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双子なりの活躍

第26章

 グレースの声に、周りが一斉に反応する。男爵とミンクは霧の中、手探りで皇子の手を探り、脈を図る。


 体温は、エミリオの時も、ずっと高いままだったが、脈が正常に戻り、自分で体を動かしている。二人は大きく頷き、王妃に話かける。


 「危険な状態は去ったと言っていいのではないでしょうか・・・」


 王妃はずっと、何も言わず、皇子の名を呼んで泣いていたが、やはり、そのまま倒れていった。


 レノミンにはわかる、きっと、皇子に気を送って疲れたのだろう、ベットはすでに用意してあり、すぐそばに寝かせた。グレースが再び、ぐずり始めたので、レノミンはグレースを抱き、あやしていたが、レノミンも、力尽きて違うベットで眠っていった。


 その後、皇子の高熱との闘いだったと、夜が明けてから自分の部屋で聞いた。


 皇子と男爵、王妃は別荘に用意してあった部屋に入り、レノミンは、ダリアに容態を聞くと、ダリアが、

 「ええ、回復に向かっています。王妃も皇子もまだお目覚めになりませんが、エミリオ様が、国王と連絡を取られて、皇子の無事を、グルガシ国王にご報告されました。エミリオ様も昨夜は一晩中、お二人を心配なさっていました」


 「レノミン様、エミリオ様の誉めてあげて下さい。エミリオ様は、レノミン様が、到着するとすぐに橋のたもとに向かわれ、兵士たちに橋が壊されたのは、こちらへの敵の侵入を食い止める為で、決して、欠陥があったわけではないと説明なさって、兵士たちにこの数日間の賃金を倍でお払いになり、多分、また、橋を架ける計画がカタクリ国と進むと思うので決してガッカリしないよう、兵士たちに動揺しないように伝えました」


 「兵士たちも気をよくして、そのまま、昨夜は川を見張ってくれました。皇子は立派です。旦那様の生き写しです」


 「まだ、あんなにお小さいのに・・・本当に立派で・・・グス・・・橋の方がメドがたったら、今度はすぐにカタクリ国に電話をかけて、カタクリ国も大騒ぎで、しかしながら、こちらはすべて上手くいっているとお話になり、安心するように国王に伝言を伝えました」


 「それは、もしかしたら、はったりで、国王とのお約束だったかも知れませんが、今は、どの国も動揺してはいけないと、家令に話しておいででした。バルトは、そのまま王都に向かい、ギシと話し合い、国境に国王を迎えに行く計画を立てています」

 (そうなんだ・・・国王のこと忘れていた・・・スミマセン、国王、こっちの事で頭が一杯でした。)


 「今日は二人とも学校はお休みさせましょう。疲れているでしょうから・・」

 「はい、今日は日曜日ですので、お休みです」

 (そうなんだ・・・・)


 一方、あの後、カタクリ国での戦いは、キース国王が橋を爆破した時に、グルガシ国王が倒れ、一時、混乱になったが、それでも、こちらの優勢の状態は続き、制圧出来た、S国の人間も何人か捕らえる事ができたので、そのまま夜明けを待って、カタクリ国の王宮に3国の王は向かった。


 この4国の王が、顔を合わせることは、これが初めてだった。


 グルガシ国のコロネ国王の状態が良くなってから、本格的な話し合いが持たれることに決まったが、3人でとりあえずの世間話が始まった。


 カタクリ国王はカンカンに怒って、

 「なんで! 橋を爆破したんだ!! これからどうする?グルガシ国王はお年を召しておられるのに国境まで出向いて、それからサンシン国に入らなくてはならないんだぞ!! 」


 カタクリ国王は自分の子供を諭すようにキース国王に尋ねる。


 「しかし・・あのまま橋が架かっていたら、我が国への侵略もあり得ます。カスター国王もご存じのように、我が国には軍がありません。レノミンさんやグレース、エミリオを危険な目に遭わせたいのですか?」


