47.Sランクリーダー会議
「あんた……鳳くんなの?」
「委員長、転生してたんだ?」
顔を合わせたリリスとアトリーが互いに不思議な呼び名で呼び合う。どうやら″深層心理″の中でラティリアーナが言っていたことは本当だったみたいだ。
「鳳くん、あなたずいぶん可愛らしくなっちゃってビックリだわ。それにしても追いかけ続けてたアマリリスが元男だって知ったら、ウタくんってば失神しちゃうかもなぁ、ぷぷっ」
「煩いなぁ……ボクだって好きで女の子に転生したわけじゃないよ。かく言う委員長だってすごい美少女になってるじゃないか。しかもゲームの登場キャラじゃないよね、どうなってるの?」
「そんなの知らないわよ。それにさ、委員長って呼ぶのやめてくれない? 今のあたしは″アトリー・サワーホワイト″っていうんだからね!」
「″亜鳥 春香″がアトリーなんてすごい偶然だね、ぷぷぷっ」
「……鳳くん、殴るわよ?」
「今のボクはリリスだよ。だからそっちこそちゃんとリリスって呼んでよね?」
「はいはい、アマリリスちゃん」
なにやら若干もめ気味ではあるが、『リリスのところに転生者を見つけて連れてくる』という超高難易度ミッションは、偶然の出会いによって奇跡的に成し遂げることができた。
だけど冷静に考えてみると、転生者には等しく″チート″能力を持っている。おそらくアトリーだって何か凄い能力を持ってるんだろう。だからSランク冒険者チームの中に転生者がいることは、案外必然だったのかもしれないな。
「それにしてもラティはよくアトリーが転生者だって分かったね?」
「……当然ですわ、わたくしを誰だと思ってますの? そんなことよりも、リリスはアトリーに聞きたいことがあったのではなくて?」
「ああ、そうだった」
危ない危ない。なんとか話を逸らすことができたよ。ガチで聞かれても『深層心理世界で本物のラティリアーナに聞きました』なんてことをラティリアーナ節でうまく説明できる気がしないわ。
「あのー、すいません……わたしもお手伝いしたいんですが」
「ウチも手伝うニャン!」
そのあと、猫獣人の野蒜と……なぜかウタルダスに連れられた″聖女″ファルカナが、治療の支援を申し出てくれた。猫の手も借りたい(実際猫だけどさ)状況だったから、リリスは嬉々として彼女らを″聖獣″江来座さんのところに繋ぎに行く。
そのスキに俺はこっそりと、一人で″聖光園″を後にしたんだ。
「……はぁ、はぁ……」
ギリギリのところで耐えていたものが一気に溢れ出て、俺は壁に手をついて大きく呼吸を乱した。
今や進化して《 紫艶の魔導書 》となった″神代魔法具″の力は強大だった。だけどその反動も猛烈だったのだ。
新たに手に入れた《 第二段階 》は、人間の限界を超えた力を発揮する能力だった。
まだ詳細は分かってないけど、魔力量がほとんど空っぽになっていることから、恐ろしく魔力を消費する能力なんだと思う。たぶん、″望む姿″に対応した魔力量を消費するんじゃないだろうか。
今回俺が希望した姿は″Sランクを超越する近接戦闘力″。その結果実現したのが、人間の限界を超えたスピードだった。あぁ、″竜爪″を受け止めるのに筋力と皮膚の強化も実現したっけ。ただスピードとの併用は無理そうだけど。
加えて最後に放った″奥義″【 紫終焉の幻影 】。これは【パープルヘイズ】と【ヴァイオ・ボム】と剣戟の三位一体の一撃だ。パープルヘイズであらゆる魔法防御を打ち砕き、肉体に直接ヴァイオ・ボムを叩き込む。防御不能のこの一撃を食らったら、たとえSランク冒険者だとしてもひとたまりもないだろう。
