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肉球を探せ!

第36章

 レノミンはドント宰相の話を聞いて、小さな物語をハチネコとセット販売した。


 『肉球を探せ!』


 白い毛がふさふさしている美しいお母さんネコは、4匹の赤ちゃんネコを産みました。

 優しいお母さんネコは、4匹すべてをとても可愛がりました。

 生まれたての赤ちゃんネコは、まだ目が見えません。頼りになるのはお母さんネコのスキンシップと鳴き声だけでした。

 しかし、ある日、お母さんネコの鳴き声が、聞こえなくなりました。

 子猫は大きな声で泣きましたが、返事はありません。

 子猫たちは泣いて、泣いて、お母さんネコを探し疲れて、何日も眠ってしまいました。

 そして、目が覚めた時は、目が見えるようになっていました。それからは自分たちで、餌をさがして、どうにか生き延びるのに一生懸命でした。


 ある日、一匹のネコは気が付きました。

 

 「お母さんは僕たち4匹兄弟って言っていたよね」とイチが言いました。

 「うん、でも、ぼくら5匹いるね。どうしてだろう?」とゴロが言います。

 「お母さん、間違えちゃったのかな‥??」とロクは思いました。


 それでも子供のネコたちはじゃれ合い、けんかして、大きくなります。

 子猫同士のけんかは、日に日にエスカレートして、ロクはある日、大声で泣きました。


 その時にジュウロウはロクに近づいて言います。

 「そんなネコパンチじゃ、ハチには勝てないよ。この鉄製のグローブを貸してあげる」

 「だめだよ、こんなに固いグローブで、ハチを叩いたら、ハチが、ケガしちゃうじゃないか!! 」

 ジュウロウは、

 「そうだね、でも、必要な時は僕に言ってね」と話しました。

 それから、時が流れて、5匹のネコはとっても大きく、まるまると太り、食べ頃に成長していきました。


 ある日、イチが大けがをして寝床に帰ってきました。その姿を見て、ロクがいいます。

 「誰かが、鉄のグローブでイチを殴ったの?」と、そして、一番最初に疑われたのはハチでした。

 なぜなら、ハチの毛は、ねずみ色で、容姿も少しみんなと違っていたからです。


 ハチはいいます。

「僕じゃない!! そんな事しない! 鉄のグローブとか知らない・・・ねぇ、僕を信じて! 」


 しかし、残りの4匹は信じてはくれませんでした。

 ハチはその場に立ちすくみ、出て行くみんなを、見送るしかありませんでした。そして、4匹が汚れた水たまりを歩いて足跡の肉球を見たハチは叫びました。


 「オオカミだ!! ジュウロウはオオカミなんだ!! 足跡を見て!!! 」


 前を歩く4匹は一斉に振り返り、足跡を見ました。ジュウロウの肉球は可愛い肉球ではありませんでした。オオカミの足跡とそっくりだったのです。


 その時、ジュウロウは、一番弱っているイチに、飛びかかり食べようとしたのでした。

 しかし、ハチは全力でジュウロウに突進して、イチを助け、ロクとゴロもジュウロウに戦いを挑みました。

 4匹のネコは協力して小さなネコパンチでオオカミのジュウロウを撃退しました。


 それから、イチ、ゴロ、ロクはハチに謝り、また、一緒に仲良く暮らしていきました。


 レノミンが書き上げて最初の読者はグレースでした。グレースの許可がでなくて、黄色いネズミシリーズ化は断念した。


 エミリオに見つかって、BL出版は中止・・・子供によって事業が断たれるレノミンだったが、


 やはり、本当の意見も聞いてみたい。

 「グレースさん、いかがでしょうか?」

 「うん、お母様、ハチはカッコいいです。私、ハチが好きになりました」

 「ねえ、見て、見て、私が作ったハチ!!可愛いでしょ」

 「うん、かわいい、本当に自分で出来上がったの?」

 「---少し、シルキーに手伝ってもらった。ひとりでは無理・・だから・・」

 「そっか・・・無理か・・・・残念です」


 きっと、ハチの殆どは、シルキーが手伝ったに違いないが、グレースは自分で?作ったハチをいたく気に入って大切にしている。


 「グレース、『肉球を探せ! 』出版はいいのですか?」と改めて聞くと、


 「いいです」


 と返事が返って来た。それを聞いてバルト、家令、シルキーは胸を撫でおろした。

 それから、構成や印刷、毛糸の調達等、毎日が忙しく過ぎ去った。


 そして、春、エミリオが帰って来た。

 

