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46.さらば悪役令嬢、そして……

 

 ──なんだこいつ、ヤバすぎだろう。


 俺は肩で息をしながら、目の前に君臨する【 五龍 】バッカスを睨みつけていた。

 今の俺の実力なら、Sランク相手にもそこそこやれるんじゃないか。そう思っていた自信──というか過信が、圧倒的な実力差によって粉々に砕け散っていた。



 事態が今に至るまでの戦況はこうだ。

 本気を出したバッカスは、手に持っていたAランク魔法具マギア『竜牙剣』の能力を解放した。


「──食い破れヴァイト! 《 ドラゴン・ファング》!」


 やつの宣言と共に、『竜牙剣』はバッカスの左腕と一体化していき、まるで竜の爪のようなものを備えた巨大な腕に変貌を遂げた。同時に、さっき撃破したばかりの『八幻竜』を再度召喚する。


 そこからのバッカスの攻撃は凄まじいものだった。

 8体の竜は先ほどまでとは違い、個別に炎を吐いたり氷を吹いたり噛み付いたりと多彩な攻撃を仕掛けてくるようになる。俺は《 ヴァイオ・ボム 》や《 パープル・ヘイズ 》、おまけに《 飛翔剣 》を駆使しながらなんとか防ぐことに成功したが、そこにバッカス自身の《 竜爪 》が襲いかかってきて万事休す。

 強烈な爪による一撃をかろうじて『 ─ 紫陽花あじさい ─ 』で受けたものの、勢いそのままに弾き飛ばされてしまっていた。


 意識が刈り取られそうな強烈な一撃に加え、竜爪から発生した衝撃波がスカートや袖を容赦なく切り裂く。無慈悲なまでの圧倒的な暴力を受けて、まともに受け身も取れずに吹き飛ばされた俺は、そのまま地面に転がっていた。


「はぁ……はぁ……」

「なぁんだ、やっぱこの程度か? まぁ俺の″八幻龍″の猛攻を凌いだのは褒めてやるよ。おまけにあんたの魔法を無効化する″紫色の霧″はなかなか面白かったしな。だけど──それだけだ」


 バッカスは、竜の爪を上に掲げながらこちらを見下す。やつの視線の先にいるのは──獅子王レオル。


「お前には力が足りねぇ。というか攻撃力が不足している。たしかに中盤としてはそこそこ優秀だろう。だけどな、この俺という圧倒的な力の前にはただ蹂躙されるだけさ」


 ガッ。ブーツで蹴りを入れてくる。避けようとするものの腰に力が入らず腕で受けると、″身体強化″をしているというのにまるで小さな石ころのように転がされてしまった。

 たった一撃。それだけでまともに動けなくなるくらいのダメージを負わされていた事実に愕然とする。これが″Sランク冒険者″の実力だというのか。


「なぁ獅子王よ、このままだとあんたのお仲間は俺に殺されちまうぜ? それでもいいのか?」


 もはや勝負は決したと判断したのか、こちらから視線を外してあからさまに獅子王レオルを挑発するバッカス。だが獅子王は無言のまま腕を組み微動だにしない。


「おいおい、お仲間を見殺しかよ? あんた冷てぇなぁ」

「……違う。そもそもオレはそいつの仲間ではない。それに──」

「あん?」

「ラティリアーナはまだ終わっていないぞ?」


 そう、俺はまだ終わっちゃいない。

 たしかにここ数ヶ月で鍛え上げた力はSランク相手には通用しなかった。なにせ相手は生涯をかけて鍛えてきた奴らだ。そう簡単に勝てる相手じゃないのは分かっている。

 だけど──それと諦めることは別だ。


 リリスは魂を削ってガルムヘイムを救おうとしている。

 もともとここに来ることに消極的だったリリスをこの件に巻き込んだのは、他の誰でもない″ラティリアーナこのおれ″だ。

 なのに、俺の方が簡単に諦めてしまうわけにはいかない。


 ガルムヘイムを──舞夢マイム美虎ミトラの故郷を、獅子王レオルの生きる理由を、度以来ドイルさんの遺志を、江来座エライザさんの心を、簡単に踏みにじる訳にはいかないんだ。




