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国民の諦め

第17章

 国王はゆっくりと義父について話し出す。


 「彼は無口でいい男でした。暗黒の宮殿の中で、青春を過ごしたとは思えない程です。僕たちは山の中で、ひっそりと暮らしていました。木を切り、木工で色々な物を作って売っていました」


 「母親の事を聞いたことはありません。最初から居ませんでしたので、聞く必要がなかったのです。でも、皆さんご存じの通り、踊り子です。踊り子でも情に厚く、僕を守る為に死んでいったのです」


 「義父も貴族の庶子でした。きっと、幸せな家族は、僕たち二人の時だけだったのではないでしょうか?」


 「読み書き、その他、すべての事は、父からの教育でした。誰にも見つからなかったら、本当に良かったと思う程、ゆっくりした毎日でした。しかし、ある日、宰相が皇子、お迎えに来ました。と・・・」


 「義父は、僕を渡す以外の道はありませんでした。すでに、国王はご逝去して、その周りの親族も争って死んでいましたから・・・きっと、その状況を把握していたと思っています」


 「その後、王都に二人で戻って、私は国王に、義父は指南役に任命され、そこから、地獄が始まったのです。義父の元に誰ともわからない身内が押し寄せて、自分たちを要職につかせろと要求しきて、それでも義父は、丁寧に断っていましたが、逆上した親類に刺されて亡くなったのです」


 「国王は、宰相のしていることに、違和感を、感じているのですか?」


 「はい、それはずっと、彼は、年寄りですが世捨て人の年齢ではありません。それなのに何もかも悪い方向に導いています。それが意図的だと気が付いた時、僕は外交に力を入れました」



 国境付近では2国間の協議が始まる。


 「カタクリ国王、皇子は偽物です。私たち二国間に、血の結びつきは出来ませんでした。ご息女であらされるココ王女は、こちらに嫁いていらした時には、末期の状態だったのを国王自身も知っておられたはずです」


 「ドント宰相、もう、嘘は要りません。正直に話して下さい。あなたはあなたの国をどうしたいのですか?」


 「・・・・・・」


 「私はこの国を・・・・・」


 「---では、あなたが連れて来た兵士は何人ですか?」


 「500程です」

 「私が今回、連れて来たのは1万の兵士です。その他、国には軍隊があります。私の要求を呑んでいただきたい。それとも血を流したいですか?」


 「どのような要求ですか?」

 

