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桜が散る頃に  作者: 柏木ひな
1/2

中学受験

両親に逆らえない三琴は中学受験をする


受からないと許してくれない親に対して六花達と同じ中学に通いたい三琴

複雑な気持ちで挑む中学受験


両親からは兄と姉と同じ学校に入学させたい

親には逆らえないけど六花達と公立の中学に入学したい


複雑な気持ちを葛藤させながらの中学受験編

「ねぇ、手を繋いでもいいかな?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


中学の受験が始まった

ここの学校に受かればエスカレーター式で大学までいくことが出来る


「始め」


試験管の先生の合図でテスト用紙を見る

少し難しいけど出来ない問題ではない


落ち着いて、集中


三琴は試験に集中した

全科目落ち着いて出来たと思う

一次試験が無事終われば次は二次試験がある


難しかったな・・・


三琴は肩を落としながら帰路に着いた

もし落ちたら両親はなんて言うだろう


「ただいま」


とりあえず今は嫌な事は忘れよう

帰宅した三琴は部屋に入ると本棚から読みかけの本を取った


三琴は本が好きだ

保育園の時から絵本が好きで児童本も読んでいた

それを見ていた親は兄姉が受験で幼稚舎に受かったのもあり幼稚舎をさせようとしたが、幼なじみの六花と離れたくないと駄々を捏ねて六花と一緒の公立の幼稚園、小学校に通っていた

中学も六花や小学校で出来た友達と離れたくないと親に伝えたが幼稚舎の時のように駄々を捏ねる事も出来ず、親に従い渋々中学受験をする事にした


渋々ではあるがいざ受験となると気持ちも少しは変わるもので六年生にもなると受験に向けての対策等をするようになってはいた

親の勧めで漢字検定を受け、本が好きなのが高じて五級も取れた

三琴はあまり運動が出来る方ではないが本好きで博識であり成績はかなりよく90点より下は取った事がない

ただ両親が厳しく100点以外を認めてはくれない為、100点じゃないテストではいつも必ず叱られていた


「どうして100点が取れないの!?お友達と遊んでばかりで勉強してないからでしょ!」


両親の怒号は怖かった

なので三琴は出来るだけ100点を取る努力をしていた


今日のテストはどうだっただろうか

もし落ちていたらパパやママに何て言われるだろうか


不安でいっぱいな気持ちを本を読んで落ち着かせる

今は大人気作家のベストセラーのミステリーを読んでいる

犯人は誰だろう?本を読みながら推理するのはおもしろい

いつの間にか不安な気持ちもどこかにいってしまった


「三琴、ご飯出来たわよ」


母親が部屋に入ってくるのにも気付かず読みふけっていた


「もう、勝手に入ってこないでよ」

「貴方本を読んでいるといつも聞こえなくなるでしょ」

「わかったから、ごめんなさい。今行くから」


読みかけの本に栞を挟み三琴は部屋からダイニングへと降りて行った


「三琴、今日の受験はどうだったんだ?」

「筆記はまぁまぁだと思う・・・」

「まあまあだと!?遊びふけってるからそんな事になるんだ」

「遊びふけってなんかないよ!受験前は友達と遊ぶのも少なくなったし」

「もう、この子ったら・・・」

「一次試験くらい簡単に通れないなんて情けない。お兄ちゃんもお姉ちゃんも幼稚舎を合格して今があるんだ。お前の我儘さえ聞かなければお前も幼稚舎から受験させたものを・・・」

「だって!友達と六花と離れたくなかったんだもの!」

「もうわかったわ。あとは結果を待つだけだしパパも三琴もご飯食べちゃいなさい」


重い空気の中の食事になった

父は三琴の言葉で不機嫌なのが丸分かりだ


お兄ちゃんとお姉ちゃんは受かったじゃないか


そう言われているような空気だった


三琴は三兄弟の末っ子である


兄の一夜は幼稚舎から受験し受かりそのままエスカレーター式で大学までいってる

成績もよく運動神経も抜群で文武両道である

さらに小中高と生徒会役員も努め模範的な優秀な生徒である


姉の二菜は要領の良い秀才である

二菜も幼稚舎から一夜と同じ幼稚舎を受験し合格

先生や両親の前では大人から見てのいい子、しかしちゃっかり友達とも遊ぶ要領の良さもある

更に明るい性格から人気者で幼稚舎から人気が高く中高五年間ミスコンに選ばれる器量の良さもある


三琴だけが幼稚園、小学校と公立であった

親としては末っ子の子供の我儘を聞いてやったという感じである

なので中学からは絶対に私立を受験させたいのである


もし受かってなかったらまた六花達と同じ中学に通えるのかな?

受かってたらどうしよう、友達とか出来るかな?