 「お帰りなさい、エミリオ、大変でしたね」

 「お母様、ただいま、お元気でなによりです。僕、少し背が伸びたって、ダリアが言うのですが、どうですか?」

 「ええ、大きくなって、ハンサムで頼もしいです。今回は長期にあたり大変でしたね。宮殿の修繕と修理などは終わったのですか?」


 「はい、後は父上が帰ってくるのを待つばかりです」

 「そう・・・そうなるとあなたも行ってしまうのね」

 「------」

 「僕はお父様のお近くで、お父様を支えるのが僕の仕事ですから、仕方がありません」


 「寂しいです。しかし、あなたの学ぶことは、ここでは限られてしまい、やはり、王都で学校に通う方がいいでしょう。学校が始まるまでは別荘で過ごせそうですか?」


 「はい、ギリギリまでここに居たいです。---グレースは?」


 「グレースは学校の補習です。お父様の学校改革は、学んだ人はどんどん上に行けますので、ティアがどんどんグレースを引き上げて行きます。それについて行くのは、本当に大変ですが、グレースも頑張ってくれて、有難いです」


 「はい、王都の学校も、そのように改革するようで、最終試験は王宮で受ける様にしました。王宮で試験を受けられる人にも、資格が必要になり、その国家試験に合格すると、宮殿で働けて、給金も貰えるようです。貧乏な人も、どんどん上に登って来て欲しいと、お父様はおっしゃっていました」


 「軍隊の方はどうなりましたか?」


 「はい、コチャ領の橋に、携わった人間たちの中で、サンドロさんの目に留まった人は王都でも軍隊の準備入隊に入りました。王都やその他の町でも、ある程度の水準をクリアした人間には、準備入隊が認められて、それから、2年訓練に耐えた者のみ、キース国王の部隊に入隊できます」


 「国王陛下の部隊は、エリート部隊となる予定です。後、数年はかかりますが、サンドロさんは比較的素質のある人が、準備入隊に入っていると、言っていましたので、少しは期待が持てます」


 「しかし、準備入隊の人にも給金は発生して、国の財政は大丈夫なの?」


 「はい、今まではびこっていたセカンド家、サード家が没落して資産没収、国営のものを売りに出したり、開放して、そこに産業を興し、国営で管理する物を増やして、なるべく国民からの税収入を減らす努力をしながら、国の財も増やすのが、一番の目標だと、父上はおっしゃっていました」


 「ですので、お母様の毛糸産業が広まることを願っています」


 「明日から王都のⅬ葉のお店で『肉球を探せ!』の販売開始ですね」


 「少しは売れてくれればいいと思っています。そして、誰かの心に残って欲しいですね」


 「僕もそう思います」

 「何年かかってもいいと今回は思っています。少しづつ国民の中に浸透できれば・・・」


 「お母様、ナナネコの事業をたたまれたのは僕のせいですか?」


 「ううん、いいの、これからは自称毛糸大臣になって、毛糸を広めるつもりだから・・・」


 「---ありがとうございます。僕・・ずっと、グレースを羨ましがっていました。でも、ナナネコに囲まれて眠った時に本当にうれしくて、グレースの知らないお母様を僕が知っているのが嬉しくて・・・子供です」

 「はい、エミリオは私の大切な子供です」

 「ふふふふふ・・・・・」


 「さあ、食事にしましょう。もうすく、グレースが自分が作ったハチネコの、自慢に来るわよ!」


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