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3頁:深夜

ヂヂヂヂヂ…


…ヂヂヂヂヂ…ヂヂヂヂ



ヂヂ…ヂヂヂヂヂヂ


ヂヂヂヂヂ……ヂヂヂヂヂヂヂヂ


ヂヂ…ヂヂヂヂヂヂヂヂヂ!!!!


 あー、うーるーさーいーなー。


 これって、夢だよね?


 あー、目瞑るのいやだなー。


 でも、瞑らないと眠れないしね。


ヂヂヂ…ヂヂヂヂ


 …目を瞑ると毎回毎回ノイズがひどくて困るよ。


 可愛い女の子の顔でも出てくれば、夢も楽しくなるのになあ。


 …可愛い女の子?…何それ。


ヂヂヂヂヂヂヂ!!


 あー、そうか、例えばモモちゃん(それ以外の同年代とまだ会ったことがない)とかかなあ。


ヂヂ…ヂヂ…


 んー…ノイズうっせ。


ヂヂ…ピピピピピ!…ヂヂヂ


 ノイズにノイズが混ざってるよ。


 あー、目ざまし音かー。


 起きようかなー。


 よっこらせっと。



 うーん、眩しくない。

 だって、夜だし。


 あー、時間は…3時?


ヂヂヂ…ヂヂヂヂヂ

 

 おい、ノイズ…分かってる?お前のせいで僕は眠れてないんだぞ。


 あー、眠れねー。


 …暇だし。


 散歩でも…しようかなあ。


 僕は自分の足で立って歩くことができる、普通の人間だと知らされたわけだし。

 …よし!思いついたら即実行!


 あー、…暗いなあ。


 よいしょ…、布団おもー。


 ガラガラ…なんか、夜って扉の音がやけに大きく響くよね。


ペタペタペタ…ヂヂヂヂヂ


 スリッパの音も響く響く。

 …ノイズは僕の頭の中だけで鳴ってる訳だから響かないけどねー。


 いや、響くか…頭の中で。


 …さ、どこ行こうかなあ。

 ここ、病院だし。


 定番の屋上かな?


 えーっと…あっち?



 違う、こっち?



 あ、屋上はあっちですか。すみませんね。


 …今の誰?



 階段を一段上ってまた、一段。

 …微妙に疲れる。


 さあ、扉を…開けます!

 …開きません!


 んー、やっぱりだめかなあ。


 入院したら屋上に行くのが通ってもんだろ!

 …痛じゃねーよー?


 …あ、開いた。


 そうか、押す扉なんだね!やったぁ!



 …さーむーいー。


ヂヂヂヂ…ヂ…

 

 ノイズは元気だな畜生。


「…こんばんは」


「あ、こんばん…は?」


 え?先客?

 えっと…今何時?


「…誰?」


「ああ、僕は」…ヂヂヂ「って言うらしいよ。…じゃなくて、前川千知って言うんだ…ってかそっちこそどなた?」


 正直、暗くて顔すら見えないんだけど。


 …声から察するに女性ですね!


「私は…」…ヂヂヂヂ「す」


 …おい、肝心なところ聞こえなかったぞ。


「ごめんなさい、風で聞こえなかったのでもう一度…言ってもらってもいいですか?」


「…来栖」ヂヂヂ「です」


 …名前っぽいところ聞こえねー。

 ま、いいけど。


 …脳内ニックネームはクルクルさんに決定だな!


 年上っぽいし!


「えっと…クル…来栖さんはどうしてここに?」


「白血病なんです…」


 おーい、ちげーよ。

 ってか、嘘だな…分かるよ!


「…へえ、でもそうじゃなくてですね」


「あれ?…嘘には突っ込んでくれないんですか?」


「あ、どうでもいいので」


「…そうですよね」


 …あー、話噛み合わない。

 いや、噛みあってるのかな。


 どうでもいいや。…多分気にしない。


「…学生さん?」


「ああ、学生兼ニート兼患者です」


「あら…じゃあ私と一緒ね」


 おー、同類だ。


「…あなたもニートを?」


「あ、…一緒にしないでください。「おい」…学生兼患者ですよ」


 …声に何か込められてたっ…。


 あー、寒っ。


「…中、入りません?ここ、寒くて」


「そうですよね、…何でここに来たんですか?」


「だから、白血病…です」


「それ、もういいから」


 うあー、会話し辛い。

 どうしよう、…ノイズこーい!


ヂヂヂヂ…

 

 くんな!


「…じゃ、降りましょうか」


 クルクルさんと連れだって階段を降りる。

 …扉を開けるのに失敗する辺りは面倒なので割愛。


「ロビーで少々お話に花でも咲かせませんか?」


「いいですね、…ああ、座りましょうか」


 ロビーのソファー?に座る。


「しかし…寒いですね。チチチチさん、ホットココア飲みたいですよね」


「あ、チチチチじゃないですよ、千知です。あと、別にホットココア飲みたくないですよ」


 うん、チチチチって、ニックネームセンスが僕と似ている。…だめだねえ。

 ってか、それを表に出すんじゃないよ!傷つくよ!…多分。


「寒いですねえ…チチチさん。…ホット飲みたく…ないですか?」


「…チが一個多いです。…自販機はあそこですよ」


「…あー、ホットココア飲みたいなー」


「露骨過ぎませんか」


「…あー」


 …分かった、分かりました。


 無言で立ちあがり…自販機の前に。

 ボタンを押す…ホットココア?