 だけど、今の俺には力が足りない。

 この想いに応えるだけの力が足りない。


 ──欲しい。

 ──力が欲しい。



 己の意思を貫き通す、強き力を。



「……あんたのこと見くびってたよ。ラティリアーナと言ったか、悪かったな」


 だが現実は残酷だ。真顔になったバッカスが爪を構える。もはや油断はないのだろう。そんな相手に片膝をついたままなのは恥だ。出来るだけ胸を張って答える。


「当然ですわ。でも……分かればよろしいですわ」

「あんた、自分のこと″悪役令嬢″って言ってたっけ? そんな風には見えないな」

「そんなことはどうでもよいことですわ」

「そうか、まぁいいや。とりあえずあんたのことは認めてやるよ。だけど……これで終わりだ。あばよ、″悪役令嬢″ラティリアーナ。──【 ドラゴン・ファング 】」



 破滅の衝撃波を従えたバッカスの竜爪が、一気に迫る。もやは躱す力も残されてない俺は──。






 ◇◇◇






 だけど竜爪による一撃は、いつまで経っても襲いかかってこなかった。どうしたんだろうか? 恐る恐る目を開けてみると、俺は全てが紫色の光に包まれた空間にいた。


 なんだ? ここは。

 どうやら俺はここ不思議な空間に漂っているようだ。もしかして俺は、バッカスの一撃を食らって死んでしまったのだろうか。ここはあの世だというのだろうか。

 なぜか俺の姿は、元の男だった頃に戻っていた。おまけに全裸。おいおい、死ぬときくらい服を着せてもらえないかなぁ。


 だけど俺のそんな呑気な考えは、いきなり頭の中に響き渡った声で中断される。


 ──力が欲しくて?


 どこか聞き覚えるある声を正面を向くと、紫色の髪を持つ美しい女性の姿があった。鏡で何度も見てきた姿、ラティリアーナだ! 俺は今、ラティリアーナと対峙している。


 ──ラティリアーナ、どうして俺の前に?

 ──ここはわたくしの心の中の空間、″深層心理″というものですわ。


 ″深層心理″……なんだか難しい言葉だな。さすが侯爵令嬢、学があってたいしたことで。


 ──違いますわ、これは″前世の記憶″。リリスやアスモデウス、アトリーたちと同じものですわ。


 おお! ウタルダスのチームの前世持ちってアトリーだったのか! たしか茶髪で目の大きな女の子だったよね? 教えてくれてありがと。……ところでなんでラティリアーナが″前世の記憶″なんてものを持ってるんだ?


 ──あなた、本当に覚えてませんの? もしかして、記憶を全て失っているとでも?


 ……分からない。何を言っているのか分からない。

 記憶を失ってるってどういう意味だ? 俺はちゃんと覚えているぞ? 俺は元冒険者のおっさんで、万年Bランクの″断魔″で──。


 ──では、あなたの本当の名前は何ですの?


 本当の名前?

 ……なんだ、それは。


 ラティリアーナに問われて、俺は愕然とする。

 俺は俺自身が″断魔″であると知っていた。だけど、それ以外の名前を思い出せないのだ。


 ──もしかして思い出せなくて?

 ──ああ、思い出せないんだ……。

 ──それは、思い出せないのではなくて、知らない・・・・のではなくて?


 知らない?

 俺は……″断魔″の名前を知らないとでもいうのか?

 だとしたら、俺は″断魔″ではない、とでもいうのか?

 ならば俺の正体は──。


 …………ずずずっ。

 俺の目の前に何かが表示される。

 それは、空間に浮き出た文字だ。かつてリリスに鑑定してもらったときに見せてもらった物によく似ている。


 表示された文字の中から、何かが浮かび上がった。

 強調されたのは、この項目。


『パッシブスキル:●◇%▲』


 不可思議な記号のような部分が、小さく小刻みに震える。

 やがて記号は、ちゃんとした文字へと姿を変えていく。


『パッシブスキル:断魔の%▲』


 断魔の……なんなんだ?

 俺はなんだっていうんだ? 俺はどうなってるんだ?


 ──ふふふっ。今はまだわからないのかもしれませんわね。

 ──おい! ラティリアーナは何かを知っているのか!? だったら教えてくれ! 俺は……何なんだっ!?


 必死に頼み込んでみるものの、ラティリアーナはつれない。いつものように不敵に微笑みながら何も教えてくれなかった。代わりに、俺に新たな問いを投げかけてくる。


 ──そんなことよりも、あなたは力を欲していたのではなくて?


 力? ああ、欲してるよ。

 Sランク相手に対抗できるような、強い力をな。


 ──あなたはなぜ力を欲しますの?


 なぜ?

 決まってる。大切な人たちを守るためだ!


 ──大切な人を守るために、あなたは何を捧げますの?


 何を捧げる?

 そんなもん決まってる。全て・・だよ!!


 俺の答えを聞いて、ラティリアーナは満足そうに頷いた。


 ──そう、なら……あなたなら解放できるかもしれませんわ。《 緋き魔導書スカーレット・グリモア 》の、さらに上の・・・・・ステージ・・・・を。


 俺は、ラティリアーナの言葉に絶句した。





 ◇




 《 緋き魔導書スカーレット・グリモア 》には、さらに上のステージがある。ラティリアーナはそう言った。


 ──それは……俺がまだ強くなる余地があることか?

