炎上系歌手 卯花月 二話
芸能人パロディ。
四月一日の悪ふざそのニです。
卯花月という名前の集団名で活動している三人組の歌手がいる。
真琴。
綱吉。
烏。
この三人が卯花月の顔ぶれである。
しかしこの三人が度々問題を起こす為常日頃から炎上している。
しかし何事もなく芸能活動を続けているのは卯花月の支配人である天野の手腕によるものとご都合主義だ。
◆◇◆◇◆
歌手である三人は歌う他に娯楽番組に出る事がある。
「くたばれ!」
「お前がくたばれ!」
この日三人はお昼の娯楽番組に出演した。
「そっちがきえろ!」
「ふざけるな! 誰がお前の言う事なんか聞くか!」
番組内の企画で共に出演もの達で遊びとして軽い運動をする事になった。
「こんの!」
「やったな!」
種目は二対二で行う羽根つき。
「くらえ!」
「そうはさせるか!」
番組を盛り上げるお遊びだったのだが、二人のせいで殺伐とした状況になった。
「さっさとたおれろまこと!」
「お前が倒れろ三日月!」
現在、殺意が込められた羽根をお互いに羽子板で返しているのは真琴と大人役から子役まで幅広く活動し人気急上昇の俳優、三日月 直近。
二人共相方を放置して鬼気迫る勢い羽根を羽子板で叩き相手にも羽根を叩きつけようとしている。
「…困ったな。」
三日月の相方として参加しているのは子役で大活躍している俳優のクリムゾン・ビックベル。
何度か三日月を止めようとしたが、真琴の相手に夢中で全然止まる気が無い。今は一度も使われていない羽子板を持ったまま呆然と立っている。
「困ったねー。」
真琴の相方として参加しているのは卯花月の一人、烏。
真琴と三日月の目が合った瞬間、すぐに試合を放棄して傍観を決めていた。
「誰だ。あの二人を一緒にしたのは。」
少し離れた場所から羽根を叩きつけ合う二人の姿を眺めながら額に手を当てて呆れた様子の綱吉は独り言を言う。
真琴と三日月。
この二人は仲が悪い。すこぶる悪い。初めて出会った瞬間から喧嘩をするほど仲が悪い。仕事中であろうとなかろうと喧嘩し罵り合うほど仲が悪い。
だから芸能関係のもの達は二人が一緒にならないよう注意している。
「おら!」
「せい!」
が、この日は何かしらの間違いがあったのか真琴と三日月が一緒の仕事をする事になり、案の定二人は仕事そっちのけで喧嘩を始めた。
「また炎上確定のでしょう。」
羽根つきをまったく止める気の無い二人を何とか止めようとし、しかし二人の殺気に怯えて震える事しか出来ない番組関係のもの達の姿を見て天野はぽつりと呟いた。
もちろん炎上した。




