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10 第三の予言

本日ラスト!

 風呂から上がり、部屋に入る。


 もしや……と思いながら部屋に入ったのだが、案の定机にはあのノートがポツンと置かれていた。

 三回目ということもあってか、もう慣れてきている自分がいる。


「今度の予言はなんなんだ?」


 ぺらりとノートをめくると、また一ページに一文だけこう書かれていた。



『明日、幼馴染が家に泊まりに来る』



「……マジかよ」


 また幼馴染に関するラブコメイベント。

 七奈が俺の家に泊まりに来ることは確かにある。


 ただこの予知ノートの予言ともなればラブコメ展開が起こるんじゃないか?

 そう思うと、俺の脳内で妄想が広がっていった。


「……思春期丸出しかよ俺」


 やはりこの予知ノートの影響あってか、前よりも七奈のことをより意識してしまうようになっていた。

 前から恋愛感情は確かにあったのだが、どちらかといえばただの幼馴染に近いような存在だった。

 

 でも最近は、幼馴染とかを抜きにして、異性として見てしまっている。


 別にそれが悪いことではないのだが……精神が持たない。

 幼馴染だからか元から距離感がやけに近いんだよな俺たち。


 普通に考えて好きな人が自分の家に泊まりにくるとか大事件だろ。

 よく今の今までそれを普通に受け入れていたもんだ。

 多分前の俺鉄人。


「でもやっぱり、七奈に関することなんだよな……」


 三回連続七奈に関する予言。

 

 現実的に考えてありえないことだけど、やはりラブコメの神様でもいるんじゃないかと思った方が、納得がいく。

 しかしそこがまた引っかかるのだ。


 何か俺は今までに重要なことを見落としているような気がする。

 もしかしたらこのノートの正体に関するヒントが、もっと前にあったのかも……。


「……クソー考えてもわからねぇ! 俺鈍感なのか⁈ それともこの状況が常軌を逸しているのか⁈」


 でも今わかっているのは、この予知ノートは七奈との間に起こるラブコメ展開を予言してくるということ。

 その目的として俺と七奈をくっつけようとしているのかはわからないが……なんにせよこのラブコメイベントは明日確実に起こると思っていてもいいだろう。


「とりあえず、明日を迎えるしかないか」


 考えてもわからない。

 

 しかしベッドに入った後でも予知ノートのことと七奈のことを考えてしまって、あまり寝ることができなかった。




   ***




「おじゃましまーす」


「七奈ちゃんいらっしゃい! 待ってたよぉ~」


「私も楽しみにしてたわ! 今日はたくさん楽しもうね!」


「うん!」


 目の前にて百合百合しい雰囲気が漂っております。

 これ、俺見ていいのか? ってか俺ここにいていいのか?


 そう思うほどに男の俺はなんだか場違いなように思えた。


「慶……今日はお邪魔するね」


「お、おう」


「なんか二人、付き合いたてのカップルみたいだね!」


「「ち、違うわ!」」


「息ぴったりだねぇ」


 反射的に否定してしまったが、正直そういわれると嬉しいと素直に思う。

 三咲の発言で余計にそのぎこちない空気が一層増した。


 俺たち幼馴染なのにこんなに気まずかったっけ?

 おいおいどう接していいかわからなくなってきたぞ……。


「まぁとりあえず上がって上がって」


「う、うん……」


 三咲に言われるがままに七奈は靴を脱いで家に上がった。

 

 ふと、俺と七奈の視線が交わる。 

 しかしすぐにお互い目をそらしてしまった。


 ——ほんと、付き合いたてのカップルかよ。


 ドキドキのお泊り会、始まる。

 


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