11頁:再び病院
ヂヂ…ヂヂヂヂ…
ヂ…
うあー、またノイズで起こされるのか。
…って、あれ?…まだ、夢かあー。
あっは。
ヂヂ…ヂ
最近、ノイズ…ひどいなあ。
なーんでーだろー。
ま、興味ないけどさ。
うん。
あー、夢って認識したら起きれるんだっけ?
…起きれないけど。
あれか、明晰夢ってやつ?
…違うっけ?
ま、いいや。
どうでもいいし、興味無い。
んー、…そろそろ朝かなあ。
いい加減、…疲れたかも。
ヂヂ…ヂ
うっせ。
…ああああ!
疲れたかなあ、うん。
疲れた?ノー。
…疲れた?…いいえ。
疲れたろ?いいえ。
選択肢は、はいと、はいだけだよ!
…はいはい。
…あっは。
気持ち悪。
まーだ、あの感覚残ってる。
…殴る感触、刺す感触。
きーもちわるーいぃ。
ッピッピ…ピピピピ
「ん…あっは」
目ざましかあ。
ヂヂ…ヂ
…久々にいい目覚めだと思ったらこれかよ。
くっそー。
次こそは、いい目覚めにしややる!
…次がいつまであるか知らないけど。
っと、ここ、どこだろ。
…家?
あ、目ざましなったもんね。
そりゃー、家だ。
ってあれ、学校で寝てた気がするー。
顔痛いし…あれ、夢じゃないなあ。
んみー。
ま、いいか、…あっはー。
っと…クルクルさんの様子でも見てこよー。
今日は学校休みだし。
…僕だけ。
ん?ずる休み?
なんのことー?
僕、分からないよ。
…モモちゃんに会うのもいいんだけどー…、やっぱりクルクルさんが元気か気になるしねえ。
まだ、意識無さそうだけど。
そしたらそしたで、…落書きでもしてあげればいい。
…油性…あ、水性ペン持ってこ。
油性ペンなかったし。
っと、病院に行くには電車に乗る必要があるのかー。
…じゃ、お金出すか。
銀行銀行…あった。
んー?じろじろ見るない、照れるよ。
そんなに珍しい?
顔面腫れてる高校生。
…珍しいか。
よし、2万もあれば、足りるだろー。
ホットココア50個とか言われても…大丈夫。
181個までなら、対応可能。
…ん?
何でこんなに計算早いんだ?
ヂヂヂ…ヂ
あああ!
うっせ!
気にしないことにした!
めんどくさいし!
さ、いこいこ。
「…ですから、面会は…」
「駄目ですか?」
うあー、この病院融通利かないな。
…ってどこもか。
「…またきたのか!今度は…どんな怪我を!」
うわあああ!
毒舌ナースさん…きたわああ!
懐かしいい!
「…ん?…ああ、面会か。…驚かすな」
「知りません、勝手に驚かないでください」
「まったく…ん?…ああ、来栖ね。…面会謝絶チューです」
おあー、根に持ってる?
「…ダメですか?」
「別に?患者の意思って訳でもない。…面会したいなら、ついてくる?」
「ちょ、ちょっと…だめですよ」
…むう、こっちのナースさんは融通が利かないのですよ。
毒舌の人の方が楽でいいなあ。
「…じゃあ、治療。…ほら、きなさい」
「あ、はい」
…ちょっといい人かも。
とか、思ってしまう。
テクテク…無言。
ヂヂヂ…
お呼びじゃない。
「はい、ここが来栖の部屋」
「あ、どーも…」
「…好きなだけ居ていいから。…事が済んだら呼びに来い」
「あいにくと、そんな趣味は」
「冗談冗談、…それと一つ言っておくと、私は別にいつも性格がきついわけではないから」
「あっは、まさか、そんな事」
「…どっちの意味で言ってるのかな?…ま、それじゃ」
「はい」
…あっはー。
「…後はまあ、ベッドの…」
「それじゃ」
…あやうくトラウマがよみがえるところだった!
