?
個人的にグッとくるポイントなので、どうしても入れたくて入れちゃいました。
しっかし、えらい長編になってしまった……長々最後までお読みいただきありがとうございました!
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