表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/95

28.それぞれの歩む道

第5章、最終話です!




 

 ──パキンッ!

 俺の放った《三蓮華さんれんげ》をモロに受けた呪われたマスクは、鈍い音とともに真っ二つに割れた。少し深く入ったせいか、怪盗マスカレイドが額から血を流しながら吹き飛んでいく。


『ぐわぁぁぁっ……!』


 絶叫を上げながら、マスカレイドは近くにある木に激しく激突した。そしてなぜか周りに百合の花を散らしながらゆっくりと崩れ落ち──そのまま動かなくなった。……なんだこの無駄演出、意味がわからんわ。


「うっ」


 ズキン、と右腕に鈍い痛みが走る。《三蓮華さんれんげ》と僅かにタイミングが合わなかったせいで、反動が来て右腕の筋を少し痛めてしまったようだ。

 でも大したことはない、腕を押さえながら吹き飛んで行ったマスカレイドの様子を見に行く。


「ラティリアーナ様、大丈夫がるか?」


 隠匿魔法が解けて姿を現した美虎ミトラが、心配そうに駆け寄ってくる。大丈夫だよ、そんなにひどいことにはなってないから。


「ふん、お前に心配されるほど落ちぶれてないわ」

「はいはい、それはよかったがるよ。……お、これが怪盗マスカレイドの素顔がるかぁ」


 怪盗マスカレイドことクラヴィス・マグワイアは、流血してたものの彫りの深い男前な顔をしていた。そりゃそうか、主人公のパーティメンバーがブサイクなわけがないもんな。脳筋ダスティですらゴツい顔だけどイケメンだし。

 念のため魔眼を使って確認してみるけど、どうやら仮面が壊れたことで呪いが解けているようだ。これで解けてなかったら完全にお手上げだったから、とりあえず一安心だな。

 念のためモードレッドに割れたマスクを放り投げて完全破壊させる。ドリドリドリッ! よし、これで万事解決だ!


「……ねぇラティ。実はね、今回の事件で気になることがあるんだ」


 と思ってたら、リリスが顎に手を当てながら話しかけてくる。気になること? 怪盗マスカレイドを捕まえて解決じゃないのか?


「ボクはね、マスカレイドがどこから貴族の持つ魔法具マギアの情報を得ていたがずっと気になってたんだ」


 そんなの、単に世間的に有名な魔法具マギアを狙ってただけじゃないのか?


「実はそうでもないんだ。たとえば今回の獲物の《 銀嶺の雫 》は、パンダトナ男爵家に親から子へ代々伝えられている大切なもので、一部の貴族しか知らないようなものだった。少なくとも一介の冒険者であるクラヴィスが知るほどの有名なものじゃない。だから──ボクは最初、貴族の中にマスカレイドの味方がいるんじゃないかと疑ってた」


 なるほど──だから仮面舞踏会なんて開いて貴族を誘い出したのか。


「うん。あぶり出すつもりだったよ。念のためアーダベルトたちに声をかけたのも、マスカレイドの仲間サポーターが不意に現れたとき対処してもらうためだったの」

「……ふぅん」

「だけど、あの場で裏切ったのはルクセマリア王女の護衛をしていたダスティだった。呪われた魔法具マギアのせいで、マスカレイドに操られるって形でね。──ここでおかしいのは、あまりに都合良く″呪われた魔法具マギア″が揃ってるってことなんだ」


 リリスが気になるのは分かる。

 ″呪われた魔法具マギア″は、持ち主を狂わせるやっかいなものだけど、そもそもさほど数多く存在していない。ダンジョンなんかでごく稀に見つかる程度だ。

 それが二つも、怪盗マスカレイドの手に渡った。そんな都合が良い話があるだろうか。


「もう一つ、決定的に足りてないものがある。強力な魔力を持つ魔法使いの存在さ」

「魔法使い? どこにそんな存在の出る幕がありまして?」

「怪盗マスカレイドは一ヶ月前に王宮に忍び込んだ。何重にも魔法結界の張られた王宮にね。だけどマスカレイドはそれを実現できる高度な魔法を持ち合わせていなかった。ということは──おそらく他に協力者がいる。もしくは、怪盗マスカレイドだってそいつに操られていたのかもしれない」


