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幼稚園

第8章

 朝、1時間早く起こすために、グレースは幼稚園に行く事になった。


 当初の予定では、学校に上がるまでは、別荘に住む予定だったので、幼稚園に入る予定はなかった。


 しかし、毎日、活発に行動しているグレースを、不憫に思った事もあった。

 友達は家令のティアだけでは物足りないとも考えた。


 コチャ領の上流階級の子供たちは、幼稚園からストレートの学校に通い、学ぶ、グレースに話すと嬉しそうに聞いていたが、実態を知らないので良くわかっていないと、レノミンは感じていた。


 大体、レノミン以上に、外に出たことがないグレースにとって、幼稚園は宇宙であるに違いない。


 それは自分もそうだったので、これから起こることが、手に取るようにわかっていた。


 「ねぇ、聞いて、グレース、これから毎日、幼稚園と言う所にティアと一緒に通うのよ。幼稚園では、最初はティアがグレースの面倒を見てくれるけど、お母様やダリア、シルキーは居ないの、その代わり、沢山のお友達と先生がいらっしゃる、お友達と先生のお話を聞いて、お友達と仲良く毎日、幼稚園に通えますか?」


 「うん、行ける、工場に行くの?」

 (そう来たか・・)


 「もう少し、遠い所に馬車で行くのよ」


 「ピクニック??」

 (そうだよね・・)


 「----さあ、明日から幼稚園です。早く眠りましょう」


 「眠くない、絵本読んで・・・」

 「いいよ、ネズミの絵本でいい?」


 「うん、」


 その夜、王宮からの電話が無く、レノミンとグレースは抱き合い早めに眠った。


 初めての幼稚園は、レノミンとダリアとシルキーも付き添った。関係者に挨拶をして、校内の案内をしてもらった。グレースは特別にティアの付き添いが了承された。特例中の特例だが、レノミンの領土であるので多少の優遇は受けられた。


 「ほら、グレース、同じくらいの年のお友達がたくさんね。一緒に遊べるといいね」


 「---小さいね」


 (えっ、自分より小さい子供を、見たことがないに等しいグレースには、周りの子供を小さと感じるのか?)


 「教室の隅で皆で待っているから行ってらっしゃい・・」


 グレースは先生のいる方向に走っていった。いい歳の女が3人で何も話さず一人の子供を見守る。


 シルキーが、

 「なんか、緊張して、吐きそうです」


 「何言っているの、私たちのグレース様に限って、間違いはありません」


 「ダリアさん、すっごい汗ですよ。--更年期ですか?」


 「何、言っているの!!」


 「レノミン様・・・息をして、鼻ですって、吐いて・・吸って・・」


 グレースは先生の手を離れ、ティアを探しに走って行ってしまった。


 「え??どうゆう事・・・」


 心配になって、こちらを覗いていたティアが見えて、駆け寄り、

 「ティア、別荘に帰りましょう」と訴えにいったのだ。


 ティアは困った顔をして、こちらを見るが、


 「グレース様、幼稚園は昼食とおやつを食べないと帰れない所ですよ」

 「おいしいの??」


 「いえ、不味いです。でも、ネズミのチーズは他の人には不味くても特別な人には美味しと感じられるらしいので、グレース様も挑戦してみたらいかがですか?」


 「今、食べる」


 「チーズを食べるには沢山の運動をしないと食べられません。お母様たちを見て下さい。あちらで3人で小さなお椅子に座ってます。ダリアは汗びっしょりです。先に帰ってもらってもいいですか?」


 グレースは半分泣いて・・

 「ティアはずっといる?」


 「もちろん、ずっと、います。今日からこの学園に通うのはティアとグレース様だけです・・・」


 眉間に沢山のしわを寄せて下を向いて、考えてるグレース・・不機嫌そうに・・・


 「いいよ」


 ティアとグレースが手を繋いでこちらにやって来る。

 「今日はふたりで大丈夫です、別荘で、待って頂いてよろしいですか?」

 「グレース・・・私たちが帰ってもいいの?最後まで待っているよ」

 「------」


 「・・・皆さん、周りからとても浮いています・・・こちらで対処できます。何かあれば、空からの見張りがいますので、大丈夫です」


 「----信じましょう。ダリア、シルキー、帰りましょう」


 3人は渋々、別荘に戻った。


 夕方、門番から門を馬車が通ったと連絡があり、別荘のすべての人は馬車を迎えた。グレースがティアと共に降りてくる。


 「ただいま、お母様、幼稚園は美味しい物はありませんでした」


 「そう?どうだった?たのしかったのかなぁ??」


 「うーーーん、ボブのおやつが食べたかった」

 「そう、明日も行く?」

 「ティンが行くなら行く・・・」

 

 そう言って、走って厨房の方に向かっていった。その後をダリアとシルキーが追っている。

 「ティン、ありがとう。ティンの勉強が今日は出来なかったですね。ごめんなさいね」

 

 「レノミン様、私はあの学校で学ぶものはもうありません。すべての教科を終了していますので、毎日、幼稚園で過ごしてもいいです。


 イヤ、その方が助かります。片手間に色んなことが出来て、グレース様のお役にも立てます」

 「ーーーティン、グレースにはなんて、言ったの?」

 「そうですね・・・・・子供たちと一緒に話して、踊って、絵を描いて、歌って、学んだら、お家に帰って、ボブのおやつを食べましょう。と言いました。グレース様は生まれた時から美食家でいらして、不味い食べ物は今日、初めて召し上がりました、ネズミの出した食べ物は大抵、不味いと感じるので、美味しい物が出るのを逃さないように毎日、通いましょう。と話しました」


 「-----ティン、流石、グレースを理解しています。扱いが上手いです」


 「いいえ、あの学校の食事は本当に美味しくありません。しかし、今日は疲れていらっしゃるので、きっと、早くお眠りになられます」

 「そうだといいね・・・・」


 流石のグレースも毎日、早く寝て、早く起きる。作戦は大成功と言えた。この油断が命取りだとは気が付かず、シルキーと一緒に寝室に入ったグレースを確認することを忘れて、寝室の化粧室でもたついている時に、グレースの話し声が聞こえて来た。


 (----グレースが絵本を朗読しているように聞こえた。)


 そう、グレースがレノミンのベットに乗り、電話で皇子に絵本を読んであげている。字は読めなくても毎日のリクエストで、きっと暗記が出来ているのだろう・・・親だったなら褒めてあげるべきな所で、これは最大のピンチだ!!と頭の中で鐘が鳴る。


 (国王は近くにお出でになるのかしら?)


 「どう、お姉さんは読めたでしょ!そうよ、私は5歳でお姉さんだから、お母様に代わって本を読んで差し上げたワ。今度また、電話でお話ししましょう。バイバイ!!」


 (グレース・・・いつ5歳になった??サバ呼んでるの???)


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