 ──ええそうよ。あなたは《 緋き魔導書スカーレット・グリモア 》の持つ能力の本質は何だと思いまして?


 本質?

 なんだろうか。痩せる能力?


 ──全然違いますわ。あなた、センスがありませんわね。


 むぅぅ、酷い言われようだ。意地悪しないでちゃんと教えてくれよ。


 ──あなたはただ痩せる能力を持つ魔法具マギアが、″神代魔法具ディバイン・デバイス″と呼ばれる存在だと思いまして? 違いますわ。″神代魔法具ディバイン・デバイス″は別名″傾国の神器″とも呼ばれています。つまり、一つで一国を滅ぼすほどの力を持っているのですわ。


 じゃあ……《 緋き魔導書スカーレット・グリモア 》にはもっと他に能力があるというのか?


 ──あなたは本当に愚かですわね。違いますわ。


 え? 違うのかよ。じゃあなんだっていうんだ?


 ──ヒントを差し上げますわ。《 緋き魔導書スカーレット・グリモア 》の能力名は何ですの?


 能力名は【 変身メタモルフォーゼ 】だけど?

 それがどうし…………。


 いや、まてよ。

 俺はそこで能力名の違和感に気づいた。


 確かに、単に痩せるためだけなら別の名前でも良かったはずだ。例えば【 痩身 】とか? だけど《 緋き魔導書スカーレット・グリモア 》はこの能力を【 変身メタモルフォーゼ 】と名付けた。そこにはきっと意味があるはずなのだ。


 ラティリアーナは言った。能力名にヒントがあると。

 そして、痩せる能力はこの能力の本質ではないと。

 であれば、もしかしてこの能力は──。


 ──ラティリアーナ。もしかしてこの能力の本質は……″望みを叶える能力″じゃないのか?


 かつてラティリアーナは、痩せることを望んでいた。だから【 変身メタモルフォーゼ 】によって痩せることが出来た。

 でももし【 変身メタモルフォーゼ 】の本質が″望みを叶えること″であれば、俺は……もっと、もっと強くなれるのではないか?


 俺の出した答えに、目の前のラティリアーナが可憐に微笑む。これまで見たこともないような、彼女の魅力が溢れる笑顔だった。


 ──そこまで行き着いたのでしたら、半分正解といったところですわね。まぁあなたにしたら上出来でしょうか。


 半分正解? これでもまだ違うというのか? だけど……たとえ半分正解だとしても、今の俺の″望み″を叶えてくれるのであれば、現時点ではそれで十分だ。


 ──さぁ、もうお行きなさい。皆が待っているわ。

 ──待ってくれラティリアーナ! 君はいったいどこにいるんだ? 君は……生きているのか?

 ──きっと、もうすぐわかりますわ。だってあなたは、本当は気づいている・・・・・・んですもの。


 俺は一生懸命手を伸ばす。ラティリアーナに届くように。捕まえて、離さないように。


 だけどラティリアーナはつれなく俺の手を弾くと、そのまま紫色の霧になって消えていったんだ──。





 ──




 〈システム・メッセージ〉

『悪役令嬢』、『オーク令嬢』、『肥満(小)』の称号が消滅しました。



 〈システム・メッセージ〉

 消滅した称号は統合され、『真の令嬢ジ・エレガント』、『伝道者エヴァンジェリスト』へと昇華しました。



 〈システム・メッセージ〉

『運命に抗いしもの』は自らの運命を自らの手で切り開くことで変質を遂げました。

 新たに『運命を切り開きしもの』となります。



 〈システム・メッセージ〉

 称号の変化に伴い、ラティリアーナ・ファルブラヴ・マンダリンの昇格を承認しました。

 神代魔法具ディバイン・デバイス緋き魔導書スカーレット・グリモア 》の第二段階は開放され、次のステージへと進化します。





 ──







 ◇◆◇◆







 いったい何が起こっているのか。

 バッカスは今、目の前で起こったことが理解できなかった。自らの放った竜爪は、間違いなくラティリアーナの身体を切り裂くはずだった。

 だが現実には、目の前の女は俺の全力の竜爪を何事もなく受け止めていた。

 しかも──片手で、だ。


 困惑するバッカスであったが、ただ一つの事実だけは受け入れることができた。

 この女は、ついさっきまでとはまるで別人だ、と。


「……少しお待たせしてしまいましたわね。ですけど、こちらもお遊びはおしまいですわ」


 つい先程まで息も荒く地面に転がっていたはずのラティリアーナ。なのに今は高慢で傲慢な笑みを浮かべながら、左手の赤い本を前に突き出す。本から放たれる強烈な波動に、バッカスはなんとも言えない感情を抱く。


 この女──ラティリアーナは確かに強かった。

 純粋な戦闘能力という意味では力不足は否めないが、不可視の爆破能力に魔力無効化という未知の能力は強者となる資格を十分に備えているといえた。実力という意味ではAランク……己の所属する《 龍殺者戦士隊ドラゴンスレイヤーズ 》でも上位に食い込むくらいの強さだろう。

 だが、いかんせん実戦経験──とくに命を懸けた経験に不足しているように見えた。それが、今回のタイマンでは顕著に現れた。

 その結果、ラティリアーナは自分の『竜牙剣』の持つ【 八幻竜 】と【 ドラゴン・ファング】の前に為すすべもなく崩れ落ち、とどめを刺す……はずだった。


 だけど、今目の前に立つこの女は何だ?