 もしリリスの言うことが正しいのだとすると、真犯人は別にいるということになる。しかもそいつは″呪われた魔法具マギア″をばら撒いて、王国を混乱に陥れた。

 やってることは劇的ではあるが、愉快犯と呼ぶにはちょっと深刻度が高すぎる。

 もしかすると、危険な奴がまだ野放しにされてるのかもしれないな。


「ラティリアーナ……」


 リリスとの会話に集中していると、ふいに後ろから声をかけられた。振り返ると、アーダベルトに支えられたルクセマリア王女が真剣な表情で立っていた。

 うわっ、この子の存在を完全に忘れてたよ。また何か言われるのかな。とりあえず言われる前に用件を済ませることにする。


「……ルクセマリア王女、お借りしていた《銀嶺の雫》をお返ししますわ」

「え? あ、うん……そんなことよりも、あたし、あなたに話したいことがあるの」

「話? わたくしにはなにもありませんわ」


 たとえルクセマリア王女が相手でも、相変わらずのラティリアーナ節。どうしてこの子ラティリアーナは素直に話せないかな? 相手は王女様だよ?

 これ以上話してると不敬罪になりそうだから、さっさと立ち去ることにしますかね。


「さぁリリス、要件は片付きましたわ。わたくしたちは引き上げますわよ」

「あ、うん。……ところで彼らはどうするの?」


 彼ら? ああ、そこに寝転がってるクラヴィスとダスティのお昼寝コンビね。だったら予定通りだ。


「アーダベルト様、お約束通りそちらにいる不埒者の処理は貴方にお任せしますわね」

「え? もしかして貴女が仲間にしろとおっしゃったのは、この男のことなのですか……?」

「男に二言はありませんわよね?」


 キッと睨みつけると、アーダベルトは困った笑顔を浮かべながら頷く。よし、言質は取ったぞ。ダスティというオマケも付いてるけど、あいつは《 愚者の鼓笛隊フールズオーケストラ 》のメンバーになるんだから関係ないしね。


「ではみなさま、御機嫌よう」

「あ、待ってラティリアーナ!」

「アーダベルト様、ルクセマリア王女のことも宜しく頼みますわね」

「ええ、責任をもって王宮にお連れいたします」

「ちょっとラティリアーナ! あたし、あたし……あなたにっ!」


 俺はルクセマリア王女の嫌味を耳にする前に、リリスの腰をつねって無理やり隠匿魔法を使わせる。

 そのまま俺たちは、逃げるようにこの場を後にしたんだ。




 ◆




「ラティリアーナ……」


 次の瞬間には、ラティリアーナの姿は景色の中に溶け込んで消えていた。

 あとには気絶した大男二人と、アーダベルトと美虎ミトラ、そしてルクセマリア王女が残されているだけだった。


「よっこいしょっと、そしたらあたしはこのデカブツを運ぶがるよ。アーダベルトはそっちの怪盗さんを頼むがる」

「わかったよ、ミトラ」

「ぎにゃ!? こいつ上半身裸がる! 気持ち悪いがる!」

「……はぁ、そしたらこっちと代わろうか」

「す、すまないがる……」


 アーダベルトと美虎ミトラの二人が地味に撤収作業をしている中、ルクセマリアは呆然とその場に立ち尽くしたままだった。だが──すぐに瞳に強い光が灯る。

 

