時短協力金で豪遊する飲食店経営者の元へOOOOが。「知らずに使っちゃった」と言い訳してももう遅い。
コロナ禍の経済対策として様々な給付金や協力金があるが、自分も2020年は収入が激減したので、「持続化給付金」を受給した。
他にも様々な給付金や協力金が支給される中、「時短協力金で高額な買い物や海外旅行など、豪遊している飲食店経営者がいる」なんて話も、耳にされた方がいらっしゃると思う。
「協力金バブル」というやつだ。
腹立たしく感じる人もいるだろう、その気持ちはよくわかる。
だが、自分の中ではそんな話を聞くたび、「それ、大丈夫か......?」という思いがよぎるのだ。
むしろ、若干の寒気すら感じる。
季節は秋。
今回は自分の脳裏によぎる思い(妄想?)を、そしてなぜ寒気を感じたかを、少し語ってみたい。
さて、先に挙げた「持続化給付金」の満額は100万円。
では、まるまる100万円が懐に入ると思ったら、実はこれが大間違い。
この給付金は「売上(収入)の補填」という扱いになる。
つまり、「課税対象」なのだ。
(ちなみに、国民全員に配られた10万円は特例法で非課税)
この100万円から、所得税に始まり住民税や健康保険税など色々引かれていくと、手取りはおよそ7~80万円くらいではないだろうか。
それでは、飲食店への「時短要請協力金」はどうか。
同じく、売上の補填扱いであり、立派な課税対象だ。
つまり確定申告の際、きちんと売上として計上しなくてはならない。
「バブル」というくらい協力金を貰っているのならば、納める各種税金もかなりのものになるはずである。
所得税は累進課税(所得が多いほど税率が上がる)であり、さらに住民税なども所得が多いほど税額も上がるからだ。
なので、豪遊して使っちゃっていいの?払う税金残してるの?というのが、まず自分が感じたこと。
そして次に思ったのは、そもそも時短協力金をちゃんと売上として申告しているのだろうか、というところだ。
実は、個人事業主の間で「持続化給付金が課税対象と知らない人」も結構いた。
ということは、時短協力金が売上扱いになるとは知らない飲食店経営者もいるのではないだろうか……?
ちなみに、協力金をどの店に支給したかは、ちゃんとデータが取られているはずだ。
そして、協力金をたんまり受け取っているにも関わらず、それを申告せずに豪遊している飲食店経営者の元へある日、「税務調査」が入ったら……。
もう一度言うが、季節は秋。
秋といえば、税務調査の季節なのである。
時短協力金を受給したのに申告していないというケースは間違いなく叩ける上、金額も大きいので、税務署が調査に行ってもなんらおかしくはない。
なにせ、メルカリ転売者にすら目をつけるくらいなのだから。
~~メルカリ転売で儲けたら、家に税務署がやってきた~~
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78989?page=3
そして、そのような飲食店経営者の元へ税務調査が入れば、協力金に対する追徴課税を余儀無く課すだろう。
「知らずに使っちゃった」と言い訳してももう遅い。
下記のページにも詳しく書いてあるが、追徴課税の徴収についてはとても厳しく、「知らずに使っちゃったので払えません」なんて話は通らない。
最悪、財産の差し押さえまである。
~~税務調査の追徴課税が払えない場合ってどうなるの?~~
https://ashiyakaikei.com/tax-investigation-cannot-pay/
そして、調査は時短協力金の件だけでは終わらないと思う。
なぜなら税務調査が入った場合、過去数年分の申告内容もチェックされるからだ。
この過去分を精査した際、いい加減な申告をしているのが発覚したら、そちらにも追徴課税を課すのではないか?
恐らく預金通帳も提示させて申告額と照らし合わせ、明らかに差異があった場合、この辺りもきっちり絞るのではないだろうかと......。
……。
あくまで想像の話ではあるが、2020年度分の税務調査が始まったであろうこの時期に、そんなことを考えていたら寒気すら感じてしまった、という次第だ。
こういった分野に明るい方、もし何か認識違いや補足があれば、ご指摘いただけると幸いです。
さて、今回取り上げた「時短要請協力金」だが、そもそも支給の仕方に問題があると思う。
本来なら前年の所得額に応じて支給額を決めるべきで、一律でいくら、とするから個人店にはバブルだの、大手チェーンには全く足らないだのと、トラブルの元になっている。
また、税務署に関しては「怖い」「厳しい」などのイメージを持つ人も多いのではないだろうか。
かくいう自分もそうなので、税務調査のお世話にならないよう、経費の家事按分比率などはかなり控えめにしている。
だがそれ以上に、税金は皆で納める、国の大事な収入源なのだから、むしろきちんと監視し悪質な脱税などには厳しく対処してほしい、という気持ちの方が大きい。
そして何よりも......コロナ禍で多くの人が様々な制限を受け、苦しい思いをしている中、協力金で豪遊し申告もしない経営者が本当にいるとしたら、税務署はしっかりと是正を促してほしい。