8頁:ほのぼの編開始
ヂヂヂヂ…ヂヂヂヂ
ヂヂ…ヂ「は、ここまで…」ヂヂ…「前川」ヂヂヂ…
なんかー、単語がいっぱい聞こえる。
あれー?これ夢?
なんか、授業とか聞こえた気がするー。
ざわざわと、人の声。
うっぜーーーーー!!
…なんてね、嘘だよ。…本当に嘘だよ?
意味分からなくなりそうだけど。
ヂヂ…「ろ」…ヂヂヂ
ゴツ
…いってー。
何か固いもので頭を叩かれた気がする。
たとえるならー…本?
あ、うー、痛い…けが人なのにー。
ゴツ!
…強めに叩かれた。
うー、あー、そっか、ここ学校か。
「…痛い……」
「起きたか?…寝てないでさっさと来い…前川」
「はい…」
あー、痛い…。
ヂヂヂヂ…
…うるさい。
「あ、前川ー。終わったら教室で待ってるからー」
「いや、お前らは掃除終わったらさっさと帰れ…初日から質問攻めにするのか?」
「あ…そうですね。んじゃ、明日聞かせてね。前川」
先生に連れられて、教室を後にする。
…それはそれとして、アユアユー(親友らしい歩くんです、念のため)…君は何で名字で僕を呼ぶのかなー。
自分の事は名前で紹介したくせに。
んー、交友関係がよく分からないぜ?
ま、いいんだけど。
あー、もしかしたら、苗字が鈴木とか佐藤とかなのかな。
鈴木とか佐藤って名前で呼ばれる傾向にあるよね。
あ、ここが職員室かあ。
ふむふむ。…ふつー。
「ほら、こっち」
「あ、はい」
…校長室?
…こーちょーしつ?
…あの黒いソファーがあるよ?
いや、あるんですけど?
なんか、ガラス張りの机とかあるんですけど?
賞状いっぱい!
きゃーーーー!
「さて、と…前川、うん…よく来た」
「あ、ありがとうございます」
…ダラダラ。
汗別に出てないけど。
ヂヂ…「で」ヂヂヂヂ…「訳だが」
…聞こえねえ。
あー何言ってるのかなー。
推理ターイム。
…分からねー!
「…聞いてるか?居眠りくん」
「そのあだ名何ですか?先生」
「的確なあだ名だと思っているが?…後、私の名前は西川 礼だ」
…メモっとくかー。
頭の隅っこの引出しの奥の方に。
で、…あー、…。
西川先生か。
「…西川先生。…手続きとかは済んでますよね」
「うん。それと…君の様子については触れられたくないだろう?」
「ああ、はい」
「だろうな」
うあー、やっぱいい先生だー!
西川先生サイコー!
「さて、ついでに自己紹介をしておくと…君のクラスでもある2年E組の担任をやっている」
「なるほど」
「何がなるほど…だ。とにかく、明日からは遅刻するなよ?」
「はい、西川先生」
キリッ…ふ、決まった。
…なんて、決める気もなかったけど。
うーん、西川先生黒髪美人なんだなあ。
素敵。
…かなあ?
ヂヂ…「は」ヂヂヂ…「来れるかな」
…どーやらこの人の会話もノイズで途切れやすいみたいー。
あっはー。
「ええ、はい」
「…ふむ。耳が遠いようだね」
「分かります?」
「全然」
…頭がいい部類の人か。
ま、どうでもいいんだけど。
平和に暮らせればどうでもいいよ。
「ま、大変だろうが頑張れ」
「はーい」
「よし、帰っていい」
「さようならー」
よーし、帰ろう。
我が家が待ってるぞー!
さて、…この高級そうな慣れない校長室を後にしよう。
「…疲れないか?」
…あー、くっそー。
いま、ちょうど、ルンルン気分で扉に手をかけたのに。
後少しで、脱出できたのに。
あーーーー!
ヂヂ…
…ヂヂヂ
うっさー。
「…ん?あは、確かに、周りからの質問攻めはつかれますねえ」
「…そういうことじゃないけどな」
…くそー。
あー。
…ばれたのー?
