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聖女ひとり旅

第40章

「レノミン様、本当に運転して行くのですか?」とミンクが言う。

「ええ、心配だったら、サンドロの車に同乗していいのよ」

「いいえ、もちろん、同乗します。どこで、運転を覚えられたのですか?」


「最初は、マルク医師が教えてくれて、後は,、サンドロの運転を見ていたから・・・大丈夫よ」


 今回は車が3台、皇太子1台、危険物を運ぶ車はサンドロ1台、レノミンの1台となる。


 持って行く薬草や装備が殆どを占めている。なぜ4人だけの出発になったかと言うと、7皇子の件は、カタクリ国王にとって、大きな汚点であり、王族たちに知られたくない。そして、こちらも3人での移動が好都合だったので、夜のうちに出発となった。



 今回の出発にあたり、国王より、レノミンに伯爵の位た与えられ、王妃からは青色の高貴な衣装がプレゼントされた。今回はその衣装を着ての旅となる。手渡す時の王妃の涙にぬれた顔が忘れられない。

 「しんどい(アッ、心の声が)・・大変な仕事になると思いますが、よろしくお願いします」

 「レノミン様、私たち、レノミン様がグレース様に話された事、その通りだと思っています。すべてはコチャ領の為です。頑張りましょう」

 「ええ、ありがとう」


 「レノミン様、知っていました?国王と王妃の間に生まれたのは皇太子とココ王女だけだったのですよ」

 「??????」

 「はい、残りの皇子達は他の女性が産んだのです」


 「王妃はココ王女を産んでから、大きな病気に罹り、次の妊娠は望めなかったそうです。当時、王妃は病気のココ王女にかかりっきりで、国王は他の女性に行くしかなかったのか?皇太子だけでは心もとないと思ったかはわかりませんが、他皇子は貴族からの献上された女性の子供たちだったのです。しかし、王妃は、すべての皇子達を、我が子と同じように接して大切に育てていました。それは、3皇子も7皇子もです」


 「跡取りが多い方がいいと誰が望んだのでしょう・・・・今では、誰かもわからないのではないでしょうか・・?難しい話ですいません」


 「今回のこの仕事は国王、王妃、皇太子にとっても、辛いことが真実ですね」


 そのブンカ領に到着した。すでに、日は登り、領土の屋敷まで距離があるので、朝食を取った。

 車から降りて、簡単な食事をしていると、突然、領民に囲まれた。


 石が投げられ、周りを囲まれる。もちろん、ミンクとサンドロはレノミンの前に立つ。


 「お前ら王都から逃げて来たんだな・・・病菌を持って、コノヤロー、立ち去れ、ここはもう誰も通さない」


 皇太子は男らしく、一歩前に出て、大きな剣を振りながら、


 「すべての人を治療するために国王から派遣されて来た。このまま、病気で死にたいのであれば、このまま帰ろう」


 「そんなこと言って、この前の皇子がこの町を病原菌で汚染したんだ。町の人はみんなが苦しんで、年寄りたちは死んでいった。信じられるはずない」


 レノミンは安全の為に車に戻され、サンドロたちは応戦する。


 「その皇子は、今はどうしている?」


 「町の人全員に石を投げられて死んださ。向こうの崖に死体がある。お前たちもそうなりたくないなら帰った、帰った」

 「---皇子はどうして、このブンカ領を選んで来たか知っているか?」

 「そんなの知らない・・・」


 「そうなると、カタクリ国はこのブンカ領の全員をS国の人間として、焼き払わなければならない。それでも、良かったらこのまま帰るが・・・どうする?お前たちもS国の人間か?」


 「死体も焼かなければ、そこからどんどん菌が発生して、もっと、病人が増える。どうする?私たちをこのまま返すか?焼き払われるか?どっちがいい?」


 「---カスター国王はそんな事しない・・・・」


 「そうか?さっきの女性は、カスター国王の代理の青い服を着ていたと思うが・・・一度、領主に聞きに行ったらどうか?それまで、ここで、待っている。さあ、早く行け!!!」


