入学式
龍王…ナック
龍姫…カイリー
という名前になっています
「よし行くか」
今日は入学式だ。両親に合格したことを手紙で伝えたらすごい喜んで、入学式は絶対に来ると言っていたから、今日は久しぶりに会えるかもしれない。
制服に身を包み、学園へと向かう途中、レクトに会った。
「やあ、レクト」
「あ、ああ。なんだ、ニーグか」
「何だとはなんだよ。俺は今この学園に知り合いはお前しかいないんだから、話しかけるくらいいいじゃないか」
(知り合いが全くいない?出身が僻地過ぎて知り合いがいないだけかもしれないが、この前父上の話を聞いたところではな…)
「レクト?どうしたんだよ。なんか今日変だぞ」
「そ、そうか?ところで、代表挨拶はかんがえたのか?」
話を変えやがった。
「一応考えては来たけどなんか違う気がする」
「大丈夫だろ。もし変なものだったら笑ってやるから安心していってこい」
「…お前さ、何気に首席取られたの恨んでる?」
「…そんなことないさ!」
即答してほしかったな。
それから何事もなく入学式は滞りなく進み、とうとう俺の代表挨拶をする順番が来た。
「では、新入生代表挨拶、ニーグ君」
「はい」
俺がドラゴンだったとしてもやはり緊張する。壇上に上がった後、思わず両親を探してしまった。見つけてしまって余計に緊張してしまう。
「スー本日は私達のためにこのような素晴らしい入学式を開いていただき、ありがとうございます。スー私達はこの学校で、数多くのことを学び、将来この国のために役立てたいと思います。スー新入生代表、ニーグ」
パチパチとまばらに拍手が起こる。俺の両親は全力で拍手してるけど…なんか恥ずかしい。
「アハハハハッ」
レクトがめちゃくちゃ笑ってる。
「な、なんだよ!」
俺がレクトを問い詰めると、
「だって、ハハッ。数日間考え抜いて…プフッ。この程度の挨拶しかできなくて、挙句全部「スー」って言うお前の息がマイクに入ってたんだ」
「な、何ー!」
これは予想外だ。だから拍手がまばらだったのか…。
そんなこんなで入学式が終わり、クラスに分かれた。俺たちSクラスは少人数制だから、クラスメイト覚えやすくて良いな。
「改めて入学おめでとう。俺はこの1年Sクラスの担任のザカリーだ。よろしくな。今日は全員に簡単な自己紹介をしてもらって終わりだ。じゃあ、入試順位10位から順番に行こうか」
「私からね。魔法科のジェマよ。よろしくね。一応貴族だけど、この学園には身分は関係ないから、気軽に接してくれると嬉しいわ」
「…入試順位9位、武術科のデール。1位をそのうち取りたいと思ってる」
「あたしはリル。魔法科です。あ、得意魔法は水系統です。このくらいしか話すことないな。みんなと仲良くなりたいと思ってます」
「僕はフェリクス。ジェマと同じく貴族ではあるけど、気軽に接して欲しいな。あ、武術科です」
「私は、ルーナ。こう見えて武術科です。体術には自信があるので、皆さんとお手合わせしてみたいですわ」
「私ね。私はジゼル。魔法科よ。…少し人見知りだけど、よかったら話しかけてね」
「俺はガイだよぉ〜。魔法科〜。趣味は食べることだから美味しいお店あったら教えてね〜。よろしく〜」
「あ…イザベラよ。よろしく」
「私は皆知っていると思うが、レクトだ。総合学科だな。ジェマの言っていた通り、この学園では身分など関係ない。私にも敬語を使わず接してもらっても構わないぞ」
「俺は総合学科のニーグ。一応入試では1位を取れたけど、慢心せずにやっていくつもりです」
全員の紹介が終わったところで、ザカリーから声がかかる。
「今日はこれで解散だから、自由にして良いぞ。クラスメイトと交流を図るのもよし、学園を見学するのもよし、親と帰るのもよしだ。じゃあ解散!」
「ニーグ、お前の親来てたんだろ?クラスメイトとして挨拶しておきたいのだが」
「なんだよそれ…単純に俺の親に会ってみたいだけじゃねーの?」
「そうかもな」
「はあ…」
って事で、2人で俺の親を探していたら、見つけると同時にキーランにも見つかった。で何故かキーランも挨拶する事になってしまったんだけど…
「父様!母様!」
「…ん?おお、ニーグじゃないか。首席挨拶はなかなか立派だったぞ」
「そうね。この人ったら「俺の息子がこんなに立派に…」ってトイレで泣いてたのよ?」
「お、おいそれは…」
「夫婦で仲いいところ申し訳ないんだけど、そろそろこちらの方々を紹介しても良い?」
「ニーグ君、私から自己紹介するとしよう。この国の王であるキーランだ。そしてこっちが息子の…」
「レクトだ。ニーグ君と同じクラスになって、仲良くなった」
「…国王様、殿下にお会いできる事、この上ない誉でございます」
慌てて父様と母様が頭を垂れたが、今更感が否めない。
(やはりニーグ君だけでなく、両親も監視対象だな)
(父上、そのようですね)
キーランとレクトはアイコンタクトで意思を一致させ、探りに入った。
「あなた方の名前は?」
「ナックです」
「カイリーでございます」
「顔を上げてくれ。ここは公共の場ではなく、私用でいることになっているからな」
「「はい」」
…確実にこれ王様にマークされてるのうちの両親。それ言ったら俺もレクトにマークされてるんだけど…
この日はその挨拶だけで終わったけど、これからどうやって俺や俺の親の正体を隠して行こうかな…