頑張ってんのに。
うー、あー。
いー。
えおー。
「ま、さようなら」
「はい、さようなら」
あーもう。
くっそー!
ばれたのか!
あー!
別に、どうでもいいけどさー。
…ちっ。
…帰ろ。
パタパタ…
玄関まで行って靴を履き替える。
…げた箱にラブレターは無し…チェックよーし。
靴に画びょう有り…チェックよーし。
…ん?
なーんか、うー?
ま、いいか。
「チチチくん、とうとう学校に来たのですね」
で…でたーーーーーーー!!
「ああ、来栖さん、こんにちは」
「こんにちは」
あうー!
「チチチチチくん、何だか、避けてませんか?」
「そんなことないです、すよ?」
動揺してる?してない!
…ってかそういえば、いつからチ(以下略)さんから、チ(やっぱり省略)くんに格上げ?
いや、格下げ?
「…一緒に帰りましょう?」
「えあ、今日はハンバーガーを食べる日なんです」
「じゃあ、一緒に食べましょう?…奢ってくださいね」
自爆した―!
お財布、中身……千円札がいちまーい。
あー、これ、…セット二人分足らんよ。
「えあ…お金が…」
「うふふ、…私はセットだけでいいですよ?」
何がいいですよだ!
あう…くすん。
「じゃあ、行きましょうか」
「…はい」
うー、何で敬語になっるのっかなー?
やっぱり、年上っぽいから?
…画びょういてえ。
捨てよ。…この画びょう。
コロコロ…カツン。
どうでもいい擬音でした。
ヂヂ…
どうでもいいノイズです。
あー、有名なハンバーガー店に到着。
知ってる?原価に対して最も値段が高い商品って、…ポテトなんだよ!
実は、セットって、…お得じゃないんだよ!
飲み物も高いし!
「それじゃあ…席とってますね?」
「はーい」
僕に取ってこさせようというのか。
…分かりきってたけど。
「いらっしゃいませー、何に致しますか?」
「…チーズバーガーのセットをひとつ、飲み物はお茶で、サイズはそのままで。…あと、バーガーひとつ」
「かしこまりました。お持ち帰りですか?」
「ここで食べます」
「お会計、780円になります」
「はい」
「お釣りの220円と、レシートになります」
「…なります?…いえ、はい」
「……右手でお待ちください」
「手?」
「…」
楽しい物品購入風景でした。
…嘘だけど。
つい、気になるんだよ!
僕だって日本語適当なくせにさ!
あー、スッキリした。
「お待たせしました」
「お待ちしてました…結構」
「すみません」
「気にしてませんよ?」
あー!
くっそ、うまそうに、ポテトとバーガーとお茶をむさぼりやがって!
…上品だけど!
僕なんざ、バーガーひとつだ!
「…ごちそうさまです」
はええー!
…僕よりも早いよ!
何この早さ!
……見つめられている。
食べづらい。
ヂヂヂ…
…食べる気無くすから。
…とりあえず、食べよ。
「あの…見られると…」
「…?」
分かってやがるよ。
くっそー、いい性格してやがりますな。
とりあえず、完食。
…食った気しない。
「では、帰りましょうか」
「はーい」
…あう。
さて、外は明るいですな。
んで、あったかいですな。
…だるー。
「あ、では私はここで」
「はーい」
「また明日。チチチくん」
「はーい」
「…じー」
俗に言う、じと目。
何が駄目なの?
まあ、返事だろうなあ。
分かりきってるよ。
「…さようなら」
「はい、さようなら」
満面の笑み。
…くっそ、可愛い。
帰ろう、我が家に。
到着…ってかまあ…うん。
さみしー。
親居ないのは…なーんでだろー。
…答え、事故で死んだから。
あっさり。
ヂヂ…
うっさい。
あー、疲れた。
何が一番疲れたかって?
…同級生(モモちゃんやクルクルさん含む)との戯れ…じゃなくて。
…西川先生との一瞬のやり取り。
なんてね。
さ、寝よう。
ベッドは二階。
着替えて……めんどくせ。
おやすみー。
リビングのソファ固いけど、ま、いいかー。
ヂヂ…
死ねー。