危ない!
…危険!
すげー、危険!
…さて、入ろう。
静かに…入る。
っと…寝てる?
きれいな…寝顔だなあ。
健全な高校生には毒だよ。
…まったく。
ゾクリ
…ん?今のナニ。
ヂヂ…ヂ
うっせえ!
ふう。
起きないかなあ。
「犯しちゃうぞ」
…。
わきゃああああああああ!!!!!!!!
「きゃああ、わきゃああーーー!」
ちょ、ああああああああ!!!!!
自分で言ってて、自己嫌悪!
わきゃああ!
何言ってんだ!
わあああああ!
ヂヂ…ヂヂヂヂヂヂヂ
でて、くんなあああーーーーーー!!!
わきゃああああああ!!!!!!
「…構わないですよ」
「わきゃああああーーーー!!」
お、お、起きてたあああ!
「な、あ、た!」
「…何故、貴方は、狸寝入りをしていたの、…ですか?」
何故、分かる。
さすが、…こいび…。
わきゃあああああ!!!
これ以上、これ以上僕の心を傷つけないでっ!
「…部屋の前で、賑やかな声が聞こえたものですから…少々悪戯心で」
クルクル…さん…め。
「…平気ですか?」
「…ええ、平気だったりします…あ、でもちょっとクラクラと…」
「だ、だいじょう…」
いいかけて、やめる。
…ニヤニヤしてやがるんだもの。
コノ、クソアマ。
まったく、油断も隙もありゃしない。
…僕は油断と隙しかない?
まさか。
「うふふ…おや、お財布の中身を入れてきてくれたんですね?」
何故分かるの。
「…え?」
「あら、本当でしたか」
カマかけたのかっ…。
やめてよー、ったくさあ!
…ちょっとテンションおかしいなあ、僕。
あーもー。
「あっは、ま…あね」
「…それじゃあ、ランチにでも誘ってくださる?」
「はいはい、喜んで…って、平気ー?」
おいおい、毒でぶっ倒れてたんだよね?
「ええ…あのナースさんなら許してくれるでしょう」
「ああ、あの人ならねー」
…すごい、納得できた!
さすがだよ、毒舌ナースさん!
「…病院、抜けだしましょうか…ちょっと着替えますね」
「えあ?着替え?…へ?」
ちょ、な、あ、ちょ。
わきゃああああああ!!!!!!
ぬ、ぬ、脱ぐなあああ!
「あら、…恋人ですのに」
「…えあ…?」
…。
恋人。
脱ぐ。
…恋人なのに。
…恋人なのに、何故脱ぐことを驚くのですか?
…みごとなすい…っ。
わきゃあああああ!!!!
もー!こんなのばっかり!
わあああ!
ヂ…ヂ…
死ね!
「…冗談ですよ?…ほら、実は中にお洋服着てます」
「…やめて、その冗談、笑えないですから…」
いや、まじで。
ヂ…ヂヂヂヂヂ…「な」…ヂ「に」
…意味分からない―。
さすがの僕にも、推理、無理。
さすがの僕?
…それは頭のいい人が使う言葉だよ?
前の僕ならともかく…今の僕は頭が悪いと授業でさんざん分かったはず。
…れれー?
ま、いい。
「それでは、行きましょう?」
「…はーい」
…あ、れ…?
なんか、眠い…。
うあー、意味分からない。
くぁ、ちょ、なんで…。
くらくら、する。
…え?
「大丈夫…ですか!?」
「平気、へい…」
ねむ…い。
ヂヂ…ヂヂヂヂ
うっさい、眠い。
ああ、そうか、…。
疲れたか。
さすがに…ね。
…あんまり、寝てないし。
…安眠できてないし…。
あ、ごめんね、クルクルさん。
…寝ちゃう。
「きゃっ…」
ぽふっ
…って、音がした気がした。