緊急会議
第9章
緊急会議を招集しました。
「夜、遅くに申し訳ありません」
「えーーと、要約しますと、グレース様が、皇太子に朗読して、自分は5歳のお姉さんと名乗った。と、言う感じでいいですかね?」
「はい、どうして、5歳と言ったのかはわかりませんが・・・・」
「ティンが言うには、どうも幼稚園の子供たちは、自分より幼いと勝手に思い込んでいまして・・・あの子たちが4歳なら、自分は5歳だと言ったのでは、無いでしょうか??その思考が今回は大変、役立ちましたが・・・」
「その場に国王がいらしたようですか?」
「それが、まったく、わからいです。電話もバイバイって、切ってしまって、後で聞いたのですが、男の子としか、話していないとグレースは言っています」
「今後はどうしましょうか?」
「------」
「明日、また、電話があるかわかりませんし、子供は、いつか飽きてしまうものです。皇太子が、レノミン様かグレース様、どちらかに朗読をお願いするとは限りません・・今後の事を考えておきましょう」
「まずは最悪の事態を、想定しておいた方がいいでしょう。出版に置いて、絵本とロマンス小説の方で、身元が割れてます。こちらの事業はしばらくは休みましょう。ぬいぐるみの方はデザインを、この前変更した物の注文が多く入っていますので、工場は止める事ができません、今、こちらを中止するのも少し怪しまれます」
「確認ですが、レノミン様はこのまま、コチャ領の領主にいたいですか?もしかすると、国王の目的が、レノミン様だとしたら・・皇太子さまとグレース様と王宮で暮らすことも出来るのでは?」
一同は黙ったままレノミンの言葉を待っている。
「国王とは、そんなにお会いしたことが無くて・・・・彼がどんな方かもわかりません。国王は、どのような方なのでしょうか?」
「はい、----前国王は無能で、国は隣国との戦争に入る程の失態を起こしました。その後、その国王が亡くなり、今の国王が突然、現れたのです。前国王は言わば、世継ぎの争いに一度は敗れた国王弟で、争いの中、すべての皇族の血が途絶えて、その時に一番優秀だった国王の庶子として、今の国王が現れました」
「どうして、庶子だとわかったのですか?」
「優秀な国王の片腕が、山の中でずっと、育てていたそうです。容姿もそっくりでした。勉強も武術もそれなりに出来るそうですが、王宮に馴染むまでに時間がかかり、育ての親が暗殺されて、上層部より、他国の王女を娶るように強要されました。多分、私たちの情報では、王女は、すでに病死していたと思われます」
「レノミン様の件は、誰が、発案かはわかりませんが、あの爆発の後、国王は大変、変わられました。まわりの者すべての身体検査を行い、黒いものは切り捨て、役に立つものはどんどん採用していき、国作りを一番に考えられる人を、近くに置くようにしています」
「そして、他国を見習い、国同士で婚姻を結ぶことは今後しないと、発表していますし、何より経済を回すことに、一生懸命です。他国にも視察にでかけ、こちらの国にも使節団を招いたりして、今までにない執務だと感じています」
「皆さんはどう思われますか?」
「----はっきり、申し上げますと優秀です。悔しいくらいに、レノミン様がこちらにいらした時に、アーモンドの花が咲いていて、喜ばれたので、お慰めの気持ちもあり、私たちは別荘の周りをアーモンド栽培に力を入れました。そのアーモンドを炒ってレノミン様が召し上がったのを見て、私たちもそれを真似て、収穫して、王都に売りにいきました」
「その後、国王は王室が持っている山を切り開き、アーモンドを植えたのです。今年、実がなり、実も、それぞれ色んな形に変えて王都で売っています。本当はそれは、我が領土の利益だったか知れないと思うと悔しくて・・眠れませんでした。だから、レノミン様に報告するは躊躇いがありましが・・・・優秀と認めることに・・・」