「ラティリアーナ……あなたはあたしに、お礼すら言わせてくれないのね」


 彼女の心に過るのは、万感の想い。

 ラティリアーナと共に過ごして来た15年の歳月が、今日という日の様々な出来事が、ルクセマリアの中に新たな意思を宿らせる。


「だったら……わかったわ。あたしに取れる手段はただ一つ」


 ──そしてルクセマリア王女は一つの決断を下すことになるのだが、それはもう少し先の物語である。



 ◆



 アーダベルトたちが撤収作業をしている様子を、遠く離れた木の上に立って観察する人物の姿があった。

 年齢は10歳くらいであろうか。黒色の髪に整った顔立ち。だがその少年が異質だったのは、顔半分を覆うようにピエロの仮面を被っていたことである。

 ──間違いなく彼は、ダスティに″呪われたピンバッチ″を渡した少年であった。


「……ふぅん。ここで″悪役令嬢″ラティリアーナが出てくるんだ。面白いなぁ、やっぱりシナリオが変わってるみたいだね」

「はい、マスター」


 少年の独り言に答えたのは、黒いメイド服に身を包んだ黒髪に色白の美女。心なしか、顔つきはモードレッドに似ているようにも見える。

 少年は美女の髪を優しく撫でると、ピエロの仮面をゆっくりと外す。その下から現れたのは、黒目である左目とまったく逆の白い瞳。


「しかし僕の″呪い人形″たちを解放するなんて……なかなかやるね。もしかして僕みたいな″転生者″が他にもいたりするのかな? まぁだとしても関係ないけどね。僕の”転生者チート”は最強だし」


 すでに用済みとなった仮面を投げ捨てる。仮面は黒い霧に包まれたかと思うと、そのまま朽ちていき──空気へと溶けていった。


「ラティリアーナ。僕のオモチャを勝手に取り上げたお返しは、いつか必ずするからね? それまでは──誰からも壊されないでよ? 楽しみが減っちゃうからね。ふふふっ……」

「はい── ゲームマスター・・・・・・・




 ◇◆◇◆





 こうして、イシュタル王国の王都ヴァーミリアを騒がせた怪盗マスカレイド騒動はいつのまにか沈静化していった。

 人々はなぜ怪盗が消え去ってしまったのか、その理由を知らない。飽きっぽい彼らはいつのまにか怪盗の存在すら忘れてしまっていた。


 だが、ごく一部の限られた関係者は知っていた。怪盗マスカレイドは″冒険者狩り″との戦いに敗れた結果、消えたのだと。

 この事件は、関係者の幾人かの心に大きな爪痕を残した。結果として彼らもしくは彼女らの人生を大きく変える出来事となる。


 ──そのうちの一人、クラヴィス・マグワイアは、新たに加わることになったパーティ《 自由への旅団フリーダム・ブリゲード》のリーダー、アーダベルトに語りかける。


「いやー、あんときリーダーが助けてくれなかったら俺っちはちょっとヤバちゃんだったかもなぁ。全然倒れてた時の記憶が無いんだよ、呪われた魔法具マギアのせいで前後不覚に陥ってたんだろ?」

