4頁:日常
ヂヂヂヂ…!!
「ああああああああああああアアアアアアアアァァアァ!!!」
がっは…ぎあ…。
あー、…っは。
ひーふはー。
あー、いい夢見た。
さいっこーの夢だね。
…思わず絶叫しちゃったよ。
しっかし、…あー、うー。
…やる気無くすねえ。
てか、目ざましどうしたの?ボイコット?
…そういえば3時頃になりましたよねー。
あー、くっそー…つれー。
…っと、扉があいてナースさん登場。
鍵かけ忘れちゃったよ、エヘ。
「…どうしましたか?前川さん」
「いえ、何でも。ちょっといい夢気分だっただけですよ」
「そうですか。…何かあったらナースコールで呼んでくださいね」
「はいはーい」
ナースさん退場。
スッキリしたー。
あ、ちなみに言っておきますと、あのナースさんは毒舌ナースさんとは違いますよ。
言葉の優しさが違うね!
うん。…スッキリ!
ヂヂヂヂ…ヂヂ
さいあくー。
今更だけど…眩しいなあ。
っと、辺りを見回すと…目につくのは…紙コップ?
あれー?あんなものあった…っけ…
っておいいいい!!
まてまてまてまてまて、これは罠だ。
そう、これは罠だ…ヂヂヂ…うるせーーーーーーーー!!!
えーっと、あれがこうしてそれが…ああああああ!
そうだ!そうか!
それだああ!
ってか、テンション落ち着け!僕!落ち着け!
そうだ、夜あれ、捨て忘れた、僕。
忙しかった…んだ!
あらああ。
まあまあ。
で、済んだらいいなあ。
「…ミッショーンインポッシブル!」
そう、これは重大なミッションだよ。
誰にも(とくにクルクルさんに)ばれずに…あの紙コップを捨てなければいけない…っ。
じゃないと…僕の選手生命が絶たれる。
…何の選手だ。
「…略してミッションインポですね」
「…おい」
わきゃああああ!!
誰?誰…ってこのパターンかよ!
「クルククク…じゃなくて!来栖さん、変な省略の仕方しないでください」
「…いいじゃないですか、インポ」
「…最悪だー」
「うふふ…ああ、その紙コップを私にばれずに捨てようとしていたんですね」
わきゃああああああ!ヂヂヂヂ…
うっせいやい!
「な、ち、ちが、ががが」
「どこのポンコツインポですか?」
「おい、それ違う意味で使ってませんか」
「気のせいですよ」
くっ…また、まただ…また人生の汚点を。
「あらあ…この紙コップまだとっていてくれてたんですね…私とあなたの…思い出」
「てか、あなたいつ入ってきたんですか」
…今何か別の事話してましたっけ?
「…ええ、いつの間にか」
「はあ、そうですか」
…あー、神出鬼没はいやだよ。
ったく、プライバシーを尊重してよ。
「あれ?あいてるー…千知くーん」
おや、きれいな声ー。
この声は…キラン、モモちゃんだね。
あっは、声ソムリエとかいってー。
「…あら、おはようございます」
「おはようございます…って…どなたですか?」
「来栖」ヂヂヂ…「と申します」
どうあっても僕に名前を聞かせないつもりかこのノイズめ。
「へ…へえ…どうしてここに?」
あー、僕の居ないところで勝手に話が展開してるよ?
ってか、いつの間にか僕は●○ゲの主人公みたいな三角関係になったんだろー。
ヂヂヂ…
ごめん、ノイズの嫉妬とかいらねー。
「…あの夜のことが忘れら「だまれ」て…」
何をさらっと言ってんだこのクルクルさん。
「あの…夜…の…っ…こと!?」
「ええ…」
「あのー、百藻さん?…勘違いしてませんか?」
「っ…わたしは!…千知くんの幼馴染です!」
「へえ…私は同じ屋根の下で眠った仲ですよ」
「な…なん…!」
ちょ…誤解…だよ。
あー、それにしてもきれいな声―だーなー。
「あの、病院だから、屋根の下当たり前ですから」
「あら…そうでしたか?」
「くっ…千知くん!わたしもここで寝るよ!」
「余計に話がこじれるからやめて」
「そういえば…夜中私の部屋に…」
「黙れ」
「ちょっと!…今のナニ?千知くん…?」
「あー、もー!」
ヂヂヂ…
だからノイズにかまってる暇ないんだってば!
ヂヂヂ…「で」…ヂヂヂヂヂ
「あら」ヂヂヂヂ…ヂヂヂヂヂヂ
き・こ・え・な・い・し!
ノイズ邪魔、うるさい、邪魔だっての!
「千知くん!聞いてるの?」
「うん、ああ、パスタおいしいよね」
…いー訳ですらねー。
あ、分かりづらいかな。言い訳ね、言い訳。
「…うふ、聞いてなかったんですね、じゃあ、それで良しとしましょう」
「よくないから、あなたの言ってること全部だめだから」
「もう…私と貴方の仲じゃないですか…」
「他人です」
「…親しそうに…っ…して!」
やっべー、どうやってこれ収集つけるんだろ。
「前川さーん、女の子をはべらかしてないでとっとと出てけばー?」
「うるせええ!」
ナースさん(毒舌の人)まで出てくるな、ややこしい。
ひっこんどけー!
あー、忙しい、ヂヂヂ…
うるせー!なんとなくノイズが出てくる予感はしてたけどさ!
「…前は…千知くんこんな人じゃ…なかったのに!」
「そうよね…前はもっと優しくて一途で…」
「そう!…ほんと…」
それはどこの色男だ。
ってか、毎回毎回ぐさぐさぐさぐさ…いってー。
ほんと、いってー。声がきれいで顔が可愛いからって何だよ!
「ぐすん…もう…チチチチチくんなんて知らないっ」
「あっそ」
あー、はいはい。
モモちゃんはそんな呼び方しませんから。
「ひどい…そんな事…」
あれ、これどっち?
えーっと、…ああ、声まね上手いな。
…このクルクルさんめ。
「わたし…」ヂヂヂ「る!」
おい、ノイズ…大事なとこだぞ。
タタタ…って、ああ…そうか。
"帰る!"か。
はー。
「私も…帰る!…あ、コップはちゃんと捨ててくださいよ?」
「いいからさっさと、どっか行ってくれますか」
「はい…今、行きますね…」
「行け」
トテトテ…
あー、扉閉めろー。
バタン!
…つっかれた…。
おい、これ…続くの?
あー、眠い…なあ。
ヂヂヂ…
うる…せ。
やば…本気で…眠い…。
…気がする。
あ…ベッド…もふもふ。
…寝よ。
おやすみ…ヂヂヂ…
うっせ…。
…。