魔力検査ですか?
詩・短編を書いてみました。
気に入っていただけるか分かりませんが
一生懸命に書いてみました(^_^)
1000文字ぐらいで書いてあります。
物語の断片や本の1ページのようなモノだと思いながら
暇なときにでも読んで
楽しんで頂けると幸いです(^_^)
新しい仲間が増えて数ヶ月。
彼ら子供警備隊は少しずつ僕らの環境に馴染み
決められた範囲ではあるが
休憩の時には
魔王城の働く人と遊ぶまでになっていた。
その光景を見て
連れてきて良かったと思っていた。
そんなある日。
部屋に訪ねてきたミカエルが
こんなことを言ってきた。
『王子。そろそろ魔力を計ろうと思うのですが…』
魔力…?
その言葉を知らないわけではない。
僕のいた世界でも漫画とかで聞いたことあるし
実際にミカエルさんの魔力を見たから。
だからこそ思うのは
「自分にそんなモノがあるのか?」と…。
僕は違う世界で生きてきた人間。
そんな物があるはずがないと思うのだけど…。
「僕の魔力を計るのですか?」
「はい。魔王様の後継者ですので、調べなければ…」
「そうだよね…。でも、僕に魔力なんてあるの?」
「そうですね…。では、良い機会ですのでご説明させていただきます」
そう言うと
ミカエルは僕を近くにあった椅子に座らせて
魔力について解説してくれた。
生き物の脳には、「魔力領域」と言われる部分が必ずあると言う
ここを使えば魔力を使用できる。
ただ
ここを使うには「慣れていない」といけない。
例えば
いきなり細い板の上に乗れと言われても
バランスを取ることは難しいが
何度も練習すれば乗れていく事と同じこと。
そうミカエルさんは言う。
「じゃあ、僕にもあるということ?」
「その通りです」
僕は淡い期待を抱く。
一体どれくらいの魔力が僕にあるのだろうか。
それから僕達は
魔力を測定する機械がある部屋へ移動した。
その中へ入ると
すぐさま
ミカエルさんが機械のシステムを起動させて準備を始める。
全ての機械に明かりが点り
少しずつ動作音が部屋に響いていく。
「では、王子。機械に乗ってください」
僕は言われるがまま
機械の言われた場所に立つ。
すると
機械が本格的に動き始め
僕の周りを細長い機械が縦横に動き
その動きはまるで
自分が3Dに書き替えられているようで
少しワクワクした。
「僕にはどれだけの魔力があるのだろう?」と思い
チラッとミカエルさんを見る。
ミカエルさんは
メイン機械に表示されているデータ画面を見ていた。
その雰囲気に「やっぱり凄いなぁ…」と思った。
測定が終わり
機械の外に出て
ミカエルさんに結果を尋ねる。
「どうでした?」
期待を込めての言葉だったが
ミカエルさんは険しい顔をしながら言った
「何故かは分からないのですが…。王子の魔力が測定できないのです」
「えっ…?」
測定できない…?
