19頁:探索
…今は…13時…か。
まあ、ちょうどいいかなあ…。
ってか、見つかるの怖いなあ…。
今更何を怖がるんだって話だけど。
…いいや、行こう。
植木から、頭を出す…周りに人はいない。
おっけー、サクっと中行こうか。
どこから見て回ろうかなあ…、って違うんだよ。
もう、そんな余裕はないんだー。
とりあえず、ここ見つかりやすそうだから…校舎内には入ろうかな。
玄関…あ、そういえば足すごく痛い…裸足で来てたね。
…落ち着いて僕の姿を見てみればさあ…もはやゾンビだね。
左手左足のギブスは土で汚れて、来ている患者服も土まみれ、血まみれで。
右手と頭に血がついて…恐らく目にくま出来てるだろうし。
…確実にやつれてるし。
僕が見たら…怖がっちゃうよ。
鏡にも気をつけよっと。
さて、どこに行こうか…ああ、掃除用具室がいいか。
…今日は日差しがやたらと強くて暑いけど…まあいいかな。
とりあえず、掃除用具室に行ってみる。
…裸足はちょっと便利かもなあ。…土払っから形跡残らないし。
何より、片足で跳んでも足音がしない…これは大きいね。
…掃除用具室に、人はいないと思ったんだけどなあ。
扉を開けてみたら…なんか男女のペアがいるよ。
何してるかは…割愛。
「え…いや…いや…っ!ごめんなさい!」
男女の女の方が…ひどく困惑して、喚き散らす。
…まあ、声は聞こえ無さそうだけど。
男の方は…ぼーっとしている。…訳が分かってないんだろうなあ。
そりゃそうだ、こんな姿の人間がいきなり現れたんだから。
…とりあえず、中に入って、後ろ手に扉を閉める。
…ごほん、あーあー…心の中ででやっても無駄だけど。
「出て行け…早く」
精一杯の低い声を出す。
「…は、はい…わ、わか、分かりましたっ」
男の方は半泣きで…女の方を抱えて出て行った。
んーむ、意外と効果あったね。
…ま、僕がここにいる事をあのペアは言わないだろうなあ。
自分たちが何してたか、聞かれちゃうし。
さて、鍵をかけられない…からなあ。
さらに隠れておかないと、不安だよ。
…ん?…隠れ場所が用意されてる。
木材が積み重なった中に、棺桶みたいな長方形の箱が隠れていた。
…ああ、そういうこと。
クルクルさんに、ちょっとだけ感謝しようかなあ。
…とりあえず、…そこに隠れるとしよう。
中にゾンビいたら怖いけど…僕も似たようなもんだから気にしない。
木材をどけてしまわないように、…木箱の蓋を少しだけ開ける。
…少しできた隙間から、中に入る。
よし、侵入成功。
ああ、疲れたなあ…うん。
寝ようかと思う。
…寝ようかと思っていたら、何やら扉が開いた。
ちょっと心臓どきどきだなあ。
「…ねえ、大丈夫?」
女の子の声…?…なんか、すごい、すごい嫌な予感だ。
…この学校そこまで腐ってるのかなあ。
「大丈夫だって…今まで見つかった奴なんかいないんだから」
さっき居たけどね。
あー、この棺桶居心地いいなあ、…体にフィットするよ。
…ってか、場所的には居心地悪いんだけど。
何、この聞き耳たててる変態みたいなポジション。
お前らのナニでアレでソレなんて要らない。
わきゃああああああ!こら、こんなところで始めるな!
やめるんだ!…やめてっ!
ってか、女の子の方も断れよ!
あー!もう!
…やっぱ、この学校腐ってるみたいだ。
ちゃーんと、…いや、やめとこ。
そんな余裕はないしね。
はー…寝よう。
おやすみ…黙れ、いい加減黙れ。
うるさい…もう、変なこと始めるなよなあ…。
…おやすみ。