表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その差、一回り以上  作者: あさぎ
平和のようでなんか不穏な
115/188

17-2.死別エンド?早過ぎません?

 


 なんか変に疑われたまま、とりあえず話は再開。




「広くて真っ直ぐな道って、それだけ聞くと安全そうだけどなぁ」


 障害物も何にもないんなら、なおさら……


「きっと気ぃ抜いてアホみたく飛ばしたんでしょ」

「あ、そういう事か」


 気の緩みは事故の元、って言うしね。


 私もよそ見して自転車漕いでて、電信柱に激突した事あるし。

 カバンに入ってたスマホを必死で守ろうとするあまり、思いっきりすっ転んであちこち打撲と擦り傷まみれ、あと変に捻って捻挫も……フルコンボだドン⭐︎


 治るまでがほんと地獄だから、良い子のみんなはちゃんと前向いて漕ごうね⭐︎七崎さんとの約束だぞっ⭐︎




「その道みんな飛ばしがちなんだって、何もないから」

「まぁ、気持ちは分からなくもない」

「ね。だけど、普段ほとんど交通量ないから事故にはなってなかったみたい」

「田舎あるある」

「でも、今回は珍しく……その人が反対車線に吹っ飛んだところにちょうどトラックが来ちゃって」

「げ、最悪」

「で、まさか人が倒れてるとは思ってなくてスピードそのままで……」


 あっ……これ、先が読めたぞ。


「気づいた時にはもう時すでに遅し、バイクごと体を引きずっていって……」

「ひっ!」

「それで、なんとそのまま……!」

「ひぃ!す、ストップストップ!」


 まだその先を語りそうな雰囲気だった彼女を手で制す。


(いや、まさか……流石に違うだろうけど……)


 だって、だってさ……これがまさか、ほんとに唯だとしたら……




「ってか、めっちゃ詳しいな!」

「調べたもん私」

「調べたんかい!」

「え、結構気になっちゃわない?そういうの」

「誰かは気にならんのな」

「だって〜、調べてもその辺出てこなかったんだもん」


 んまぁ、確かに。プライバシーとかあるもんね。


「そうそう、それで……引きずられたまま……!」

「だから、スト〜ップ!」

「おっと。グロ系はNGだったか、しずは」


 ほんとはそういう意味じゃないけど……

 ストップかけたいし、そういうことにしとく。


 まさかとは思うけど、本当に唯だとしたらネタどころじゃないから……


「うん、ごめん。ちょっとストップで」

「ほいほい。まぁ……なんていうか、辺り一面トマトジュース飛び散って相当やばかったんだって」


 止まらんのかい!おい、ストップかけた意味!


 気を使ってトマトジュース(隠喩)にしてくれた……

 って、そういう問題じゃなくない?


(辺り一面……!うひぃ〜……!)


 ぞぞぞっと血の気が引いていく。想像だけでもう、なんか……


「あ、トマトジュースも駄目?」

「いや駄目だろ」


 割とモロやん、それ。


「ごめんて」

「この私が許すと思うか」

「思う」

「許す」


 茶番乙。




「で、しかもさ〜……なんか知らないけど、家庭の事情が色々あるらしくて……親じゃなくてまずお姉さんが呼ばれたらしいよ」

「へ?お姉さん?」


 い、いかん!今ので揃った……!条件揃っちゃった……!


 これ、絶対……あかんや〜つ!




 って!ちょ、待て待て待て!


 ちょっと待って!またまた忘れそうになってるけど!これ、恋愛ゲームだぞ?


 なんで対象死んでしまうん?せつこもびっくりの超展開よ?


 いや、そりゃあ……そういうストーリーもあるよ!死別エンド的な!

 でもこのゲームそういう話じゃないし、そもそも私達まだそういう深い仲にすらなってませんけど〜?!


「珍しいよね〜。普通そう言うのって親が来るじゃん?」

「ま、まぁ……色々とあるのかもね〜……」




 まさかあの彼が……


 いや、そんな訳ない。きっとない。ありえない。


 だけど……イベントが発生したからには五人のうちの誰かしら絡んでるはず。


 今までずっとそうだったんだから多分そう。

 あの爺さんが突然気まぐれでも起こさない限り。




(……!)


 脳裏にふと、とある彼のゲーム内画像が浮かんだ。


 正直、私は彼のルートをやったことがなかった。

 でも……当時友達の誰かがプレイしてて、『これやばいよ!』って興奮して見せてくれた事があって。


 それが……包帯を頭に巻いて、白い患者服を着た唯のスチル。

 包帯はゆるゆるだし、胸元思いっきりはだけ過ぎだしで、もはや怪我とは?って感じのお色気サービスシーンなんだけど……


 当時は赤と緑以外眼中になかったんだけど、その健康的な胸板と首筋の魔力には抗えなくて、つい見てしまっ……

 あっごめんなさい嘘です、超前のめりでガン見してました!


 だって、めっちゃえちえちだったんだもん!

 推しじゃなくたって、そんなの見ない訳にいかないじゃない?!(?)


(……)


 とは言っても……


 そもそもこのゲーム、そんな鬱展開とか一切無いはずなのに。

 それも死ネタなんて……絶対に無かった。


 だけど、怪我をした画像があるって事は……やっぱり唯の可能性が……


(いやいや!無い無い!無いって!)


 流石に死んじゃったらもはや別ゲーになっちゃうし!

 そんなの、シナリオが変わらない限り無いって!


(あっ)


 シナリオが変わらない限り……

 つまり、シナリオが変わっていたら……


 もし本当に、『その誰か』が彼だとしたら……?




(その可能性は……)


 心臓がゾワゾワし始めている。


 鼓動が早鐘を……なんて綺麗なもんじゃない。

 まるで、何か得体の知れない物が心臓の周りにくっついて動き回ってるみたい。


 焦りと恐怖と興奮が入り混じって、ザワザワザワザワ……とにかく不快で気持ち悪い……


(唯……っ!)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