序章 始まりの夜
俺の名前はニーグ、12歳だ。趣味は寝ること、食べること。後は…人間観察かな。人間は面白いよ。
自分たちの領地を争う醜い物。騙し、騙しあいを繰り返す…。
でね?まあ人間観察が趣味って行ってる時点で察してるかもしれないけど、俺は人間じゃない。俺は…ドラゴンだ。
ドラゴンにはランクがあって、
下級龍<中級龍<上級龍<<最上級龍<<<<<龍王。
こんな感じの力関係。俺はその中の…龍王だ。正確に言うと龍王の息子。俺の父様が今の龍王としてドラゴンたちを束ねている。
説明が長くなってしまったな。まあいいや。今、俺は父様と母様、側近の最上級龍のライトを説得している。
人間観察を間近でするため、人間の学校に進学しようとしている。龍にも学校はあるから、そっちにいけば安泰なんだけど、面白くないからね。周りも謙ってきて面倒くさいし。
「ニーグ、お前は自分の言っていることをちゃんと理解しているのか?!!」
父様がここまで怒声をあげるなんて今までなかった。因みに父様は、黒龍だよ。
「そうよ?ニーグ、あなたは普通に龍の学校に行って欲しいの。分かるでしょ?」
母様の声は普段通り優しい。でも、目だけ笑ってない。因みに母様は白龍だ。
なんでここで父様と母様の容姿を説明したかって言うと、俺の容姿に関係してる。俺は本来なら黒龍か白龍として生まれるはずだったのだが、何があったのか黄土色の鱗を持つ、いわゆる茶龍だな。だから、一時俺は2人の子供じゃないなんて話まで出たくらいだ。
さて、話を戻そう。
「分かってるよ父様。母様の気持ちもよく分かる。でも俺は、人間として人間たちを見てみたいんだ。俺がそのうち龍王を継ぐ立場なのは理解してる。だからこそ、人間たちとどう付き合っていくべきかを学ぶ必要があると思うんだ」
「しかしニーグ様もう一度ご再考を。人間たちと関わるなど「いや、もうやめろライト」あってはなら…」
「ニーグ、お前の意見を尊重しよう。だが、夏休みには家に帰ってくること、何かあったらすぐに俺たちに連絡することが条件だ」
「分かったよ。父様。ありがとう」
「そうと決まれば早速入学の準備をしなければな。試験もあるのだろう」
「うん。でも実技は問題ないし、筆記も前からの英才教育でどうにかなるはずだよ」
「そうか。なら大丈夫だな……話は終わりだ。部屋に帰っていいぞ」
「はい」
俺はそう返事だけして玉座の間から出て行った。
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「龍王様!何を考えておられるのですか?」
龍王に話を止められて固まっていたライトが動き出した。
「そうよ!あの子にそんなことをさせるなんて」
龍姫(白龍)も激怒している。
「ああ。あの子には龍王になるための訓練は受けてもらわないといけない。だが、それは今でなくてもいい。さっきも言った通り今はあの子の意見を尊重させてあげたいのだ…」
「「………」」
龍王の言葉で俯いた2人だったが、この時からニーグの意見を尊重しようと決意したのだった。
まったり更新していくのでよろしくお願いします。