 皇太子の鋭い剣が振られて、領民はビビって走り出した。

 「皇太子、今の話は本当ですか?レノミン様が国王代理の服を着ていると・・・」

 「----どう思う?仮にも皇太子が出向くのに、今、僕はレノミンさんの部下扱い・・・」

 「・・・・・・」


 領主が、馬車で急いでやって来た。やはり、レノミンの青い服を見て、膝まづく・・・・


 「ブンカ領主、先ず、死体の処理をしましょう。これ以上の死人を、出さない為に来ました。まずはマスクを全員に配って、手をアルコールで消毒して下さい。これからは絶対に顔を触らない、定期的に手の消毒をしましょう。靴の裏は水で必ず洗い、洗い場にもアルコールを置き、靴の裏も消毒して下さい。人が動けば、動いただけ広がります。先ほどの人間みたいなのは一番、感染を広めています」


 小さい体の領主は、


 「---ご・ご紹介頂ければ・・・お・お・お名前を・、どうお呼びすればいいのですか?」


 ここのブンカ領主は、見るからに人が好さそうな田舎の村長みたいな人で、このブンカ領も聞けば人口は300人程度になる。


 大きな森林に囲まれていて、林業や農業で生きている。それでも町があり、商売はそれとなく行われている。なぜ?この村?に7皇子が来たかは、これからわかるに違いない。


「私はカスター国王の長男で、ビルです。こちらは・・・・ううん(咳)・・・・聖女です」

「------」

「??????」

「せ・・・聖女・・・・!!! 」



 周りの人々は一斉にレノミンを見て、膝まづく・・・・

 「---あの・・・わたし・・・??皇太子!!! 」

 「だって、おかしいだろ?本来なら僕がその青い服を・・・」


 レノミンはこの服がいかにこの国では高い身分を表しているかを・・・知らない。

 「---わたし・・聖女ではありません。そんな・・・・」


 それを見て、ミンクやサンドロも膝まづく・・・(おおおおおお・・・・・遊んでいる。)


 ブンカ領の人々は本当に国王が聖女を派遣してくださって、この領土を助けようとしていると、誰もが思って、涙を流した。


 なんとか領民の理解を得て、それから、この領土にある、ちいさな池に、薬草を燻す小屋を建てた。


 大量の水をどんどん焼き石にかけて水蒸気をだし薬を吸引していく、林業が得意な大工は直ぐに簡易的なものをどんどん聖女様のいう通りに作り出す。


 レノミンはこの大工さん達・・・欲しいと、こころから思った。


 小屋の準備が整って、後は、ミンクによる診察が何人も行われた。


 レノミンは本当にミンクの勇気に感謝している。自分にも感染の危険が迫っているのに、イヤな顔ひとつしないで患者に接している。


 聞けば、この領土の医師はある日、医師のいないこの領土にやって来て、領民に診察を始めた。


 そして、7皇子がこの領土に来た時にはすでにいなかった。


 サンドロの調査では、7皇子とこの医師、この医師の妹は繋がっていて、妹は7皇子の愛人だった。


 「領主、領民に伝えて下さい。今回は私たちが来たのは、7皇子のしでかし事への謝罪です。命を無くされた方々への、お見舞い金もお支払いします。国王よりの謝罪の品も持参しました。しかし、今後、S国を匿った人間には容赦しません。どんな理由があっても、例え、その人間に医療の能力があっても、この領土に必要な人でもです。今、私の後ろには何千の軍隊が居ます。この領土など一晩でなくなるでしょう」


 「---わかりますね。夕方6時まではここで待ちます。その後、薬草を燻って、今、病気に罹っている人を助けるかは、領民すべての人にかかっています」


 「わかりますね!! 」と、皇太子はブラックな面を隠さず、領主、領民を脅した。


 そして、やはり、その人はやって来た。


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