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親子二人旅④

第40章

 その後、マルク医師から電話があり、今回の流行り病は、コロナ禍の様に強い感染ではないが、医療が整っていないこの世界では、やはりお年寄りにはとても危険な病だと、言われた。その時、

 「僕ね、東京の病院の研修医だったんだ。君も、もしかしてと思って、レノミンさんに賭けてみました」と言われ、レノミンは、

 「----全力を尽くします」


 「後、コチャ領は全面封鎖になっていて、一人も感染者が出ていません。サンシン国は国王が・・ホラ! ・・対処方法を知っているので、大丈夫たと思います。後、カタクリ国には沢山のアルコール度数の高いお酒があると、シン国王がおっしゃっていて、そちらを残りの3国に送って欲しいのですが‥、サンシン国は、マスク用の布の開発を、随分前からキース国王は行っていたので、そちらを3国に見本と共に送って下さるようです」


 「あの・・グルガシ国王は大丈夫でしょうか?一番、お年をめしていらして・・・」


 「はい、僕は今、グルガシ国に滞在していまして、国王は海辺の別荘に隔離しています。国内の政治は、キュル皇子がすでに行っている状態ですので、心配はありません」


 「それと、グルガシ国からは石油を送ります。使用方法は書類にしてありますが、今回はサウナ形式での治療になります。あなたの領土のダリアさんは宝ですよ。二人で考えて作った治療法です。とにかく、地下の牢屋でもいいので、サウナを作って薬草を燻ります。人間燻製みたいですが、もちろん、大量の薬の水を飲みます。飲んで、燻製、飲んで、燻製となり、呼吸をして肺の細菌を死滅させます。ですので、そちらは、王都の閉鎖、手洗い、会食は避け、マスク、とにかく密をなくして、コロナ対策をして下さい。そして、治療場を作って下さい。お願いします。また、夜にでも電話します」


 「レノミンさんに、カタクリ国はかかっています。そして、S国の人間を今回はすべて炙り出すいい機会だと、シン国王は言っていました。そちらの活用は国王と相談して下さい」


 「はい、わかりました」ガチャン・・・・・


 後ろを振り返り、

 「国王、皇太子、王都を封鎖して、学校は休校に2週間家に留まるように国民に指示して下さい。


 後、シン国王たちはこの流行り病でS国の人間をすべて炙り出す予定だそうです。そちらは、国王たちでお願いします。後、大きなお風呂のような所で薬草が燃やせて換気も出来て、少し、密閉できる、例えて言えるのであれば、牢屋みたいな場所を治療場にしたいと思っていますが、ありますか?」


 「王妃、宮殿のお針子さんたちにサンシン国より届く布でマスクと言う物を作って、国民に配ってほしいのですが、国王、そのマスクとしない人には、厳罰を科すとして下さい」


 「後、高濃度のアルコールのお酒を3国は欲しがっています。グルガシ国よりは石油が届けられて、その治療場に用いられます。ここは互いに助け合って、病に勝ちましょう。とにかく、王都から地方に病気を出さない為に、急いで王都の封鎖をお願いします」


 「国王は特にマスクをして下さい。国民は国王を見ています。模範になるようにお願いします。そして、必ず、アルコールで手を消毒して、顔をいじってはいけません」


 その時、

 「サンシン国より、布が届きました」と連絡が入った。

 「王妃、急ぎましょう。まずはハンカチで皆さん、口と鼻を覆って下さい」

 「国王!王都から脱出する人は・・・・」

 「わかっている」

 「後・・・S国の人を匿っている人は・・・」

 「わかっている。今がチャンスだ!」


 「皇太子、7皇子が・・・」

 「---はい、逃げ出しました」

 「妃と息子たちは・・?」

 「置き去りです」

 「---隔離しろ! 」


 王妃は、優秀で、流石だとレノミンは思った、庭の広場にお針子だけではなく料理人、侍女、すべての王宮の人間を集めて、マスクの制作に取り掛かって、アルコールの重要性をレノミンに話させた。