とはいえ、これほど人外の能力を無条件で使えるわけじゃない。実際今は全身筋肉痛でボロボロだし、なにより魔力がごっそりと削り取られていた。僅か数秒の発動だというのに支払った対価は甚大だ。あまりのキツさに今にも意識が飛んでしまいそうになる。
だけど、まだだ。まだ──やるべきことは残っている。
「……お姉様、大丈夫ですか?」
「ティア……」
誰にも見られてないと思って油断していた。どうやらティアが俺のことを心配して付いてきたみたいだ。
「先ほどの能力、驚きました。お姉様はお強いと思ってましたけど、まさかあれ程とは……さすがです」
「ふん。当然ですわ」
「ですが、今はとても消耗してらっしゃいます。少しお休みになってはいかがですか?」
ペロリ。ティアが蠱惑的な瞳で頬についた血を舐め取る。いやいや、そんなことされたらドギマギするでしょ。
だけどラティリアーナは動揺を表に出すことなく、冷たくティアを押しのける。
「悪くない申し出ですけど、お断りしますわ。だってわたくしにはまだやるべきことがありますもの。ティア、わたくしの着替えを用意していただけます?」
「はい! お姉様!」
「それと──各Sランク冒険者チームのリーダーを集めてくださるかしら? わたくしからみなさまに話があると伝えれば、きっと来ると思いますわ」
◇
″聖光園″の一角を借りて、俺はSランク冒険者チームのリーダーたちを前に踏ん反り返っていた。
集まったのは七人。
《 自由への旅団 》のリーダーで元婚約者の″貴公子″アーダベルト。
《 愚者の鼓笛隊 》のリーダーである″愚者の王″ウタルダス・レスターシュミット。
《 聖十字団 》の団長を務める″聖騎士″スレイヤード・ブレイブス。
《 竜殺者戦士隊 》の隊長″独眼竜″グレイブニル・サンダース。
あと、なぜか俺の後ろに護衛よろしく仁王立ちしている″獅子王″レオルに、補佐役の″吸血鬼″ティア。
……うん、改めて見ても壮観だね。Sランク冒険者の頂点にいる五人が一堂に揃ってる上に、リリス曰く『ゲームの主人公』三人が勢揃いしてるんだから。全員威圧感がハンパない。
そしてなによりイケメン揃い! アーダベルト、ウタルダス、スレイヤードはいずれもタイプの違うイケメンで、なかなかに眩しい。片目のグレイブニルだって若い女の子がきゃーきゃー言いそうなくらい渋いおっさんだ。
とはいえ、彼らに気圧されるわけにはいかない。改めて一同を見渡すと、せいぜいもったいぶるようにして口を開いた。
「みなさまにお集まりいただいたのは他でもありません。『黒死蝶病』の原因とその対策について、現時点までの状況を共有するためですわ」
「その話を聞くことに、何か意味があるのか? 我らに与えられたSランク強制任務には無関係だと思うのだが」
最初に口火を切ったのはグレイブニルだ。まぁおたくの大事な隊員を一人潰しちゃったんだから、怒るのも当然だよな。
「ふふっ、グレイブニルはバッカスが潰されたから怒ってるのかい?」
「それは違うぞ、スレイヤード・ブレイブス。バッカスの若造がしでかしたことは無関係だ。我らに与えられた任務は『三日後の正午にガルムヘイムを浄化する』ことのみ。それ以上もそれ以下もない」
「貴様……むっ?」
獅子王レオルがグレイブニルを殴りそうになるのを手で制する。もう、脳筋さんたちは勝手に暴走しないでくださるかしら?
