第11話 日記
朝、僕は動揺している。
その理由は僕の横にいる人のせいだ。
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「壮、シャワーありがとね」
「おう、布団引いといたから先寝てていいぞ、俺もシャワー入ってくるから」
「了解。
じゃあおやすみ〜」
さてと、とりあえずは用意された部屋で寝ようかな。
えっと携帯でアラームを6時にかけて...
よし!寝よう!
.
.
.
ピピピピピピッ
よし!6時ぴったり!
流石にまだ香ちゃんは起きてないよね?
恐る恐る香ちゃんの部屋のドアに手をかける。
「おじゃましまぁ〜す...」
小さな声で挨拶して起きていないことを確認。
「ふふっ、ぐっすり寝てるね…」
では、香太の布団に入るとしますか!
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朝、起きたら横に女性が寝ていた。
うーん...
どういうことだ...?
「ん...あ、香ちゃんおはよ」
「あ、うん、おはよう」
っていやいやいやいや!!
「なんでしずねえが僕の布団で寝てるの!?」
そう、横にはお父さんの妹。しずお姉さんが寝ていた。
正直動揺するから辞めてほしい。
ぶっちゃけ結構な美人なのだ。
そりゃあ動揺もする。
そして僕の問いにしずお姉さんは
「そこに布団があったから...?」
「登山家かよ!!」
「お、朝からツッコミキレッキレだね〜」
はぁ...この人と話してると調子狂う。
「冗談はいいから説明してくれます?」
「えっとね、香ちゃん記憶失くして色々不安なんじゃないかなぁって思ってそう思った時には香ちゃんの布団に居たかな」
まあ僕のためを思ってくれてることは分かるが...やり方があるだろやり方が...
僕にとってはお父さんの妹というより昨日初めて会った綺麗なお姉さんぐらいにしか思えないんだぞ...
「まあいいじゃない!香ちゃん気持ちよさそうに寝てたよ?よだれたれてるし」
「えっ!?」
慌てて口元を拭く。
「冗談だよ〜」
ほんとに調子狂うなぁ...
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リビングに行ったらお父さんが朝ごはんの用意をしていた。
「おう、香太おはよう...ってなんか疲れてないか?」
「まあ色々あってね...」
「おはよう壮!!いい朝だね!」
「おお...おはよう...香太なんとなく理解したよ…」
まあ家で過ごすのに不安があったのは確かだったから助かったんだけどね…
「それで香太今日はどうするんだ?」
「んー周辺の土地知っておくために散歩でも行ってこようかなぁ」
「じゃあ私が案内するよ!」
しずお姉さんが大声をあげる。
「ちょっと不安だけど、俺は昨日そんな寝れてないからきついしなぁ」
「そうそう!だから私が案内してあげる!」
「少し不安だけど...まあ大丈夫か。
ちゃんと案内しろよ?」
「うん!」
「まあそういう事だ香太。今日はしずおばさんに案内してもらって色々見てこい」
まあ案内がいるのは助かるしな。
しずお姉さんなら安心だろう。
てかお父さんは頑なにしずおばさんって呼ばせようとするな。
「そういえばさっき香太がしずねえって呼んでくれたの!6年ぶりぐらいに呼ばれてびっくりしちゃった!」
そういえば焦ってしずねえって呼んだな…
「確かに呼んだかもだけど焦ってたからじゃないかな?」
「えー...いつも呼んでくれてもいいのに...」
まあ正直しずねえって呼び方が一番しっくりくる。
「おいおい、歳を考えろよ…」
「えっと、しずねえ?...これでいい?」
さっきは勢いで呼んだからなんとも思わなかったけど、改めて呼ぶと恥ずかしいな…
「わあああああああ...これやばいね…顔が綻んじゃうよ…へへへ...いてっ!!何すんの!」
凄い顔でニヤニヤしていたしずねえにお父さんがチョップを入れる。
「お前さぁ...前から香太にベタベタだったけど、昨日今日とで前より悪化してないか?」
「だってぇ...忘れられた分仲良くしたいんだもん...」
「気持ちは分かるけどちょっとは自重しろよ...今日案内させるの不安になってきたなぁ」
「ごめんって!大丈夫だから!案内させて!!!」
「まあそこは香太に任すよ」
「僕は別にいいよ、名前呼ぶ度騒がれるのはあれだけど」
流石に外であのニヤニヤはまずい。
人前でしていい顔じゃない。
「大丈夫!我慢する!」
大丈夫かなぁ...
不安だな…
まあなんだかんだでしっかりしてる人っぽいから大丈夫だろう、きっと
「とりあえず13時ぐらいから散歩行くね。
午前中は昨日できなかった分部屋にあるものの確認とかしときたいからね」
「うん、分かった。それまで待ってるね」
昨日は帰ってきてシャワー浴びてすぐ寝たからな、家も見て回れてない。
でも、何となく覚えてる気がする。
記憶にはないけど体は覚えてるというか。
その証拠に、トイレとシャワーは迷わなかった。
やっぱり車の席と同じで無意識に覚えてることもあるのかな?