 ハナ国より、トラックが寄贈されて、布が届き、アルコールの輸送がいち早く行われ、その帰りの便で石油がカタクリ国に入る。


 コチャ領からは薬草がたっぷり橋を渡って届いた。


 4ケ国が上手く回っていると誰もが感じられた瞬間だった。



 最初はマスクはやはり国民には受け入れられなかった。しかし、国王が着用して、町ではマスクなしで出歩いていた人間を、S国の人間とみなすと警告が出たので、町を歩く人はこの2日は全くいなかった。


 しかし、食料の供給が必要なのはわかったいた。


 そこで、国王はすべての軍隊にS国狩りの名目で食料の配布を依頼した。そこで、この国の戸籍調査が行われ、人数分しか配給しないので、匿っている人は、どんどん食料がなくなって行く。S国と関われば病気になるのは事実だった。S国スパイには治療は行われずに・・・死を意味した。


 レノミンとマルク医師の合意で2週間ではなく、1ケ月のロックダウンが決まった。各国の国王はもちろん合意してくれた。



 しかし、カタクリ国では、地方の小さな領土で発症が始まってしまった。

 「7皇子が持ち込んだそうです。あの会議の後、もっと、王族ももっと厳重に隔離制限をするべきでした。王族が地方に広めたとなると・・・今、こんなに一生懸命対策しても国民の不満は王族に向かってしまうでしょう」


 「どうして・・・・」


 カタクリ国王の嘆きは強烈だった。その場にある物をすべて壊す勢いで、体が震えていた。

 「妻子を捨て、病気の体が国民に死をもたらすのが、どうしてわからない・・・!」


 「皇太子、レノミンと一緒に行って、罪のない国民の治療にあたってくれるか?」

 「---国王はなぜ?レノミンさんが必要だと‥‥?」

 「レノミンが同行してくれればわかる」

 「------」


 国王からの依頼にレノミンは頷いた。

 グレースはこの2週間、まったく部屋から出ていない、常に、ジャルと二人で過ごす。食事も1人で食べて、レノミンとはドア越しでしか話していない。後、3日でレノミンと約束の二人が合える日を待っていた。


 トントン、

 「グレース、お母様です。起きている?」

 グレースはドア越しでも、大慌てな様子がわかるくらいに、急いでドアの向こうにやって来た。

 「お母様、お顔が見たい・・・寂しいです。グス・・・・」

 「グレース、ごめんね。もう少しの我慢だと、ずっと言っていたけど、今回、国王より大切なお仕事を頼まれて、少し出かけなくてならないの・・・・グレースはジャルとお留守番が出来ますか?」

 「ヤダ---! できない。グス・・もうコチャ領に帰りたい・・・え~~~」


 そばで、ジャルが慰めるが、

 「グレース、お母様は立派な領主ではありませんが、いつも、考えているのは、領民の健やかな生活です。健やかな生活の中には、健康も含まれています。しかし、領民の健康は、国民の健康で、今では4ケ国の人々の、健康に繋がっていると、はっきりわかりました。カタクリ国のある小さな領土の人々が今回の病に罹ってしまいました。その病は7皇子が持ち込んだものです。国王の悲しみ、グレースだったらわかりますか?国王がとっても苦しくてお母様に助けを求めています。グレース・・・」


 グレースは泣くのを止めて、

 「---お母様、私はしっかりお留守番しています。大丈夫です。お母様のお帰りを信じて待っています。お母様もお体を大切にして下さい」


 「---お母様、グレースは本当に・・・待っています。ううううう・・・・」


 レノミンも涙を流しながら・・・、


 「グレース、お母様は必ず帰ってきます。帰って来ても、また、2週間はグレースに会えません。今度は、自分を隔離しなくてはならないでしょう。だから、本当に互いの顔を見れるのは、もっと先になりますが、おじい様と王妃の、おっしゃることを必ず守って、自分の体を大切にして下さい。誰にも会わない事が防疫に繋がります。わかりましたか?」


 「おじい様にも王妃にもドア越しでしか話していません・・・わかりました。嫌いな勉強します」


 「はい、お願いします。ジャル、今回は、サンドロとミンクも同行してもらいます。グレースの事、お願いします。バルトは情報収集でこちらに残ります」


 「レノミン領主、行ってらっしゃいませ。道中ご無事で・・・お帰りお待ちしています」


 「はい、行ってきます」

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