「わたくしはSランクではないので詳しい任務内容については存じ上げませんわ。ですので確認いたしますが、あなた方に与えられた依頼内容は実際にそのような内容だったんですの?」
「ふん。なぜ低ランクのおぬしなぞにSランクの依頼内容を教えねば──」
「概ねグレイブニルの言った通りだけど、少しニュアンスが違うかな?」
グレイブニルの言葉を遮って問いに答えてくれたのは、意外にも″聖騎士″スレイヤードだった。
「正確には『ガルムヘイムで致死的な風土病が再発した。地域への拡散を防ぐために浄化せよ』だったよ」
「……スレイヤード、軽々しく任務内容を話すな。おぬしはSランク強制任務をなんだと思っているんだ?」
「確かに依頼内容の不必要な拡散は冒険者倫理上認められない。だけど、必要に応じて情報を開示する権限はあるよ。私は彼女たちに開示することは問題ないと判断している。なんなら双子の女神エルエーレに誓って宣言しようか?」
「貴様……」
「あ、でも別に彼女に味方しようって訳じゃないからね。私は──真実が知りたいんだ」
どうやらスレイヤードは必ずしも味方をしてくれているというわけではないみたいだ。とはいえ今回の援護射撃はありがたく頂戴しておく。
俺は彼のおかげで話しやすくなった状況を活かして、この場にいる全員に『黒死蝶病』の正体について説明をした。
「なん……だって? あれほど激甚な被害を及ぼす病の原因が、たかが″寄生虫″だというのかい?」
話を聞い絶句したのはウタルダス。
「よく……数百年も原因不明だった病の正体を突き止めましたね。さすがはラティリアーナとリリス」
アーダベルトが顔を歪めながらも褒めてくれる。こいつは勝手に婚約破棄したってのに、ずいぶんと優しいものだ。この前は逃げ出しちゃったけど、いつか改めてちゃんとお詫びをしないといけないな。
「しかも、悪意のあるものの手によって変質をしている可能性もある、というのかい。もしそれが本当なら、双子の女神エルエーレはきっと悪行をお許しにならないでしょう」
スレイヤードは天を仰ぎながら十字を切る。
「……ふん。原因がわかろうと関係ない。我らは我らのやるべきことをやるまでさ」
グレイブニルは変わらない。ここまで話していて気付いたけど、たぶん彼は──俺がバッカスを倒したことを根になど持っていない。ただ純粋に、己の信じる行動しているだけのようだ。今回の場合、それが″任務の着実な遂行″というだけで、別にそれ以上の悪意は感じられなかった。
一通り説明を終えたところで、大きく息を吐く。さぁ、ここからが本当の勝負だ。
俺が彼らリーダー格に声をかけて集まってもらった真の目的。それは「ガルムヘイムを浄化する」という馬鹿げたミッションを彼らに辞めてもらうことだ。
だから俺はその目的を果たすために、覚悟を決めて歴戦の猛者たちに切り込んでいく。
「……皆さま、ここまでは情報の共有に過ぎませんわ。そして今からわたくしは皆様に一つの問いを投げかけます。その問いとは──『黒死蝶病』の原因は突き止められた現時点の状況は、果たして″Sランク強制任務″を実行すべき状況なのでしょうか?」
「……君は、依頼の前提条件が変わったと言いたいんだね?」
ウタルダスの確認に、俺は大きく頷いた。
「そうですわ。皆様に与えられたミッションは『未知の病を葬り去るための』ガルムヘイムの浄化です。でも現時点で既に原因は解明され、感染ルートも近いうちに解明されるでしょう。果たしてそれは未知の病と呼べるのでしょうか?」
「そんなの詭弁だっ!」
ダンッ! グレイブニルが強い勢いでテーブルを殴りつける。
そんなことは分かっている。俺が言っているのはただの詭弁だ。だけどたとえ詭弁だとしても、ここでこいつらを留める算段をつけておかないと、せっかくリリスが頑張っているというのに全てが水泡に帰することになってしまう。
「詭弁なものですか。ではあなたがたはなんの罪もない人々を大量虐殺するというんですの? 単に命じられたからという言い訳を逃げ道にしなさって?」
「なっ……貴様……我らを愚弄するのか?」
「そんなつもりはございませんわ。ですが、わたくしは皆様がSランクであられるのは、強い意志と信念をお持ちだからだと確信していますの。そんなあなたがたが──まさか『命じられたから』などというつまらない理由で、己の信念や信条を曲げて罪を犯してしまう、なんてことはなさいませんよね?」
ギリッ。グレイブニルがまるで怒れる龍のように怒気を発している。だが言い返せないようだ。ふふっ、ラティリアーナ節を簡単に言い負かせると思わないことですわ!