 あれ、おかしいな、出てこないぞ?


「駄目ですね。この自販機壊れてるみたいです」


「壊れてるのは別のものですよ…お金入れないと出てきませんよ?」


 おお、そうか。

 壊れているのは僕のナニのアレのソレか。


 あはは…くっそー。


「はあ、クルク…来栖さん、お金だけ入れてくれませんか?」


「だけって何ですか?…後、クルクルさんじゃないですよ?」


 良く分かるねえ。脳内ニックネーム。

 もしや、定番のニックネーム?


 てか、お金はー?


「いや、お金入れないと出てこないらしいじゃないですか」


「奢ってください」


「…露骨ですね「はい」」


 即答が半端じゃないな。


 あー、何?ここはおごる場面なの?

 しかたないなー。


 お財布お財布…あ、ありやがった。


 中身は…110円?


 おい、ホットココアいくら?

 …110円?…あれ?


「早くしてくださいね…」


 …ガチャガチャ…ポチ。


ウィーン、ボトン、トポトポ…ヂヂヂヂ

 お、ホットココア出てきた。


 …おかしいな、僕の財布が空っぽになった。


「持ってきてください…」


「あなた様はどこのお姫様ですか?」


「病院のマドンナです」


 あっそ。


ヂヂヂヂヂ…ヂヂヂ!!

 ごめんごめん、スルーした訳じゃないんだ。

 …ただ、反応面倒くさかったんだよ、…だからうるせーよノイズ。


 さて、持っていこう…っと予想以上に熱い。

 危ない…こぼしてしまう!


「あ、こぼしたら裁判沙汰にしますね」


「はい、どうぞ」


 おお、こぼさずに済んだ。

 …なんでーだろー。


「…あったかぁい」


「うっぜー」


「何か?」


「いえ」


 …くっそ、寒いな。

 あー、…ってかこの人きれいだなー。


「あの、失礼ですが、学生さん…?」


「はい、高校2年生とかやってます…ズズ」


 …あー、いいにおい。

 ただし、この人の匂いじゃなくてホットココアの甘い香りだ勘違いするなよ。


 …決して断じてこの人の匂いがちょっぽり漂ってきたとかそんなことないから!


ヂヂヂ…

 うっせー!


「ああ、実は僕もなんです」


「ズズ…」


 興味持てよ。

 …後、せめて返事くらいは言葉で返せー!


「おいし、…ああ、お腹いっぱい」


 それはようございました。


「…残ったの、あげますね」


「ありがとうございます」


 おいおい、元々僕のお金だし、ついでに言えばお前はどこのわがまま娘?

 …おっと、言葉づかいがっ。


 ホットココアを受け取る…熱い。

 クルクル…ちょっとだけ回す。


 ホットココアが一番多く付着している部分から…飲もうかな。

 ほら、他のところから飲もうとするとちょっとだけ損するし。


 損とか、嫌いだし、エコだし。


「…間接?」


「はて?何のことやら」


 …わきゃぁ!


ヂヂヂ…

 だからうるせー!毎回毎回毎回邪魔スンナ!


「…かんせ「あー、このホットココアおいしいですね。あったかーい」…キス」


 わきゃあああああ!!


 僕は純粋なんだ!そんな、そんな…!


「…別に味変わったりしませんよ?」


「…ズズ」


 さ、さっきのお返しだい!


「…後、カップはちゃんと捨ててくださいね?」


「当然じゃないですか」


 …何を言ってるんだろ、この人は。


 あー、分からないなあ…ヂヂヂヂヂ…邪魔スンナ。


「あ、そろそろ私眠らなくちゃ。…じゃあ、また今度学校でお会いしましょうね、チチチチチチさん」


「はいはい、クルクルクルさん」


「クルクルじゃないんですか?」


「さっさと眠れ」


「おやすみなさい」


「おやすみなさい」


 …僕も寝よー。


 …あれ?どっちだっけ。


 えーっと、…ああ、こっちかな。


 ガラガラ…


「…何でついてきてるんですか?」


「や、やだなあ、ついてきてなんか」


「…部屋間違えたんですか?」


「まさか、そんな事」


「…貴方の部屋は隣ですよ?」


「あはは、分かってますよ…女性を一人にしたら危ないかなって」


「おやすみなさい」


「おやすみなさい」


 …さー、寝よう寝よう。


 …ガラガラガラ…


 …いいにおいしたなあー、あの部屋。


 とか、思ってないから!


 …寝よう!これ以上起きてると何か大事なものを失いそうだ。


ヂヂヂヂヂ…

 …だからうっせー。


 そういえばそうだった。

 ノイズのせいで眠れないんだっけ。


 …あー、前の僕は一体どうしてたんだろうかなー。

 体力もたねー。


 …おやすみ。


ヂヂヂ…

 だまれウジ虫。


 おやすみ。

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