「国王の情報網は優秀なのでしょうか?例えば・・コチャ領の動向はいつもチェックしているとか、わかりますか?」
「それはわかりかねます。今の国王はどの貴族たちの後ろ盾がないのです。本来なら、貴族の一員であるはずですが・・・山育ちで・・・育ての親の血筋が、彼を、暗殺したとわかった時には、その一族を皆殺しにして、戒めたくらいですから、どの位、周りを信用しているかにもよります」
「そうですか・・。ある意味、気の毒ですね・・・・先程の質問ですが、皆さんがどう思われているかは、わかりませんが、私はあまり変化を好む人ではありません・・・」
「私やグレースは、皆さんのお荷物だとは思いますが、・・もう少しここに置いて欲しいと思っています」
家令と5人は立ち上がり、そのまま、膝をつき、
「レノミン領主様に忠誠を誓います」
「えっ!!そんな・・・ありがとうございます」
「後・・・本来ならば、今年こそと思っていました。慰霊の件ですが、今年も中止にしておいた方が、よろしいかと思われます。領民は、たくさんお墓に花を添えるでしょうが・・・」
「はい、今年も別荘内のお父様のお墓に、グレースと行きます。私が姿を現さなくてもそれで領民が納得してくれればそれでいいです」
「後・・・少しいいですか?-----絵本もダメ、ロマンス小説もダメとなると・・色物はどうでしょうか?」
「??????」
「いやだな~~~もちろん想像ですよ・・・どうかなぁ~~と思って、参考になるものがあれば書いてみたいな~~と、思いまして、どうでしょう??」
「レノミン様・・・やはり、王宮で・・・・ひどい目に・・・」
「え!!やっぱり・・・・(したんだ・・・)」
バルトが立ち上がり、
「色物の参考資料はありますのでお持ちします」
周りからの非難の視線も気にしないで、はっきりと答える。そこまでキッパリすると清々しい。
「では、明日、お願いします。後・・・この道がなくなると、出版に収入が減りますので、今回は、細心の注意をお願いします。テヘ・・」
レノミンは真っ赤な顔をして、走って部屋に戻った。
部屋に戻るとグレースはぐっすり眠ってりる。手には黄色いネズミを持って・・・
「ねぇ、グレース、お母様は正解へ道がわからないの・・・どの道に進めばあなたや領民の為になるのか、グレースは私と違う・・・国王の血が流れているからなのか気高く、美しい・・、グレースが羨ましい、お兄様と何を話したの?次があれば教えてね。おやすみ、グレース」
ティアとグレースは1日のほとんどを一緒に過ごす。
ティアには申し訳ないと思いつつも、グレースをいつもコントロールしてもらっている。これでいいのかとも思うが、皇太子にこちらの事を余り漏らしたくないのが本音だった。
あの日から朗読はグレース担当で、幼稚園があるからとグレースが言い、少し早めの時間になった。
時には絵本を読まずに自分たちの事を話したりして、いい友達になった。レノミンにとっては嬉しいことだった。
「皇子は美味しくない食べ物を食べた事ある?」
「イヤ・・・・無いかな??」(王宮料理・・・当たり前・・)
「幼稚園で食べるものはなんでも美味しくないの、でもね、今日、初めて美味しい食べ物を発見したのよ」
「え!何?ネズミに貰ったの?」
「違うの、先生がポッケからくださったのよ」
「ーーキャンディ・・あれはボブが作るのと同じだった。美味しかったワ・・・・」
「ねぇ、君はあまり頭がいいとは言えないね、キャンディは砂糖だから甘くて、どれでも美味しいよ。僕はたくさん食べないようにしている。虫歯になるんだよ。歯がなくなって、おばあさんみたいになるから、きっと、先生がポケットからくれたんだよ」
「そうなの???だから・・・イヤーーーーー!! 」ガチャン!!!プープープー
いつも、グレースが、気まぐれに切っている電話・・・いつまで続くのでしょうか??