「……ラティリアーナ嬢のおっしゃることは分かった。だけど私は残念ながら、現時点ではあなたの意見に賛同することはできない」
そう言い放ったのは、さっき援護射撃をくれたスレイヤード・ブレイブスだ。
「スレイヤード様、よろしければ理由をお教えいただきまして?」
「理由はシンプルだよ。君の話だと、現時点ではまだ解決策がないんだ。いくら正体がわかったところで防ぐ方法なり撲滅なりできていなければ、脅威に変動はない。であれば、現行のままだと私は予定通りSランク強制任務を遂行しなければいけない。それが──女神エルエーレのご意志だからね」
こいつ、サラサラ金髪のイケメンだというのに、なかなか残忍かことを言ってくれるじゃないか。感情的じゃないぶん、グレイブニルよりたちが悪い。
「お待ちください。僕はラティリアーナの意見に賛同します。確かに現時点では解決策は見つかっていないのかもしれません。ですが数百年も正体不明だった病の原因を突き止めたのです。であれば、三日は無理でも遠からず解決策は見つかるんじゃないでしょうか?」
ここでフォローしてくれたのはアーダベルトだ。さすがはイケメン、助かる!
だけど″聖騎士″スレイヤードはそう簡単には折れたりはしない。
「アーダベルト君。それは幾ら何でも希望的観測すぎないかな? もしくは君が彼女の元婚約者だから、判断が鈍っている可能性も否定できないよ」
「なっ!? ……スレイヤード様、僕にはそんなつもりはありません!」
「であれば君は、今回の処置を延期したとして、これ以上『黒死蝶病』が広まらないと断言できるのかい? このまま対処法が見つからなくて、世界中に病が蔓延してしまったとしても、君はその時には仕方がなかったと受け入れることはできるのかい?」
「……」
「私は神の使徒だ。女神様の意に反することはできない。病が拡散する可能性があるのであれば、たとえそれが酷いことでも、私は必ずやり遂げる」
あー、俺はこいつが嫌いだ。スレイヤードと話していて自然とそう思ってしまう。
たぶんこいつは、世界を救うためなら平気な顔して人を殺すような奴なのだろう。思考回路が全く異なっている。こんなやつと仲良くなれるとは到底思えない。
もともと一癖も二癖もあるSランク冒険者チームのリーダーたちだ。簡単には説得できないとは思ってた。だけど今のままだとラチがあかない。こちらの状況は不利だ。
切り札はあるにはあるけど、出すには適切なタイミングとはいえない。もしこの切り札が不発に終わったら、もはや俺に打てる手は「Sランクとの全面戦争」くらいしかないのだから。無闇矢鱈と出せる手ではない。
さぁ、どうしたものか──。
「……なぁみんな、だったらこんな案はどうだろうか?」
完全に膠着してしまったこの状況を打破したのは、それまで黙って話を聞いていた″愚者の王″ウタルダス・レスターシュミットだった。
「言ってみろ、″愚者の王″」
「タイムリミットまではまだ三日ある。その間に彼女たちが病を撲滅するなり壊滅方法をもし発見できたら、その時また改めてこの件について議論するというのはどうだろう?」
「それは、議論の先延ばしではないか?」
「違うよ、″独眼竜″グレイブニル。現時点では判断材料が少なすぎるって言ってるんだ。だからあと三日のうちで情報を集めようって言ってるだけさ」
ウタルダスの言葉は、俺にとっては最高の援護だった。なにせもともと「あと期限までは三日あるんだから、その間にやれることをやるから待ってくれ」というのが俺の切り札だったからだ。
だけどウタルダスがこう言ってくれたのは好都合だ。この流れに乗ろう。
「……わかりましたわ。私たちは残り三日、全力を尽くしましょう。そのときもし、わたくしどもが『黒死蝶病』を撲滅させる目処が立ったならば……そのときは、ちゃんと要求を受け入れて頂きますわね?」
俺の言葉に、他の参加者からの返事はない。
よし、言質は取ったぞ!