 気がつくと、ラティリアーナが手に持っていた本の色が変わっていた。

 どうなってんだ? あの本、赤色じゃなかったか? なんで・・・紫色に・・・なっている・・・・・!?



 ── 開闢(ビギニング) ── 《 紫艶の魔道書(バイオレット・グリモア)

 ── 能力(スキル)発動(アクティブ)第二段階セカンドフェーズ ── 【 変身(メタモルフォーゼ)かい

 ──近距離戦闘ショートレンジ・モード──



 次の瞬間、バッカスは信じられないほど高速に接近してくるラティリアーナを認識した。これほどのスピードを持つ生物に、彼は今まで出会ったことがなかった。


「なっ!?」


 全力で挑まなければ喰われる・・・・。そう察したバッカスは全身に魔力を込めて″身体強化″を施す。

 バッカスの強さの秘訣は、高度な動体視力と魔力操作によって実現される多彩な″身体強化″にあった。彼は細い身体でありながら、特定のポイントに身体強化を施す天性のセンスを持っていたのだ。

 ″身体強化″の一点集中から放たれる強烈な竜牙剣での一撃は、強靭で知られる竜の鱗すらもあっさりと貫く。一瞬で相手の動きを見抜く動体視力と、強化ポイントを瞬時に切り替えれる魔力操作が、彼の人間離れした動きと力を実現化していたのだ。


 そういった意味では、彼の戦い方はラティリアーナに似ていた。バッカスがラティリアーナを「戦闘経験が足りない」と評したのは、自身が彼女の戦闘方法をさらに研ぎ澄ませた先にいたからこその発言といえる。


 だが──今のラティリアーナの動きは、天才的な才能を持つバッカスですら及ばぬ世界にいた。この動き、既に人間、いや生物としての許容範囲を超えている。こんなもの、追いつけるわけがない。

 だが、これだけの速さを出すためにはパワーを犠牲にしているはずだ。そう確信したバッカスは、ラティリアーナの攻撃を防ぐ方に全力を注ぐ決断をする。


「くっ! ──【 ドラゴン・スケイル 】!」


 竜の牙すらも通さぬバッカスの防御特化型の″身体強化″。これを発動すれば、たとえ神速のラティリアーナの攻撃でさえ耐えられるはずだ。


 だが──。


「終りましてよ。──近距離戦闘ショートレンジ・奥義──【 紫終焉の幻影ファントム・エンド 】」



 目の前に飛び込んできたはずのラティリアーナの姿が、消えた。次に気配を感じたのは、後方──しかも首筋だ。


「があっ!!」


 バッカスは全力を込めて首筋を″強化″する。

 だが──首筋にあった竜の鱗のように強化した部分が、あっさりと砕け散った。続けて何かが爆発するような衝撃が襲いかかる。


「ばっ──!!」


 ばかな。バッカスはそう言いたかった。

 しかし彼は全ての言葉を口にすることは出来なかった。


 これまでバッカスは一度しか負けたことがなかった。相手は隊長のグレイブニル・サンダース。タイマンであっさりと失神させられてしまったのは彼にとって苦い思い出だった。


 だが彼はたったいま、人生において二度目の失神を経験することとなる。


 しかもその相手は──自分より年下の、ひとりの貴族令嬢であった。





 ◆





 ずぅぅん。

 鈍い音とともに、バッカスが地面に崩れ落ちた。そのまま身動きを取らないところを見ると、失神しているのだろう。


 打ち倒したのは″悪役令嬢″ラティリアーナ。

 彼女は口元の血を手で拭い、息を切らせながら声を張り上げる。


「お聞きなさい!!」


 びりびりびりっ。

 空気が震えるような声に、その場にいた全員がラティリアーナに注目する。ふんっと、胸を反らしながら彼女は口を開く。


「わたくしの仲間が、『黒死蝶こくしちょう病』の原因を突き止めましたわ!! もはやガルムヘイムは滅ぼすにあたらず!! もしそれでもこの国を滅ぼそうとするのであれば──」



 くわっ!

 ラティリアーナは紫水晶アメジストのように輝く瞳を燃やしながら、大きく声を張り上げた。



「このわたくしが、決して許しませんわっ!!」


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