「どういうことなの?」
「単刀直入に言いますと、王子の魔力は極端に少ない可能性が…」
僕は驚いた。
正直
魔王の養子に選ばれるくらいだから
それなりの魔力があると思っていた。
期待を込めて言えば
この魔界では
相手になる人はいないくらいの魔力が
僕に秘められているのだと思っていたのだ。
ミカエルさんを見る。
ミカエルさんは腰に手を当てたり
頭を軽く掻いたりして
明らかに動揺していた。
「と、とにかく、今回は機械の不具合ということでにしておきましょう。あと、この事は内密に。誰かにバレてしまうと、王子の身に何かあるかもしれませんので…」
「わ、分かりました…」
僕達はその部屋を離れ
僕の部屋に戻ってきた。
僕はため息を吐く。
『魔力が無い』と言われると期待していた分
落ち込んでしまう。
その僕を見て
ミカエルさんがある提案をしてきた。
「仕方ありません。特訓をしましょう」
「特訓…?。特訓でどうにかなるものなのですか?」
「どうなるかは分かりません。ただ、何もしないよりかは良いでしょうし、自分の身を守れるくらいにはなるはずです。どうですか?」
「……それで少しでも変わるなら、やります」
「分かりました」
こうして
ミカエルさんとの秘密の特訓が始まった。
まず行ったのは
ミカエルさんの魔力を直接分けてもらって
僕の魔力に関わる脳領域を刺激したり
僕がテレパシーを送るようなイメージトレーニングをしたりすること。
一見
地味な感じもするが
その努力でも続けていると
変化が出てくるもので…。
度々だが
頭が痛くなるときがあった。
ミカエルさんが言うには
それは「筋肉痛」のようなもので
脳の魔力領域が刺激されている証拠らしい。
つまり成長しているということ。
こんな自分でも成長していると分かり
俄然にやる気を出てくる。
特訓を始めて1ヶ月ぐらいすると
僕はこの世界の子供が扱える魔力ぐらいは
使えるようになっていた。
具体的に言えば
出来るのは水芸程度の水や
ボヤ程度の火を出したり
少しだけ気配を感じたり
調子が良ければ
数センチ程度の刃物を生成できるぐらいだ。
それでも成長をした。
そう感じているのだ。
しかし
ミカエルさんは浮かない顔をしていた。
僕は勇気を出して聞いてみた。
「ミカエルさん。やっぱり僕の魔力はまだダメですか…?」
「いや、王子が魔力を扱えない理由を考えていまして…」
「それは…。僕に力がないからではないの…?」
「いえ、それはあり得ません。私が王子を初めて見た時、纏うオーラを感じましたから」
『オーラ?』
「はい。それは他の人よりも圧倒的に強く。そして見たことのない色でした。だからこそ、私はあなた様に可能性を感じたのです」
「でも、僕がこんな状態だから勘違いだったのでは…」
「いえ、王子には絶対に可能性があるはずです」
「……」
「だからこそ、その可能性を引き出すのが、私の役目なのですが…。王子の可能性を引き出せない私はダメですね…」
落ち込むミカエルさん。
その表情を見ていると
この胸を締め付けられるような気持ちになる。
こんな自分の事を一生懸命
考えてくれているのに
それに答えられないなんて…。
僕はミカエルさんに「必ず魔力を使えるようになります!」と決意を伝え
今までよりも
さらに努力をすることを誓った。
そんな時だった
あの出来事が起きたのは…
それは
とある日の特訓が終わった時のこと。
魔王城の庭から城内へ入ろうとしたときに
玉虫色に光る綺麗な石に目を奪われた。
あれは何だろう…。
その石から目を離せなかった僕は
まるで
そのような魔術を掛けられたかのように
その石をポケットに入れて
自分の部屋に持ち帰った。
部屋でそれを取り出し
ゆっくりと眺める。
まるで
吸い込まれるかのような美しさだった。
その夜。
僕が寝ていると
誰かに呼ばれた気がして目を覚ました。
誰…?
周りを見回すが誰もいない。
僕は再び眠りにつく。
すると
また声が聞こえた。
「起きないと殺しちゃうよ?」
今度はハッキリと聞こえたその言葉に
僕はすぐに身体を起した。
すると
僕はさっきまで寝ていた部屋ではなく
真っ暗で何もない空間に立っていた。
何だ、ここ…。
明らかに通常の空間ではないと
僕の痛む頭が忠告している。
早く抜け出さないと…。
その時だった。
『ハロ〜』と誰かの声が聞こえてきた。
僕は周りを見渡すが誰もいない。
気のせい…?
その時
何かが風を切るような音が聞こえた。
僕は周りを見渡すが誰もいない。
気のせい…?