 「きっ!! 君は・・・・・」


ーーー一触即発の状態----、そこへ、カタクリ国の宰相が伝言を伝えにやって来る。


 「国王、エミリオ様より、先ほどお電話がございまして、こちらはすべて上手く回っていると、ご伝言がございました。そのことはグルガシ国サイドにも伝えました」


 「うん、わかった」

 「君はエミリオに感謝するんだな」

 「はい、私もエミリオの方が国王には向いていると考えます」


 カタクリ国王の顔が少し歪んで、その場が和んでくる。

 「シン国王、今回は武器を備えて来てくださり、助かりました。我が国だけでは、尋常でない被害になっていたでしょう」


 「いえ、武器と車の売り込みも兼ねて、参りましたので、性能を披露させてもらいました。しかし、ここまで、舐められるとは思ってもいませんでした。初めての4国連携の事業を邪魔されるとは・・」


 「それは・・・こちらも頭が痛いところです。今回の件は我が国の失態です」


 カタクリ国王は頭を抱えていた。

 

 「サンシン国の宰相の話を半分半分で聞いていたので、ここまで、我が国にS国の人間が侵入しているとは思ってもいませんでした。不甲斐ないと思います。軍部には明日にもS国の人間狩りを命じるつもりです」


 「後、国王、エミリオ様より、オフレコでもう一度、連絡があり、薬師のダリアが言うには、エミリオ様の時と、キュル皇子が薬草風呂に入った時に、同じ毒の匂いがしたと、話しているらしいです」


 「エミリオ様は、自分ではわからないので何とも言えないが、一応、すべての国の王族家族に気をつけることをお勧めしますと、先ほど、また、連絡がありました」


 「------」


 重い空気が流れている時にシン国王が話し出す。

 「キース国王のご子息はお幾つですか?」

 「ええ、6歳です」

 「随分とご立派なご子息ですね」

 「はい、本当に。。。」


 またまた、空気が和んだ。流石だ!シン国王、ナイスアシスト!!

 「このことはグルガシ国王に伝えますか?」

 「国王の体調次第ですね。皇子も本当に回復しているかわかりません」


 「ええ、まさか、随分前からS国に侵されていたとは思いたくないでしょう・・・」


 その時、コロネ国王がやって来ていた。

 「その話は本当?な・の・か?」

 「コロネ国王・・・・ダリアはただの侍女です。本当か、わかりません。エミリオは注意が必要だと言っていると思います」


 「コロネ国王、体調はいかがですか?」

 「ああ、何とか大丈夫だ。これから、サンシン国に出向かなくてはならない・・・橋が・・」


 「そのことですが、グルガシ国の国王の心配はわかります。しかし、先にグルガシ国内でS国の人間がどの位、いるかのか調べてもらえませんか・・・・?」


 グルガシ国王は、皇子の事で頭が一杯で、思考回路がマヒしている。


 シン国王は奥の手を出すしかないと考えている。


 「コロネ国王・・・」


 「さっき、皇子が本当に回復したかわからないと言っていたね。すまないが、私はこれからここを発つよ。サンシン国に向かう・・・」


 「本当に大丈夫です。こちらをご覧ください」


 シン国王は魔法で出来ているスライムの携帯をだして、サンシン国のマルク男爵と話を始める。

 「この・・・気持ち悪い物は何だ?」

 「これは、スライム携帯といいまして、向こうもこれと同じものを、男爵が持っています。向こうが覗ける電話と思ってもらっていいです」


 「皇子はどう?」


 「はい、意識が戻り、毒は殆ど抜けましたが、まだ、高熱が続いています」


 その後、皇子の顔が写りだされる。その顔は肌色で呼吸も落ち着いていた。皇子を見たコロネ国王はポタポタと涙を落した。

 「キュル・・・・・」スライム携帯を奪い取り、抱きしめる。


 その時、

 「男爵、これは何??すごーーい、可愛い、あっ! 向こうにおじい様が見える!!」

 「グレース・・・・」


 その後、グレースが皇子が助かったのは、きっと、王妃とお母様と自分と、そこにいたすべての人が祈りながら皇子をマッサージしたから、助かったのよ。と武勇伝を伝えていた。


 「それからね、それでね・・・」とずっと話して・・・・ペラペラペラ~~。


その後、

 「皇子は、しばらくは起きないわ、エミリオもそうだったから、だから、安全に、ごゆっくりこちらにいらして下さい。お待ちしてます。バイバイ~~~!」と、言って、勝手に切った。


 コロネ国王は涙を拭きながら「わっははははは・・・・」と高らかに笑い、

 「さぁ、いつまでもこうしてはいられません。協議に入りましょう」と語った。


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