『暴食の魔女』
砂と岩しかない世界
風が吹く中、1人の老婆だ歩いている
ガリ、ガリ、ガチ、石を頬張り飢えをまぎらわしている
あぁぁぁぁっ(ひもじい)あぁぁ(ひもじい)
白髪でボサボサの長髪 乾いた色黒の肌 長くなった爪 窪んだ目 カサカサの唇 枯れ枝の様な裸体
老婆は 右手に石 左手に骸骨を抱え世界を延々と徘徊してた
その老婆は かつて暴食の魔女 と呼ばれていた
魔女が何故 このような姿になってしまったのだろうか
それは 古い 古い お話し
◆
ムシャ、ムシャ、ガツガツ、ムシャムシャ
「マーズ、また そんな食べ方をして!マナーを学びなさい」
「な、何よ ヴィーナス またマナー? マナーって美味しいの?」
かつて美しい双子の魔女が巨大な城に城主の妾として、魔法の指南役として城で暮らしていた。
「何度言わせるの? 美味しくはないけど城主の顔に泥を塗るような事はしないでってこと」
「大丈夫だよ。その時は大人しく食べるから」
ムシャムシャ、ガツガツ
「まったく」
◆
ガツガツガツガツガツガツ、ムシャムシャ、ゴックン
「ぷは~、10時の昼前食美味しかった。さて、デザートは城下町のムーンの試作品のプリンだ……楽しみだな。ムーンが僕の為に作ってくれたプリン」
城主がマーズの為に用意してくれた専用冷蔵庫を開けて見る
「あれ?」
「あれ?」
「どこ?」
「確かに、左上に置いたのに」
焦るマーズ
何故なら、マーズはムーンに恋心を抱いていた
「ない、ない、ない、どうして?」
「どうしたのマーズ?」
「ヴィーナス、僕の冷蔵庫にあったプリン知らない?」
「…」
「ねぇ」
「マーズ、ごめん。たまたま、買ってきたプリンが余ったから冷蔵庫に入れたんだ。そしたら食べた事のないプリンがあったから、交換しちゃった。ゴメンね」
「ヴィ、ヴィーナス…?」
「だから、ゴメンって。数は変わってないから いいでしょ? それに……だって私、暴欲の魔女じゃん。食欲が出てきちゃってw」
「わ、わ、わ、」
「マ、マーズ?」
「わ、わ、私のプリンを食べた!!!! ゆ、ゆ、許さない!私の大事なプリン……」
「マーズ!落ち着いて! 」
マーズはヴィーナスに襲いかかった
ヴィーナスは、マーズが本気と思わず油断していた。
マーズはヴィーナスの、障害回避欲 性欲 安全欲 優越欲 愛情欲 承認欲 生存欲 食欲 などを次々と食べていった。
「ダ、ダメよ。マーズ!あなたが私の欲を取り入れては…………」
もはや、遅かった。ヴィーナスの欲を取り入れたマーズは暴走を始めた。
「うおぉぉぉぉぉ!!!!!な、何だ!この甘味な麻薬以上の欲は!ヴィ、ヴィーナスは、こんな欲を制御してたのか! ぐ、ぐわぁぁぁぁぁぁ」
◆
もはや、欲の虜に落ちたマーズは理性を失ってた。
目に映る全ての物を手に取り始めたのだ。
「旨い、旨い、旨い。もっと、もっと、もっと……」
マーズは世界を手当たり次第に食べ始めた。
動物、亜人、魔物、草、虫、人間……旨いものから徹底的に食べていった。
数千年の暴食を貫いたマーズ
姉妹も食べた、自分の糞尿も食べた。
もう、これ以上 口にできる物は残ってない。
それから、マーズは永遠と思える砂と岩の世界を徘徊してる。
その世界の星の名は、火星と言う。
こんばんは
読んで頂き誠にありがとうございます。
今日のTwitterトレンド『暴食の魔女』です。
えっと、暴飲暴食はダメですよw