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2頁:病院の過ごし方

ヂヂヂヂヂ…

あー、ノイズうるさくて眠れないー。


いっそこの耳引きちぎろうかな。

ちょっと痛そうだけどね。



…ちょっと?

いや、大分痛いかなー。


あー、眠い。


お?ガチャリ…って何の音かな。


例えるなら、患者のプライバシーの化身ともいえる鍵を開けたような…。



ん?ガダァァン!って何の音だろう…?


…まるで病院の扉を強引に開けたような…。



「いい加減開けなさいよ!」


扉をあけて入ってきたのは、2週間程お世話になってるナース(本名はどうでもいいので割愛)さん。

どうでもいいけど、言葉づかいが悪いことで有名な人…僕の間でだけど。


「面会謝絶チューです」


「黙れ!」


おー、患者の意思を全く持って尊重しないナースさんだなー。


「まったく、そもそも看護士に対して面会謝絶も何もないでしょう」


ごもっともな意見だなぁ。


あ、そうそう勘違いされると彼女の職を奪う結果につながる可能性があるので訂正しておくと、最初は普通の言葉づかいだったんだよ。

ただ、僕がちょっとからかい過ぎただけなんだ。


ヂヂ…「てるの?」


ノイズうっさい。ナースさんが何を言ったか聞こえなかっただろ。


「ほら」ヂヂ…「さい」


なんか、ノイズ反抗期?…うるさいー。


「早く立ちなさいって!後、子供じゃないんだから黙れって言われて黙らない!」


「え?僕もう立てるんですか?…後、えらい人の言うことは聞くものです!」


「立てるから、早く立つ」


おお、なんと…僕は立てるのか。

…知ってたけど。


頭から足に向かって電気信号をとばす。

指示は ウ ゴ ケ。


…動く気配がない。ボイコットかな。


「立てません」


「ほう、じゃあ立てるようになる注射をしてあげるから。…眼球に」


おお、足が動いた。


ジタバタジタバタ


「早く立ちなさいな」


ジタ…バタ、ヂヂヂ


変な音が聞こえて不愉快になったので、足を横に向けてベッドに腰掛けるようにする。


…で、立った。立ったよ僕!やったよ!


「はい、どいて。邪魔」


「すいませーん、チェンジで」


「ここはキャバクラじゃないの。ほら、どいてどいて」


狭い部屋の隅っこに追いやられる患者。

訴えるぞ!患者の権利を守れ―!


ナースさんはベッドのシーツを取り替えて、シワを伸ばす。

…自分のシワは取り替えられないし伸ばせないらしいけど。


「うん、死ねば?」


「それ、患者に対することばと違います。後何故ですか」


「さあ?言いたくなっただけ」


何のエスパー?


っと、あっという間にベッドが新品のように!


「はい、どうもありがとうございました。ではそろそろお引き取りください」


「何バカなことを言ってるの。出ていくのはあなたです」


「嘘ですよね?」


「うん」


はー、よかった。

こんな居心地の良いベッドは他にないよ!

うるさい見舞いとうるさいナースと固いベッド!サイコー!


と、ナースさんが手まねきしてる。


「ほら、ちょっとおいで」



なんだろう。イケない大人の授業かな?


ヂヂヂ…

ナースさん、僕僕…。

安心して、全部私に任せればいいいの。

でも…ああ、やっぱり僕!

うふふ…ほら、ここ、こんな…。

ああ!禁断の恋!


何だこの電波。


っと、忘れるところだった。

こんな展開を期待しつつ、早くナースさんのところに行かなければー!…嘘が6割だけど。


「早くこいっての!」


怒られるとは…。


「ひどいよ…僕…頑張った…「あっそ」…のに!」


おーい、人の発言は待つものですよ、ナースさん。


「ったく…、髪の毛に綿ついてるわね」


おお、しなやかな指づかいで髪についた僕の白いものを取る。


「…変なこと考えてない?」


「めっそうもない。基本的には考えてませんよ」


うん、僕は状況を分かりやすく、説明しただけだものね。

やましい気持ちだって全くないよ!


「ま、いいわ。…じゃ、私は出ていくから、何かあったらそこのナースコールで呼びなさい」


「はい、女王様」


「黙れ。…じゃ、お大事にね」


…うん。ナースさんはあっさり出て行った。

とくに変な展開も無かった。よかったよかった。


…あー、よかった。


うん…寝よう。


べ…別に期待とかしてないからっ。


あー、このベッドをあのナースさんが直したんだなーとか思ってないから!

別に、あのナースさんが22歳で若くてきれいでちょっとロリ入ってて萌えるよ。

とか…思ってないから!!


「…ベッド汚さないでね?」


きゃぁああああ!!

わきゃあぁぁ!

誰?誰?誰?

ナースさんかよ!


くっそ!ベッドちょっとだけ見つめてただけなのに!


「…別にそのベッド何もついてないから」


あああああああぁぁぁ!


こい!ノイズこい!

僕の全てを包み隠せぇ!


今度こそ本当にナースさんが部屋から出ていく。

鍵かけろーよー。


…寝よう。


ヂヂヂヂヂ…ヂヂヂ

いや、ノイズ遅いから。寝ようとしたら出てくんな。

お呼びじゃないんだよ。


よし、寝よう。枕につっぷして、ちょっと濡らす感じで寝よう。


…ノイズとともに。

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