グレースの憂鬱
第31章
国境でバルトとギシに会い、それからコチャ領の湖畔の別荘に向かい、たどり着いた時は夜中だった。厳しい旅と言えた。
それぞれの国王は部屋に入り、コロネ国王はキュル皇子の暖かい頬を撫でて、安心してベットに向かった。
次の朝、食卓は大変、にぎやかだった。
グレースは、各国の国王に挨拶をして、渋々学校に向かった。最近、ティアが、ばっちりグレースに寄り添っているので、いつもの様に無茶は出来ないでいる。
「レノミンさん、別荘の皆さん、今回は本当にありがとうございました。そして、マルク先生、ありがとうございました。心よりお礼を申し上げます。本当に助かりました。このお礼は一生かけてします。皇太子はまだ起き上がることは出来ませんが、元気になって、この国を助けるでしょう」
「聞くと事によると、レディ・グレースは大変皇子の為に、頑張って下さったと聞きました。そこで、なんですが・・・・」
そこでグルガシ王妃が
「国王、グレースさんは、こちらの領土の大切な後継者です。この別荘の方々はとってもグレースさんを愛しています。私たちがキュル皇子を愛しているように・・同じです。彼女はこの領土の大切の後継者で、私は今回、本当に、こちらの皆さんに、親切にしていただきました。皆さん、一生懸命で皇子の事を思いやって下さいました。ですので・・・国王・・・」
「---そうだな・・。これから4国でS国との戦いに臨まなければならない・・・・」
「そうです。まずはグルガシ国の海岸線からの侵入を、食い止める方法を、考えなければなりません」
そこで余り話さないレノミンがちょっと話しだす。
「やはり海に杭を立てて網をはるのですか?」
「それは、大変な作業になるし、時間もかかるので無理だよ」
「S国の人は、船を降りてから、ずっと泳いでくるのでしょうか?そうなると、海岸の近くまで船をつける必要がありますね。まずはそういう場所を探して、杭をうったり仕掛けをする方がいいでしょう」
「それは一番最初に行う事ですね」
「車はハナ国から何台か購入することは決定事項だが、運転の出来る人がいない、甘えついでにサンドロをこのまま貸してもらえないだろうか・・・?爆弾の原料も彼の商会から大量に購入して、最初に上陸地点を崩したい」
「聞けば、彼もそこそこ運転が出来ると言うので、今回は、一緒に部下たちと車で移動を願いたい。重ね重ね申し訳ないが・・・
「いいです。では、私もひとつ・・・グレースの音楽教育の為にオルガンを買ったのですが、まったく、見向きもしません。シン国王がおっしゃるには、グルガシ国にはピアノあるとお聞きしたのですが、我が国にも一つ・・・送って下さいますか?サンドロの代わりとは、申しませんが・・・?」
「ーーー大丈夫です。ピアノを作っている男は変わった男で、どうも一人で作っているらしく、貴族たちの奪い合いが起きてしまい、その為に国が一括購入にした。しかし、なんといっても1台出来るのに時間がかかって・・・・後で、国に問い合わせをしておく」
「どのような男ですか?」
「いや、会った事がない、部下が知り合いで、ハナ国の贈り物として推薦して、とても喜ばれたと、噂になり、王宮や貴族の家にも、注文が後を絶たなくなり、先ずは国が購入して、貴族たちに降下するる形をとった」
「どこも貴族との付き合いは大変です。しかし、国王の声で丸く収まることは、国王に力がある証拠ではないでしょうか?」
「そうだといいが、そういう事で、時間がかかるが、ピアノの件は承知した。サンドロの件はレノミンさんに聞いた方がいいかな?」
レノミンは、
「サンドロに一度、確認してからご返事を申し上げます」
「うん、そうしてくれ」
その後、家令とサンドロを交えて話し合い、こちらの警備に、サンドロ商会兼軍隊の人間を別荘に入れることにした。王都から早馬で、ギシにはこちらに戻るようにしてもらい、一番安全な体制に近づくことができた。そして、3国王は、今後の事を何度も話し合い、1週間後には旅発って行った。
キュル皇子もあれから抜群の回復力を見せつけて、なんとか、国に戻ることができた。
やっと、平凡な毎日が戻った思っているレノミンだった。
しかし・・・グレースには平凡な毎日は帰って来なかった。
「お母様、エミリオは学校に行かなくていいの?」
「うん、どうなのでしょう・・・・学校の事は、国王がなさっていることで、エミリオは皇子の仕事をしながら、学校に行くのは大変でしょう・・・し・・・・」
「だって、王都から帰って来ないでしょ。だから、学校に行けないのよ」
「それは国王からの指示であちらの宮殿の立て直しを命じられているので、帰れないのよ」
「グレースは寂しくなって、エミリオに帰って来て欲しいの?」
「---お母様・・そんな簡単なことではないの・・・」
「------」
「エミリオが帰って来ないと、私も領主の仕事をすることになるのよ」
「??????」
「そう?どんな?」
「ティアが言うには、エミリオは、何でも一人で出来て、国王から、大きな仕事を任せられているといって、私もこの領土の領主になるのだから、少しづつ仕事をしなくてはいけないと・・・」
「それでは・・・私も何かしなくてはいけないのかしら・・??」
「お母様はいいの。絵本やグッツ、小説でこの領土に、多額の利益をもたらしていて、それがお仕事だから・・・って、ティアが言いました」
「はい、では、グレースは何をするの?」
「財務の計算・・・計算が苦手なのに・・・難しい言葉と計算が私を責めてる来る。計算が少しでも間違えると、色々な所に影響がでる。その影響について文章にまとめて提出すること・・って、でもね。計算を間違えなければ影響もでないでしょ・・・・計算を間違えないければ・・・文章も書かなくてよくて。でも、必ず、間違えるの・・・・だって、学校で習う物よりも大変なのよ」
「お母様・・・どうします?」
「そう・・・その財務計算の表をお母様にも見せて下さい」
グレースは走って部屋に戻り、また、レノミンの部屋にやって来た。
部屋にはお茶などを飲むダイニングテーブルがあって、そこでよくグレースと遊んでいた。
大きな椅子にグレースが腰掛け、二人でその財務表を覗き込む・・・・・
(いやいや~~これは電卓が無いと結構大変な計算だ。)
「お母様、大丈夫ですか?計算・・・」
「グレースの答えはこの数字ですか?」
「うん、こことここを最初に足して、あとからここを足すの・・・そうするとここの合計が出て、それから、こっちも足すって、ティアが…」
それから、レノミンは原稿用紙に計算を始めて、計算してみる。掛け算もある・・・・
二人で何とか答えを出して、グレースがティアに提出してみたら・・・
「お母様、ここが違うから・・・ここの計算が違うと一番ダメだって、あーーーここが違うと、どこに影響がでて、その後はどうなるか考えて来なさいって、どうする???」
(---ティア、真の領主にグレースを育てるつもりだろうが・・・きっと、君の描く領主には、グレースはなれない・・・・、私がなれないように・・・)
二人で頭を抱えていると、国王がやって来て、
「二人で・・顔が重いですね。どうしました?」
二人で立派な領主になる為に、勉強中だと国王に話すと、国王は笑いながら・・・
「レノミンさん、子供を、もう一人作るのはどうですか?」と言った。




