3-3.盆回りって言うらしいよあのBGM
じ、人類滅亡シリーズ……(ボソッ)
『迷い人』と恋人になる事。それが絶対的な条件で大前提。
それは、逆に言えばつまり……この世界の人間である他の四人とは恋人になってはいけないって事。
(正解以外に、間違いの選択肢が四つもあるって事じゃん……)
う〜ん……二択、三択くらいならいけそう感あるけど……なんせ五人だもんなぁ。
そんなに選択肢あれば、うっかり間違える可能性だって充分ある訳じゃん?
(そう考えると、結構厳しいな……)
「あの……ちなみになんだけどさ、もしも……間違えて他の人と恋人になっちゃったら?」
「そうならんように努める、それが君の使命じゃ」
「いや、そりゃそうなんだけど……もしもそうなったらなんかあるのかなって。ちょっと気になって……」
「う〜む、そうじゃな……もしそうなったら……」
「そうなったら?」
「この世界は……やがて滅んでしまうじゃろう」
えっ。
脳裏に浮かぶ爆発する地球の映像、そして一緒に流れ出すあの軽快なBGM……
「へっ?!ほ、滅っ……?!」
「滅ぶ」
「は?えっ?えっ?」
「ほ、ろ、ぶ」
うっさいわ!そう何度も言わんでも聞こえとるわい!
私の耳はまだまだ健康ですから!
若くないっつったって、まだそんな歳じゃないから!
それはさておき……えっ、なにそれ?
たかだか高校生数人のちょっとした出来事なのに……それが、世界にまで影響?
「もし、この世界の人間にワシの声を届いてしまったら……それは世界の秩序としておかしな出来事。分かりやすく言うなら、ルール違反じゃ」
まぁそりゃあ……一応神様なんだし、人間とは直接関わらないはずの存在な訳で……普通に会話できちゃったら、おかしいもんね。
なんとなく分からなくはない。
「あれ?じゃあ、私は?」
「君は別の世界の人間、ワシの管轄ではない。だからこうして話をしても別に問題はない」
「ふぅん」
「それに、君のいた世界にもまたそこを管轄する神がいるはずじゃ」
「え、いるの?!」
「ああ、おそらくはな」
「へ〜」
分かったような、分かんないような。
「話を戻すと……もし秩序が狂ってしまったなら、この世界は存在していられなくなりやがて崩壊していくじゃろう」
「ほ、崩壊?!」
「うむ。全て何もかも消えていって……終いには君も、その『迷い人』も、そしてこのワシも……跡形もなく消えてしまうじゃろう」
「え?!な……な、なにそれ……?!」
(世界が消える……?!)
間違った人選んじゃったら、ルール違反?
世界が存在していられなくなる?それで崩壊?
みんな消えていなくなる?
(?????)
謎理論が展開されてて、頭が追いつかない。
「好意には応じるな、あくまで傍観者に徹しろ……なんて、君に厳しく色々と制限をつけさせてもらったが……それはこの最悪の事態をなんとしてでも回避するため……」
「……」
「一度崩壊が始まってしまったら、ワシとて何もできん……もはや誰にも止められない……」
なにそれ怖い。かなり責任重大じゃん、私。
「で、でも……でもさ!かと言って、その『迷い人』って誰か分かんないんでしょ?」
「そうじゃ」
そうじゃ、じゃねぇ!しれっと答えんなじじぃ!
そこ、一番ネックだから!
難易度無駄に高いの、そのせいだから!あなたのせいだから!
一発引っ叩いていい?この爺さん。駄目?
「そう心配するな、大丈夫じゃ。彼らと共に行動していれば、いつかきっと答えは自ずと見つかる」
なんかいい感じの事言ってる風だけど、内容ゼロだから!
それなんのヒントにもなってないから!
勝手に良い話みたいに流れ持ってくな!
「いやいやいや!簡単に言うけど……無理だって!」
誰が正解だか分かんない、手探り状態だっていうのに……いざ相手を間違えたら世界終了って、そんなの……
(無理無理無理無理!無理ゲーだよ、そんなの……!)