「とりあえず部屋にある勉強道具とか色々見てくるね」
「了解、昼ごはんの時は呼ぶね」
さて、勉強道具チェックしますか。
部屋に向かってる途中お父さんが一つの手帳みたいな物を渡してきた。
「それ、香太が高校入って書き始めた日記だよ。最初1ヶ月ぐらいしか続いてなかったけど。
香太の病室持っていってあげようと思ってたんだけどタイミング無くてね」
「日記...何か思い出せるかな...」
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部屋の勉強机の上に置いてある日記とにらめっこしてもう20分。
さっきから何度かちらちらとしずねえが部屋を覗いてきているが無視している。
とりあえず日記を見る勇気がわかない。
前の自分が書いているものを見て自分が分からなくなりそうな気がする。
でも見たいという気持ちも強い。
でも怖い。
これを繰り返している。
はぁ...
「見るか...」
覚悟を決めてページをめくる。
最初のページは4月10日。
4月10日(日)
明日は高校の入学式。
中学の時の友達は竜也ぐらいしかいない。
そもそも仲のいい人が少なかったから居たとしても変わらないんだけども...
高校生活は楽しいとか言ってる人が多いけど正直楽しみなんて全然ない。
どちらかと言うと怖いから行きたくない。
はぁ...不安だ。
おいおい、僕ってこんな性格だったのか…?
予想以上に陰キャラだったなぁ…
これは日記の先見るの怖いな。
高校楽しくないばっかり書いてそう。
はぁ...見るかな。
「あらあら、高校こんなに楽しみじゃなかったんだ〜」
いつの間にかにしずねえが日記を横から覗いている。
だけど僕は驚かない。
もう慣れたかもな...
「さっきから部屋の中ちらちら見てたよね…」
「心配だったんだよー!日記を見てる香ちゃんを見てたわけじゃないよ?」
自白してるようなもんだな…
まあいいんだけどさ…
これがしずねえだし。
さあ次のページも見るか。
高校初日だよな
4月11日(月)
高校の入学式から帰ってきた。
何故か周りみんなは既に友達みたいな感じだった。
完全にぼっちルートだよなこれ。
もう学校やだなぁ…
まあ竜也と同じクラスだったのが唯一の救いかな…
今後もあのクラスで生活していくのか…
はぁ...
案の定だな...
僕ってこんなやつだったのかよ…
ここまで来たら面白くなってきちゃったな。
自分の事だけど忘れた自分のことなわけだし
今後の展開が気になるような気持ちになってきたな。
その後もしばらくは同じような感じで文字から陰キャラが伝わるような文章だった。
なんだかんだ学校には毎日行ってたようだ。
こんだけぐちぐち言ってるのにな…
そんな時日記をある程度読み進めたところで面白いことが書いていた。
4月22日(金)
今日はいつもとは違う1日だった。
学校が終わるまでは何ら変わらない日だったのだが帰り道それは起こった。
学校の帰り電車を降りて家に向かい始めたあたりでスーパーでお茶を買うのを忘れていることに気づいた。
とりあえずスーパーに引き返した。
そこまでは良かった。
スーパーの横の路地の方から女性の声が聞こえてきた。
ただ事じゃないなと思い警察に電話で場所だけ伝えて路地の方へ行った。
そしたら僕と同じ学校の制服を着た女の子がガラの悪い男3人に囲まれていた。
見るからに穏やかじゃなかったので僕は声をかけた。
そしたら男達の矛先が僕の方に向いてきて、これはまずいと思った。
とりあえず女の子に逃げるように言って女の子は逃げてくれた。
一旦安心してしまったが自分の問題を忘れてた。
女の子の方に行かないように敢えて逆に走り狙い通り全員の気を引くことには成功した。
これまずいかもな...って思ったところで警察が走ってきてくれた。
男達は逃げたがとりあえず助かった。
帰ってきてから思うと多分女の子が警察に急ぐように行ってくれたんだろうな。
先に場所電話しといてよかったよ…
そういえばあの子同じ学校なんだよな…
誰なんだろ。
まあ関わることは無いだろうけどね。
そんな感じで今日は色々あったから長く書いちゃった。
こんな事物語の中だけかと思ってたよ…
てか生徒手帳落としちゃったっぽいんだよね。
はぁ...
「おおおおおお!!香ちゃんやるじゃない!」
「21日までの日記からは想像出来ない勇敢さだったな…」
こうやってみてみるとトラックから奏を守ったのも理解できるかも。
でもすごいな...
男3人から女の子を助けたのか。
かっこいいじゃんか僕。
まあ覚えてないんだけどね。
「香ちゃんはやっぱりかっこいいね!普通できるものじゃないよこんなの!」
「僕もそう思った。
記憶失くす前の僕ってやる時はやる男だったのかな。トラックから奏を庇った時といい」
なんだかんだ日記読んで良かったな。
まさかこんな奴だったとは思わなかったけど…
それとも文字だから感情が伝わりきってないだけかな?
いや、感情があったらもっと陰キャラだっただろうな...
ちょっと自信なくした。
学校でどういう振る舞いすればいいんだろう。
ちょっと竜也とかに相談してみるかな。
まあその前に散歩だが。
しずねえのようなお姉さんキャラが好きなので強引に書いてて楽しいイベント入れました(笑)