三琴はあまり要領は良くなかった

器量は姉の二菜同様いいのだが、要領は二菜に似ず悪かった

なのでテストは毎回100点とはいかなかった

100点を取れない日は決まって親からの怒号があった


「三琴は要領悪いんだよ。授業で教科書使って先生の言ったことにマーカー引けばテスト前の勉強なんて楽勝だよ」


二菜は簡単に言うが三琴はそれほど要領良くは出来なかった

授業は真面目に聞いているが、どこをマーカーすればよいのかわからないのである


お兄ちゃんやお姉ちゃんみたいに頭が良かったらな


小学校時代は何度もそう思った


二菜の様な要領の良さがあればもう少し成績も良く友達もいたかもしれない


そして三琴はあまり友達は多くなかった

引っ込み思案な性格から幼なじみで親友の六花以外では六花を通して出来た友達が数人いるくらいだった


テストで90点を取れれば良い方ではあるが100点以外を認めない親は友達と遊ぶのを制限していた

門限は夕方の5時だった

最初は6時だったのが5時にされたのは小学三年生からである

門限をこれ以上縮めないために必死に勉強した

5時までは普通の小学生として友達と遊んでいた


「三琴、お風呂入っちゃいなさい」

「はーい」


湯船に浸かりながら三琴は今日の事、これからの事を考えた


六花達と一緒の中学に行きたいな


お風呂を出て髪を乾かしながらも複雑な気分であった

友達と同じ中学に上がりたい

しかし受験に受からなかったら両親から何を言われるかわからない

パジャマに着替えて三琴は部屋に戻った


続きを読もう


部屋に戻った三琴はさっきの本の続きを読み始めた


犯人はもしかしたら・・・


ミステリーは面白い

謎解きをしながら色々な情景を思い浮かべる事が出来る

読みふけっていると母にまた引き戻された


「もう10時よ。寝なさい」

「はーい」


本に栞を挟んで三琴はベッドに入った

明日からまた学校が始まる

複雑な思いのまま三琴は眠りについた


「おっはよーみこっち」


登校中に六花の元気な挨拶が心地好い


「おはよー六花。今日も元気だね」

「まあね。それより昨日の受験どうだったの?」

「まだわからないんだ。合格発表今日の4時からだから」

「そうなんだ?なんか複雑だけど受かるといいね」

「うん・・・そうだね・・・」


六花も複雑な気持ちでいるんだ


そう思うと少し気が楽になった

六花とたわいもない話をしながら学校に着いた


今日も何事もない一日だった

授業を受け休み時間では友達とお喋りしてそんな一日だった

ただ話題が少しだけ三琴の受験の話題になった


「みこっちが受かったら中学は離れちゃうのかぁ」

「なんだか寂しくなるね」

「私も皆と同じ中学に入りたい!でもパパやママは許してくれなくて・・・」

「みこっちも大変だよねー」

「それより今度服見に行こうよ。あのお店新作出るんだって」

「いいね!行こう行こう!」


話題は次の休日の遊びの計画に変わった


4時15分

学校が終わり正門では母が車で迎えに来ていた


「三琴、早く乗りなさい」


合格発表の場所まで急ぐ

三琴の心臓はこれ以上ない程に波打っていた


三琴の番号は44番

母と共に44番を探す


32

34

37

42

44


あった!