「では異論はないということですわね? それであれば現時点で他にお話しすることはございませんわ。みなさま、御機嫌よう」
最後にそう宣言すると、反論を断ち切るためにもさっさとこの場を後にした。
部屋を出ると、すぐ後ろを追ってきた獅子王レオルが、わずかに声を震わせながら話しかけてくる。
「ラティリアーナよ、見事であった。まさか──終焉しか見えなかったガルムヘイムの未来を、この土壇場で舞台に引き戻すことに成功するとはな。おかげでガルムヘイムは首の皮一枚繋がったぞ」
ありがたいお褒めの言葉であるが、今回はアーダベルトとウタルダスの援護があったから成功したんだろう。
「よもやラティリアーナは今のこの状況を作り上げるためにバッカスと決闘したのか? ただの低ランク冒険者が声をかけたところで、あやつらはろくに話を聞きはしないだろう。だがSランクを撃破したものの言うことであれば──状況は全く異なるからな」
正直そこまでは考えてなかった。だけど結果としてはレオルの言う通りなのだろう。
だけど口から出てきた言葉は──。
「そんなの当然ですわ」
相変わらずのラティリアーナ節だった。
とはいえ問題が解決した訳ではない。今はまだ首の皮一枚繋がっただけの状況なのだ。
真にガルムヘイムを救うためには、なんとか『黒死蝶病』を撲滅する手段を三日以内に探さないといけない。
「わたくしたちはまだ何もなしていませんわ。残された時間は残り僅か。さぁ──これから忙しくなりましてよ?」
「そうだな。オレも付き合おう、ラティリアーナよ」
そうと決まればここに留まってる意味はない。
せっかく作った最後の時間だ、どうにかして『黒死蝶病』に引導を渡す道筋を作らないとな。
◆◆
一方、″聖光園″に残ったままのリリスとアトリーは、記憶を取り戻す作業に取り組んでいた。
前世の記憶の中に、″寄生虫″をどうにかするアイディアなりヒントがあると、リリスが確信していたからだ。
「ねぇ委員長……じゃないやアトリー。さっきはドタバタして聞きそびれたけど、キミは″寄生虫″と聞いてなにか思い出すことはない?」
「寄生虫? あなた気持ち悪いこと聞くわね。でもなんでそんなこと聞くの?」
「『黒死蝶病』の原因が、寄生虫によるものだってことが分かったんだ。だけどその感染経路が分からなくて困ってる。アトリーはなにか寄生虫の感染経路で思い浮かぶことがないかい?」
こう尋ねたのは、なにげない質問であった。だが返ってきた返事は、リリスの度肝を抜くものだった。
「寄生虫の感染経路? そうねぇ、思い浮かぶのは、魚とか飲み水とか、あと──接触感染とか?」
──接触感染。
その言葉を聞いた途端、リリスはガクッと膝から崩れ落ちた。心配したアトリーがリリスの側に駆け寄る。
「鳳……じゃなかったリリス、どうしたの急に?」
「なんでだ、ボクはどうしてそんな大事なことを思い出さなかったんだろう……」
悔しそうに膝を殴りつけるリリス。
「……リリス、あなた何かを思い出したのね?」
アトリーの問いかけに、リリスは真っ青になった顔を上げて頷いた。
「うん、分かったよ。思い出した。あのね……″寄生虫″に感染するルートは、食べ物や飲み物からだけじゃないんだ。水に触れることでも感染するんだよ!!」