「ははっ、まぁ──概ねそうだったね。でも女神様の思し召しがあったから、君を助けることができたんだよ」


 はて、リーダーは何か宗教でも信仰していただろうか。だがクラヴィスにとってはさほど重要なことではないため、深く突っ込むことはない。


「しっかし、見事なまでに前衛タイプしかいないがるなぁ……」


 メンバーの中で紅一点の虎獣人の美虎ミトラが、呆れ顔で己のパーティメンバーを見回す。


 チームのリーダーで、槍が得意の前衛──《 麒麟児 》アーダベルト。

 同じく前衛で、魔法具マギア火焔大刀かえんたいとう 】の使い手、チーム唯一の女性の《 レディ・タイガー 》美虎ミトラ

 そして、身軽な動きとダンジョンへの豊富な知識を持ち、曲刀を操る元盗賊《 忍び足 》クラヴィス。

 ……いずれも肉弾戦に強みを持つメンバーばかりである。


「本来は前衛2、中衛1、後衛2が最も冒険者チームとしてバランスが良いと言われてるんだがなぁ」

「まぁクラヴィス、あとで魔法使いに2〜3人加わってもらえばいいんじゃないか?」

「アーダベルト、それは無理がるよ。冒険者パーティは5人までと決まってるがる」

「えっ? それはどうしてなんだい?」

「ったく、これだから貴族の坊ちゃんは無知だよなぁ──《 英霊の宴 》に呼ばれるのが5人まで・・・・だからだよ」

「……あぁ、なるほどね」


 この3人、生まれや育ちは全くことなるものの、ある一つの共通の目的のためにチームを結成していた。それは──《 英霊の宴 》に招待されること。

 だから、目的を達成するためには、他の何を差し置いても条件を飲む必要があったのだ。


「分かったよ。残りの仲間は二人までなんだね」

「リーダーにもご理解いただいたみたいだし、そしてらぼちぼちダンジョンの探索でもスタートしますかね。そのついでに魔法使いでも探すってのはどうだい?」

「あぁ、それはいいね。じゃあ僕たちが目指すは、最近ヴァーミリアの街の近くに出来たという新たなダンジョンでいいかな」


 頷く二人の仲間の様子を確認して、リーダーであるアーダベルトはすぐに立ち上がる。

 《 英霊の宴 》に招待されるためには、一流の冒険者として認められる必要がある。そのためには、無駄な時間を過ごしている暇などないのだ。


「さぁ、それじゃあ行こうか! 噂のダンジョン──《 キューティー・アンデッド・ダンジョン 》へ!」

「あいよっ!」

「行くがるっ!」



 ──今ここに、新生冒険者チーム《 自由への旅団フリーダム・ブリゲード》の冒険の舞台が、幕を開ける。






 ◆◇





 ……一方、こちらはマンダリン侯爵邸。



 キン! カン!

 今日もマンダリン侯爵家の裏にある巨大な植物園で、金属同士が打ち合う音を立てながら、俺とモードレッドが模擬戦を行なっていた。

 最近はかなり本気モードに近いモードレッドとも良い感じに撃ち合えるようになってきた。俺的には冒険者時代の半分くらいの技と力を取り戻した感じだ。


「お疲れ様! はいよ、タオル! あーこの感じ、部活のマネージャーみたいだなぁ。あ、ポカリもどきもあるよ?」


 相変わらず意味不明なことを一人呟くリリスを無視して、俺は受け取ったタオルで汗を吹きながら透明な飲み物を恐る恐る飲んでみる。あ、これ甘くて美味いな。


 怪盗マスカレイドとの決闘から一ヶ月。最近はトレーニングの成果も出てきてだいぶスリムな身体になっていた。汗の匂いも酸っぱくなくなってきたしね。なぜか舞夢マイムが少し寂しそうにしてたけど……知らんがな。


「ラティもかなりいい感じに仕上がってきたね。あともう少し鍛えたら、いよいよ本物のダンジョンにチャレンジしてみよっか」


 リリスの言葉に、俺はタオルを拭く手を思わず止める。

 ダンジョン! ついにダンジョンに挑めるのかっ! 長かった……この三ヶ月、基礎トレーニングに冒険者狩りにとずいぶん辛い日々を過ごしたものだ。


「それで──わたくしたちはどこのダンジョンに挑むんですの?」

「なんでもこの街の近くに新しいダンジョンが発生したらしいんだ。しかも、ボクの知識に無いダンジョンがね」


 リリスの知識に無いダンジョン。つまり本来であれば未来に存在し得ないダンジョンということになる。

 そのような存在が本当にあるのだとしたら、そのダンジョンは──もしかすると何者かの手によって人為的に作られたものであるかもしれない。


 この世界は、既にリリスの知る未来とは変わりつつある。だとしたら、あいつの未来の記憶と齟齬がある部分にはなんらかの″不確定要素″が絡んでいる可能性は高い。

 別に世界を救う勇者を気取るつもりはない。だけれど、この世界に生きるものとして、変なやつらに好き勝手されるのは気に食わない。

 どぅら、ダンジョン探検のついでだ。ここはリリスの口車に乗ってやるとするかね。


「悪くないですわね。で、そのダンジョンの名前は?」

「なんだか変な名前だったんだよね。モードレッド、なんだっけ?」

「はい、マスター。《 キューティー・アンデッド・ダンジョン 》と呼ばれていることを確認しています」


 ……なんというか、ネーミングセンスを疑うような名前のダンジョンだな。

 名前からしてアンデッドばかりが出現するダンジョンなんだろうが、キューティーの意味がわからん。


「……趣味の悪い名前ですわね」

「ぶっちゃけボクもそう思う。やっぱ違うダンジョンにしとく?」

「遠出は面倒ですわ」

「他に近くに手頃なダンジョンは無いんだよねぇ」


 そんなことを話していると、森の木々の向こうからスタスタと犬のように駆けてくる人物の姿があった。侍女の舞夢マイムだ。


「お嬢様、お客様ですワン」


 お客様? オーク令嬢を訪ねてくる奇特な奴がいたもんだ。で、いったい誰なの?