安堵と悲しさで切なくなる


「三琴、あったわよ。よかったわね」


隣で無邪気に喜んでる母親を見ながら

三琴は今日の六花達との会話を思い出していた


「いよいよ明後日は二次試験ね。面接は保護者同伴だからママも一緒に行くからね」


切なく複雑な思いを抱きながら三琴は静かに頷いた


二次試験、面接の朝、母はそわそわしていた

余所行きの服を着て念入りにお化粧に精を出す


娘の私よりそわそわしても仕方ないじゃん


準備された余所行きの服に袖を通す

準備が終わり母の車に乗り込む

出発する車から景色を見ながら三琴は少しため息をついた


一次試験に合格した者達が二次試験の会場に集まる

今年は合格者が少ないらしく少し静かな会場だった

面接会場で母と順番を待っていた


一人一人と面接を終えた者が去って行く


「42番の方、どうぞ」


この次だ

緊張のあまり動悸が止まらない

受かってほしいようなほしくないような・・・


「44番の方、どうぞ」


「さぁいよいよね。三琴頑張るわよ」


三琴は静かに頷き面接の扉を開けた

中には三人の面接官がいた


「お名前をお願いします」

「44番、月城三琴です」

「どうぞお座りください」


面接官に促されて母と共に席に着く

面接は兄と姉と母と練習してきた

それでも緊張する


落ち着いて、深呼吸


「面接の柳です。宜しくお願いします」

「宜しくお願いします」

「さっそくですが当校を受験なさったきっかけは・・・」


母と共に面接を受けた

緊張で頭がいっぱいで真っ白になり上手く受け答えが出来ているのかわからなかった


「もう三琴は。面接中緊張してたでしょ。ガチガチだったわよ」

「緊張して何話したか覚えてないよ」

「そんなに緊張してたの?まったくしょうがない子ね」

「だって・・・」


引っ込み思案な三琴は知らない同級生と話すのも緊張するので全く知らない三人の大人相手だと緊張して頭が真っ白になるのは仕方ない

兎に角、三琴も母親も最前は尽くした

あとは合格発表を待つだけだ


合格発表の朝、三琴は胃がキリキリするくらい緊張していた

受かってほしい気持ちと受かってほしくない気持ちが入り混ざり吐き気がする程に気持ち悪かった

それを見兼ねた母親が今日は合格発表もある事で学校は休ませた


「合格発表まで寝てなさい」


母に言われるまま三琴は眠りに落ちた


「・・・こと・・・三琴。起きなさい。合格発表に遅れるわよ」


けっこうな時間眠っていたのか

しかしまだ胃の痛みは取れない

薬を飲んで母の車で合格発表会場まで向かった


24

28

32

34

37

42

44


受かった

無事中学に合格したのだ


「やったわね!三琴!よく頑張ったわね!」


母は大喜びである

三琴は嬉しい反面悲しくもあった


六花達とはお別れか・・・

明日報告しなきゃ・・・


帰り道

ご機嫌な母から顔を背け外の景色を見ながら三琴の目には涙が溢れそうだった


「三琴、合格おめでとう!」


家では父と兄と姉が待っていた


「お兄ちゃん帰ってきたんだ」

「ああ三琴が合格したって母さんに聞いて駆け付けたんだ」

「別に無理しなくてもいいのに」


兄一夜は大学進学を期に家を出て学校の近くで一人暮らしをしている


「まあいーじゃん。家族皆でお祝いしよ。これで三琴も私達と同じ学校だね」


姉の二菜はムードメーカーで周りを盛り上げる

久しぶりに家族五人が揃った団らんの夕食が出来た

家族が全員揃ってご馳走もあって試験に合格しプレッシャーがなくなって嬉しい反面、六花達とは同じ中学に通えない悲しさが溢れそうであった


「みこっち!おっはよー!」

「六花、おはよ」

「みこっちどうしたの?元気ないじゃん」

「うん・・・」


気まずい空気で六花と登校した


「みこっち、受験どうだった?」

「うん・・・」

「もしかして落ちゃたの!?」

「ううん、違うの・・・受かっちゃったの」

「受かったならおめでとうじゃん!何で元気ないの?」


俯いた三琴から大粒の涙が溢れ出た


「みんなと・・・皆と同じ中学に行けない・・・」


泣き出す三琴と三琴の言葉に友人達は戸惑った


「とりあえずさ、これで涙拭きなよ。もうすぐ授業始まるよ」

「ありがとう六花。でも自分のハンカチあるから大丈夫。本当にありがとう」


始業を知らせるチャイムが鳴る

三琴は涙を拭き教科書とノートを取り出した


二月は早いものでもうすぐ三月がやってくる

六年生は卒業の時期だ

ほとんど授業が終わっている六年生は卒業式の練習や準備をしていた


「あー私達ホントに卒業しちゃうんだねー」

「なんか実感湧かないねー。四月になってもまだ六年生やってそうな感じ」

「卒業したら皆で思い出作りたいねー」


友人達とそんな会話をしながら時は過ぎていく

三月、卒業式である

粛々と行われた卒業式では涙を流す者も少なくなかった

三琴もその一人だった

涙ながらに卒業証書を受け取り席に戻る

これを受け取ったらもう六花達には会えないんだ

自然と零れ落ちる一筋の雫に三琴はハンカチで涙を拭った


卒業式が終わって校内ではあちこちで写真を撮り合う

三琴はいつも以上に写真を撮りまくった

音楽室、理科室、教室、校庭、中庭、校舎を背に等と色々な場所で撮りあってた


いっぱい想い出作らなきゃ


三琴は何枚も何枚も写真を撮り続けた

終わったあとは皆でプリクラを撮りに行きカラオケに行った

母親から今日は暗くならないうちに帰れば門限はないと言われている

今日は皆でこれでもかと遊びつくした




三琴は制服店に母親と来ていた

中学の制服を仕立てるところである

他にも指定体操着やジャージや上履き、他にも鞄やローファー等必要な物を揃えていた


いよいよ四月から中等部に行く

最後までお目通しありがとうございます

中学受験編如何でしたでしょうか


実は作者が苦手なラブストーリーです(笑)

昔書いたまま放置していた作品を終わらせる為に改めて奮起しました


つたなく語彙力のない作品ですが楽しんで頂けたら幸いです


三琴は作者の投影でもあります

過去の作者の経験が少し入っています

(受験はしてません)


六花がいなくなって三琴には友達が出来るのでしょうか?


次回中学入学編、宜しくお願い致します

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