その時
何かが風を切るような音が聞こえた。
慌てて回避動作をとろうとするが
避けられず
何かが僕の左肩に何かを当たり
僕はその衝撃で前に倒れてしまう。
痛っい…。
足元を見ると
鋭いナイフのようなモノが落ちていて
すぐに自分の手で肩を触る。
ケガはないようだが
自分の心臓が強く脈打つのを感じた。
僕は慌てて立ち上がり
意識を集中させ気配を探る
自分は未熟だと分かってはいるが
僅かでも良いから気配を。
すると
僕の背後に気配を感じて振り向いた。
そこにいたのは
真っ黒なカラスを使い魔にした少年が立っていた。
『おっと、見つかってしまったか』
僕の直感が『危険』と言っている。
すぐさま
僕は自分の手に魔力を込めて火球を放つ。
しかし
それは簡単に払われ
奴はゆっくりと近づいてくる。
僕は水球や雷球など
自分が出来る最大限の抵抗をしたが
ことごとく跳ね返され
奴は僕の目の前に立っていた。
笑っている。
狂気に満ちた笑顔で…。
その笑顔に動かない僕の身体。
でも動かないと殺される…。
僕は切れ間に現れた勇気で
魔力を使い小さい刃物を生成。
そして
ヤケクソで振りかぶった。
すると
その刃が奴の使い魔に当たり
攻撃を受けた使い魔は煙のように消えた。
『まさか、だね…。ちょっと油断したな…。』
奴はまだ笑っている。
もうダメだ…。
その思った瞬間。
暗闇の中を一筋の光が射し
それが僕を照らした。
『王子!王子!!』
ミカエルさんの声だ!。
『なんだ、時間切れか…。良かったね。自分の運の良さに感謝しなよ』
奴はそう言って姿を消した。
僕は力が抜けるように座り込む。
『た、助かった…』
きっと
この光の介入が無ければ
やられていただろう。
僕はそう思いながら
大きく息を吐いて目を閉じた。
目を開けると
そこは朝日が射し込む僕の部屋だった。
どうやら
あの空間から脱出できたようだ。
『王子!? ご無事ですか!!』
ミカエルさんが緊迫な表情をして僕を見ている。
『ミカエルさん、どうしたの…?』
『王子に掛けた守りの加護に反応がありましたので、駆けつけたんです』
『守り…?。あ!?』
僕はあの時
攻撃を受けた箇所を触る。
何もなってはいなかった。
『王子、これをどこで?』
『庭で拾ったんです』
そう言うと
ミカエルさんはその石が何なのかを推測と合わせて教えてくれた。
これは通称「魔通石」。
この石は一時的に魔力を溜め込むことが出来るアイテムで
これを上手く使えば
本来
外敵から攻め込まれないように
強力な結界に守られているような魔王城にも
道を繋ぐ事が出来たりもするという。
つまり
これを使い魔王城へ侵入し
僕の精神に入り込み攻撃をしてきたとミカエルさんは言う
『じゃあ僕のせいで…』
『いえ、私に責任があります。側にいながら申し訳ありません』
そう言って
ミカエルさんは頭を下げた。
僕は『そんなことない』と言ったが
ミカエルさんの表情に申し訳なく感じた。
その後
魔力を込めて石を破壊して
この問題はひとまず解決した。
しかし後日
この事実が魔王様に伝わり
僕は魔王様に呼ばれ
「次期魔王としての自覚」について怒号を交えてお叱りを受けた。
ミカエルさんが石に魔術が込められていた事と
自分の不注意だったと訴えた。
しかし
魔王様は少し理解はしてくれたものの。
怒りを静めてはくれなかった。
でも
魔王様の怒りも当然だと思う。
魔王城は魔界の中枢部。
ここが落とされれば国のあり方が変わってしまう。
ましてや僕の不注意で
城落の可能性を生み出してしまったのだ。
魔王様の怒りは静まらないは当然だろう。
僕は自分の行いを強く反省した。
しかし
魔王様は僕の次期魔王として意識を改めさせるため
この試練を与えることになった。
それは魔界の民の悩みを解決を解決すること。
最近
魔王様は国民の意見や悩みを聞くために
僕の世界でいうところの「目安箱」を設置したという。
その目安箱に寄せられた悩みを聞くことで
僕に国民を意識するさせ
認識を改めさせようということらしい。
魔王様は目安箱の中から無作為に選び
その悩みが書かれた紙を僕に渡した。
その紙を見ると
そこにはこう書かれていた。
「男嫌いを直してほしい」だった………。