「そ、それが……」

「ちょいとお邪魔しますぜぃ!」


 舞夢マイムの後ろから「ぬっ」と姿を現したのは、2m近い長身に筋骨隆々の肉体を持つ騎士鎧を着た男──騎士隊長のダスティ・ジョーンズだった。

 例のマスカレイド事件のあと、ルクセマリア王女と一緒に大人しくしていると聞いていたんだか……一体なんの用だ?


「……わたくしはお前なぞに用はありませんわ」

「そう仰らないでくださいや。それに用があるのは俺じゃなくて、こちらのお方なんですよ」

「あたしよ!」


 げっ! 思わず声に出そうになる。

 なにせ舞夢マイムを押しのけて現れたのは、水色の髪の美少女──ルクセマリア王女その人だったからだ。

 なんで王女様がここに? しかも普段のドレス姿と異なり、身動きが取りやすそうな水色のシャツなミニスカートまで履いている。この格好はまるで──そう、冒険者みたいだ。


「ルクセマリア王女、こんなところにいらっしゃるなんて、どういう風の吹き回しですの?」

「今のあたしは王女じゃないわ。ふつうに名前で呼んで。ルクセマリアってね」


 王女じゃない? それってどういう意味なんだろうか。


「ところでラティリアーナ、あなた今度冒険者になるつもりだそうね」

「……ええ。それがなにか?」

「それは奇遇ね! 実はあたしも今度冒険者になることに決めたばかりなのよ!」


 …………はあ? ルクセマリアが冒険者になる、だって?

 このお姫様は何トチ狂ったことを言ってるんだろうか。


「だから今度は、どちらが先に噂の新規ダンジョンをクリアするか勝負しましょう! もちろん、負けた方が勝った方の言いなりになるんだけどね!」


 困り果てた俺がダスティを見ると、あからさまに視線を逸らす。おいコラこの脳筋! てめぇ近衛隊長なんだろ? 王女様の手綱くらいしっかり抑えとけよ!


「そんな勝負、なぜわたくしが受ける必要が……」

「勝ち逃げは許さないわよ! なにせあたしは──負けず嫌いなんだからねっ!」


 不意に口走ったルクセマリア王女の言葉に、横に立っていたリリスが激しく動揺する。なんだよ、こいつ何か知ってるのか?


『あのねラティ! 今のはゲームの中でルクセマリアがアーダベルトに向かって言う有名なセリフなんだよ! いやー、なんか生で聞けて感動しちゃった』


 ……なんだそれ。どうでもよすぎる。

 だいたいさー、この子はアーダベルトの仲間になるはずだったんじゃないの?


『うーん、もしかしたらこのあたりにもシナリオ崩壊の影響が出てるのかもしれないね。でもまあいいんじゃない? 勝負したところで別に害もなさそうだしさ』


 確かに影響はない。というか無視しとけばいいだけの話な話だけど……。


『あー、それにしてもまさかルクセマリアの生・名セリフを聞くことができるとは思わなかったなぁ。声優のマナルカちゃんと同じ声だし! うへへっ』


 んなどうでもいいこと、わざわざ念話魔法で伝えくんなよ!


「じゃあいいわねラティリアーナ! あたしとあなたのチーム、どっちが先にダンジョンを制覇するか勝負よ!」


 おーい誰かぁ! この王女様をどうにかしてくれー!




 〜 第5章 完 〜



これにて第5章はおしまいです!


再開まで、少しお待ちくださいませm(_ _)m


もし気に入っていただけたら、ブックマークや感想、評価などを頂けるととても嬉しいです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