初恋
第33章
「君はどう思う?」
「・・・・・・」
「考えて、考えて、僕が思った事はレノミンさんを、誰かに取られたくない・・・近くにいてくれるだけでもいい、本当は僕を好きになって、一緒に寝て、起きて、話し、一緒に生きて欲しいけど、それは、むずかしい事なのかなぁ・・・?」
「最初に会った時に、少しだけ代理母の事を話して、もしも、承諾してくれるのであれば、コチャ領の借金と、領主の継承の件を承諾すると話した。その時、彼女は皇子の事だけを僕に聞いて来た。もちろん、大切にすると、答えて、その短い時間だけが僕の記憶に残っていた。そして、彼女の事は忘れられなくなっていた」
「・・・・・・」
「君は結婚の経験もあって、奥方は亡くなっているが、奥さんと恋をして結婚したの?お見合い?」
「我が家の場合は、親が決めていましたので、その通りに結婚しました。もちろん、彼女の事は知っていましたが、年が来て、結婚して、ティアを授かりました」
「奥さんは産後に具合が悪くなったとか?」
「いいえ、内臓の病気です。----私は彼女が病気になって、初めて彼女と向き合う事になりました。その時、思った事は、結婚には思いやりが必要だと・・・ですので、ティアには許嫁を決めていません。彼女も別の人と結婚していたら、いつも一緒にいる夫であれば、直ぐに病気に気がつき、もっと早く治療を開始して、もしかすると今でも生きていられたのかと・・その頃は、ずっと考えていました」
「思いやりって、愛情だよね。僕はあまり打ち解けてくれないレノミンさんだけど、そこも、とってもいいなぁ~~とか、たまに、グレースやエミリオと一緒に笑っている彼女も、好きだなぁ~~とか思って、この前の4国王の旅の時は、なんだかとってもこの別荘に・・・いや、レノミンさんのちょっと難しいことを考えている顔を、早く見たいな~~って、思った。これって、恋かな?」
「---恋をしたことがありませんので良くわかりませんが、国王はレノミン様と結婚したいのですか?」
「そこ!!そこよ!大事な所は・・・・僕とレノミンさんの立場は微妙でしょ。レノミンさんはコチャ領の領主で、もしも、僕と結婚したら、王妃になって、あの宮殿に住むことになる。そうすると、グレースは幼いながらも、ここの領主に昇級されて、まったくのお飾りの領主になる。まぁ、--君たちがいれば、もちろんグレースは学校に行きながらでも、領主としてやっていけるだろう・・・まして、ティアがあんなに熱心にグレースを指導している」
「でも、それはレノミンさんやグレースを不幸にすることだよね?」
「------」
「レノミンさんは、今では4ケ国で発売される絵本作家で、オマケに、各国、国王の推薦図書・・・何もしなくても永遠にお金が入る不労所得が約束されていて、それなのにいつ殺されるかもわからない王妃になって下さいと言えないよ」
「そうですね・・・・」
「いや、そこはそんなことない・・・とか、言って欲しかった!」
「それで・・・国王はどうされるおつもりですか?」
「---宮殿で辛い時にレノミンさんが、エミリオに絵本を読んであげている時間だけが、輝いている時間で・・・幸せな時間だった。その頃からずっと、ファンで大好きだった。それなのに、他国の国王たちは彼女を狙っているとしたら?----誰にも取られたくない・・・各国にも僕たちはいい関係だとわかってもらうには・・・これしかないと考えて!!」
「レノミンさんにもう一人子供を作りませんが?って話した」
「・・・・だって、初めての時は全くお互いわからないまま初夜を迎えて・・・何も見てないし、触ったかもわからないまま・・子供だけが出来ていて・・・」
「アレ??家令????」
その後、バン!とドアを閉める音だけが国王の部屋に響いていた。
「自分でも・・・どうしていいかわからないから、相談してのに・・・あんなに怒らなくても・・」
「好きって感情がわからないのに、よく前世で曲が書けたな・・・前の奥さんの事も好きだったのか?---わからない・・大体、いつ知り合ったのだろう??今では二人の顔さえも思い出せなくなった。寂しい夜に、浮かぶ顔は、レノミンさんの頷く顔だけだ。--俺・・、初恋か?・・・」
家令は自分でもどこに向かっているかわからずに早足で歩いていた。
「なんだ、あの国王!!! 畜生! 我が領主のレノミン様に、2度も子作り要請って!! 」
「レノミン様もきっと怖くて、怯えて、毎日を過ごしていて、だから、部屋に籠っていたんだ。気づかなかった自分の最大のミスだ。緊急に招集かけよう!! 」
家令は大急ぎで5人を呼び出し、国王がレノミンさんに言った言葉を伝えた。
「---言葉にならないが、レノミンさんにとっては、強烈な言葉だったに違いない。だから、部屋から出て来ない。私たちに慣れるのにも、何年もかかってやっと信頼関係が出来たくらいなのに、ただ、二人の子供の父親だからと、安心して接していた私たちにも落ち度がある」
「しかし、きっと、レノミンさんは、前の様にひっそり暮らしたいと思っているのは、確かだろう」
「前の生活は、グレース様の学校と、月に一度の買い物くらいしか外に出られていない、ひっそり暮らしておいでだ。それが、7月の誕生会の後の激変を考えれば、私たちに話すこともできなかったのかと思うと、胸が痛い・・・」
「でも、どうしたらいいのかわからない、国王はレノミン様が好きと言って、レノミン様は特別な感情は芽生えていない、そして、二人には結婚はないとして・・・そのお二人を、どうサポートしていったらいいのだろうか?」
「サポートするにも、どの方向へサポートするの?国王の気持ち?レノミン様の気持ち?この領土の為?グレース様やエミリオ様のお気持ちもある?ましてや外交も関わってきたら私たちの手には負えないのでは?」
「今、わかるのは国王は、レノミン様がお好きで、他国の国王は、もしかするとレノミン様を自分の領土に迎え入れたいと思っているかも知れない事、そして、レノミン様は部屋を出ない・・・」
「もしかして、レノミン様も国王のことがお好きだと言う可能性はないの?」
「それは低いのでは?何となくだけど・・・聞いてみる?」
「誰が?」
「---ダリアが・・・?」
「ダリアが一番の適役だろうが、レノミン様命のダリアが、この領土の為に、レノミン様の犠牲を知ったら、我々6人はいつ毒殺されるかわからないほど、恨まれる」
「うん、止めよう。---そうなると、ミンクかジャルだけど、女子同士でなんと無く聞いてみて下さい」
「え~~~~恋バナとかできるかな?ねぇ、ジャル?私たちには一番遠い話ではないか?」
「うん、でも、聞いてみたいレノミン様の気持ち・・・一度も聞いていないし、話して下さったら、すべて、レノミン様のお気持ち通りにするのはどうでしょうか?」
「だって、私たちは皆で、レノミン様に一生の忠誠を誓ったのだから・・・仰せのままに。従いましょうよ。考えるのは私たちではなく、領主のレノミン様です」
「そうだ、初心に帰ろう。私たちの主はレノミン様です」
一度、決まってしまえば、簡単なことだった。
レノミン様が、もう国王の顔も見たくないと、話されたら全力でそうしよう。
結婚したいと話られたらキューピットになって、お子さんを望まれたら、また、一から育児を手伝おう。
そして、この領土を出て行きたいと思われているのであれば、笑顔で送り出そうと、6人は結論を出した。
そして、ミンクとジャルはレノミンの部屋に向かった。