 「無血で王都を制圧して、その足で、コチャ領にご同行を願いたい」

 そして、そこで真実を話していただきたいと、思っています。ダメなら、このまま、戦闘に入ります。どうでしょうか?」


 宰相は特別、驚かない、


 「いいでしょう。王都の人達には警告の鐘をならしてありますが、何卒、穏便にお願いします」


 「名ばかりの貴族たちは王宮に集めて軟禁状態にした下さい。そのまま亡くなってもあなたも私も構わないのでは?」


 「---宰相・・あなた、目が死んでいる」


 それから2日が経ち、カタクリ国の兵士は宮殿を制圧して、町にはカタクリ国の兵士たちが溢れたが、国民は図太く何もなかったように日常を送っていた。


 その理由は、無血降伏だったために、貴族の処分が決まればカタクリ国に兵士が帰るとオフレが出た為だった。


 国民の中には、すでに、不安は、無いのかもしれない、運命を生きる覚悟が出来ている。


 こんなに国王が、何人も変わる国はない、いつかこんな日が来ることは生まら落ちた時に、覚悟も持ち合わせていた。


 そして、今度はカタクリ国との間に生まれた皇子が亡くなり、国王は行方不明状態・・・・


 「はぁ~~~、今回ばかりはこの国の死を意味している」

 「やだね~~~、上が無能だと、国民は、死ぬしか道は残っていないのかね・・・・」



 宰相は連行される状態で、カタクリ国王と多くの兵士はコチャ領に向かった。


 「国王、ドント宰相と国王一行は、王都を出発しました。直接、国王がいらっしゃるこの別荘に来られるそうです」


 国王同士の連絡役には、ギシが任命された。カタクリ国王は、ギシを大変に気に入り重宝して使った。


 「それでは、明日には、こちらにお見えですね。こちらの領民にはなんて説明しますか?」


 「---ぶっちゃけ、そのままを話した方が今後の為ではないでしょうか?」


 「どう言う事でしょうか?」


 「グレースとエミリオは、国王の子供だと言う事です。カタクリ国から身内である国王が会いにいらした。と・・・決して、戦争に来たのではない。・・・領民の皆さんに歓迎して欲しいとは思っていませんが、不必要な恐怖を与える必要もないと思っています。今後の二人の学校での生活もありますし・・・」


 「---国王は今後も王都にはお戻りにならないのですか?」

 

 「ええ・・・・私は自分で言うのもなんですが、政治や軍隊、財政には疎いと思っています。なんせ、山育ちですから、しかしながら、外交には向いていると思っています」


 「カタクリ軍が撤退したら、王都では貴族たちが、我先にと戦いが始まるでしょう。それは内戦です。内戦が終わってからでも遅くないと・・・できれば一般市民は巻き込んで欲しくないとは思っています」


 「その方法を考えるのが私の仕事でしょう」


 またまた、6人は国王の力量を測りかねていた・・・


 エミリオは少しづつ起きている時間が長くなった。


 ダリアはエミリオに食事をさせることに使命を感じていた。その手助けはグレースがかって出たが、双子と言うこともあり、グレースが嫌いなものはエミリオにもすすめなかった。例えば・・・人参とか・・・


 「お嬢様、この人参はすりつぶしてあって、オマケに甘いです。大丈夫、食べられますよ。エミリオ様にお姉さまとして見本をお見せしてはいかがでしょうか?」


 「・・・・・・」


 グレースはその人参色のペースト状のものをじっと見て、目をつぶっている。しばらくして、

「エミリオ、うーーん、もう、自分で食べた方がいいわ・・・私、宿題があったから・・またね」と逃げて行った。


 ダリアとエミリオはお腹を抱えて笑った。


 「エミリオ様、グレース様でも苦手なものがおありですね。さあ、召し上がって下さい。元気になって、お二人で学校に行きましょう」


 「---ダリア、僕も人参はあまり・・・・」


 「大丈夫です。目をつぶって最初は召し上がって下さい。それから、半目を開けて、徐々に目を開けて行きましょう。栄養があって美味しいですから・・・ダリアが保証します」


 「でもね・・・ウサギが食べるんだよね・・・これ・・・」


 「ええ・・そのウサギもダリアは食べます」


 「ウッソーーー!!」


 「本当ですよ。人間は色んなものを食べて大きくなります。そうですね、レノミン様はこの湖で取れた蟹や魚が大好きです」


 「釣りをしているの?」


 「釣りでもとれますが、特別にこの湖で漁をする人を雇っています。その人が捕れたものをレノミン様は見るのがお好きで、その中で、魚やカニ、エビなどがお好きです」


 「お母様・・・すごい・・・グレースも食べるの?」


 「ええ、お嬢様は蟹が特別、お好きですね」

 「美味しいの?」

 「ええ、この前、飲まれたスープは蟹でだしを取ってレノミン様がお作りになりました」

 「お母様、僕の為に料理をして下さったの?」

 「勿論です。グレース様とエミリオ様にお菓子もお作りになります」


 「この人参も??」

 「こちらはダリアが特別に作りました。さぁ・・どうぞ・・! 」


 レノミンは目を瞑って口を開けた、

 「甘くて、美味しい・・・」

 「良かったです。グレース様が言われたように、もうご自分で召し上がってはいかがでしょうか?」


 「それは、目をつぶってたべるのは難しい・・・・」

 「------」



 カタクリ国王と大勢の兵士、宰相はコチャ領に入った。


 コチャ領にはカタクリ国とは共有の関所はないが、少しだけ互いの領土が隣接している場所もある。


 その場所を通って、カタクリ国に抜けると意外に近い、しかし、そこには崖があり、川が流れていて橋はもちろんない。そして、互いの国はその場所で争ったことは無かった。


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